Motoharu Radio Show #113

2012年05月09日 | Motoharu Radio Show

2012/05/08 OnAir - 2nd. Week - ママについて歌った曲
01.The Miracles:Shop Around
02.Paul Simon:Mother and Child Reunion
03.Electric Light Orchestra:Mama (New Edit)
04.Counting Crows:You Ain't Goin' Nowhere
05.Counting Crows:Start Again
06.Swing Out Sister:Don't Let Yourself Down
07.James Brown:Mother Popcorn, Pt. 1
08.The Beatles:Your Mother Should Know
09.佐野元春:7日じゃたりない
10.佐野元春:情けない週末
11.佐野元春 & 雪村いづみ:トーキョー・シック(mono)
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■内容の一部を抜粋
・特集「ママについて歌った曲」
母の日にちなんでママについて歌った曲の特集。

・Shop Around
お母さんが年頃の男の子に「誰か一人と決めるまでいろんな女の子と付き合ってみたらどう?」と言ってる。
スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの'50年代のレコード「Shop Around」。

・Mother and Child Reunion
・Mama

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月5月の「3PICKS!」はジェイソン・ムラーズ『Love Is A Four Letter Word』、カウンティング・クロウズ『Underwater Sunshine(Or What We Did On Our Summer Vacation)』、そしてルーファス・ウェインライト『Out of the Game』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はカウンティング・クロウズ『Underwater Sunshine(Or What We Did On Our Summer Vacation)』。

・カウンティング・クロウズ
米国西海岸サンフランシスコをベースとしたバンド。'90年代の初め頃から活動している。バンドのメンバーでソングライターのアダム・デュリッツ、彼を中心とした5人編成のグループ。カウンティング・クロウズのデビューはひじょうに幸運で最初のシングル曲「Mr. Jones」が大ヒット。続くセカンド・アルバムは全米アルバム・チャート初登場1位という快挙を成し遂げる。この突然の成功にとまどいがあったのか、その後バンドのメンバーが辞めたり、ヴォーカルのアダム・デュリッツが神経衰弱になったりと問題が起こった。米国のこうしたエンターテインメントの世界で成功するとなると、それまでの生活とずいぶん変わってしまうという話をよく聞く。ただカウンティング・クロウズの場合はそこで終わったりせずにまた新たに活動を続けてゆく。現在まで5枚のスタジオ盤をリリースしている。そのカウンティング・クロウズの新しいレコードが出た。アルバム・タイトルは『Underwater Sunshine(Or What We Did On Our Summer Vacation)』で、今回はカヴァー・ソング集となっている。ディラン、フェイセズ、グラム・パースンズ、フェアポート・コンベンションといった'70年代のカヴァー、そこにティーンエイジ・ファンクラブ、トラヴィスといった新しいバンドのカヴァーもやっている。カウンティング・クロウズはライヴもとても定評がある。今回のカヴァー・ソング集でもバンドのアンサンブルがとても自然でいい感じ。アルバム『Underwater Sunshine(Or What We Did On Our Summer Vacation)』からボブ・ディランのカヴァー「You Ain't Goin' Nowhere」、ティーンエイジ・ファンクラブのカヴァー「Start Again」。

・Don't Let Yourself Down
「私は馬鹿じゃないの ママがいろいろ教えてくれたから」と歌うのはスウィング・アウト・シスターの「Don't Let Yourself Down」。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

今週は「自然体感塾 ワンダースクール」。子どもたちを自然の中へ連れて行きセンス・オブ・ワンダーをキーワードにした野遊び教室を開いてている。自然の中で豊かな感性を育んでもらうことを目的に2000年から活動している。

・Mother Popcorn, Pt. 1
・Your Mother Should Know
・7日じゃたりない

「トーキョー・シック」は4月に東京のアバコ・スタジオでレコーディング・セッションが行われた。今回はビッグバンドとのレコーディングなので広いスタジオでしかレコーディングができなかった。そこで都内でもかなり広いルームを持ったアバコ・スタジオでレコーディングを行った。

そしてこの曲の編曲は日本のビッグバンド界のベテラン、前田憲男さんに依頼した。以前元春のアルバム『Slow Songs』でも何曲か編曲している。前田憲男さんの伝説にスコアを両手で書いてしまうという技がある。頭の中ではいろんな楽器のメロディが同時に鳴ってるのだろう。普通だったら一枚の五線譜に音符を書いていくが、前田さんの場合は二枚の五線譜に違うメロディを両手で書いてしまうという。正に天才のなせる技だといえる。現在77歳。まだまだ現役の素晴らしいミュージシャン。

楽器の音を録音してそれを曲としてまとめてくれるレコーディング・エンジニア。良いサウンドを得ようとするときにいちばん大事なスタッフがこのレコーディング・エンジニア。特に今回のようにビッグバンドのレコーディングになると、それなりの録音技術とそうした音楽に対する理解が必要となる。ということで今回参加したのは行方洋一(なめかたよういち)さんというベテランのエンジニア。録音からマスタリングまで全部一人で行う、それだけに一環した音作りができるというとても頼もしいエンジニア。現在69歳。バリバリの現役。

前田憲男さんと行方洋一さん、いづれもこの種のレコーディングに技術と経験を積んだ二人。ビッグバンド形式のサウンドを収録するための最高のスタッフが揃った。

・情けない週末
'90年代に前田憲男さんと行ったアルバム『Slow Songs』から「情けない週末」。編曲は前田憲男さん。
「フルオーケストラということで音に広がりがあってとてもゴージャスな感じがしますよね。海外で言えばフランク・シナトラやビリー・ホリデイのストリングス・アレンジをしたゴードン・ジェンキンスのような編曲だと思います」と元春。

前田憲男さんは今回の「トーキョー・シック」の編曲もしている。日本では'50年代にジャズ・ブームがあった。第一期ジャズ・ブームと呼ばれている。1951年にラジオ放送がはじまったのが大きかった。当時のDJたちがこぞってフランク・シナトラやドリス・デイのヒット曲を流した。日本では江利チエミさん、雪村いづみさんがこの年1951年にデビューしている。元春の両親は音楽が大好きで当時、ジャズ、ロックンロール、ラテンをよく聴いていたそうだ。その趣味が高じて元春の母親はジャズ喫茶をやっていた。そのこともあって元春が物心がつく頃には家にたくさんのレコードがあったとか。「しかしその僕が今回雪村いづみさんとレコーディングするなんて聞いたら両親は本当にびっくりするだろうなと思います」と元春。

雪村いづみさんは歌手として、役者として活躍した大スター。元春も子どもの頃に雪村いづみさんの歌う姿や、映画の中の雪村いづみさんを見て知っていた。とてもモダンで、明るくて、スマートな女性だと子ども心に思っていたという。同じ東京生まれ、東京育ち。何か通じるものがあったのかもしれない。そして雪村いづみさんが活躍した'50年代、元春の父親と母親の出会いもあった。元春がこの世に生まれる前に二人はデートでよく新橋のダンスホールに行っていたという。当時、新橋のダンスホールといえばひとつしかなかった。新橋フロリダ。新橋フロリダは雪村いづみさんが歌手としてデビューした場所。

佐野元春 : もしかしたら僕の両親は新橋フロリダで歌う雪村さんを生で見ていたんじゃないか、そんなことを思うと何か雪村さんとは不思議な縁というものがあるのかなと思います。まっ、偶然だと思います。その雪村さんスタジオにいらっしゃったとき本当に颯爽としていてかっこよかったですね。雪村さんと言えば人気絶頂のときにアメリカに巡業に行かれたりして、何かにチャレンジする気持ちというものが人一倍だと聞いてました。実際にお会いして正にそのとおりで、お年のことを言うのは失礼かと思いますが、現在75歳。とてもその年齢を感じさせないバイタリティを感じます。とにかく好奇心が旺盛の方でしたね。最近のデジタル・レコーディングの様子を見て、あれは何? 今何してるの? といった感じで常に研究熱心にしていました。レコーディングでは二人でヴォーカル・ブースに入ってこの曲「トーキョー・シック」を一緒に歌いました。雪村さん、とにかく素晴らしかったですね。第一声を聴いたとき、不思議なんですけれども、雪村さんのお顔が二十代に戻ってました。何か僕は往年のミュージカル映画の中で雪村さんと共演してるかのような、そんな夢のような瞬間を感じました。雪村さんのヴォーカルも本当に年齢とは思えない声のミッドレンジですね、いわゆる中域がしっかり出ていて、僕が言うのもおこがましいんですけれども、素晴らしいヴォーカルで歌ってくれました。今は雪村さんに、また編曲の前田憲男さん、エンジニアの行方洋一さん、そして何よりもこれまで日本のジャズ・シーンを引っ張ってきた名うてのミュージシャンのみなさんに心から感謝したいです。そうですね。ミックスダウンが終わって、改めてこの曲「トーキョー・シック」を聴いたとき思いました。日本でこうしたジャズが流行っていた'50年代、戦争でボロボロになった日本が焼け野原から立ち上がろうとしていた時代ですよね。戦後の復興にあたって人々を元気づけたのはこんな歌だったんじゃないのかな、そんなことを思いながらこの曲を書いてみました。そんな大変な時代に僕の父と母が出会い、僕を生んでくれました。僕が今こうしているのも二人のおかげです。もうすぐ母の日ということで僕の母にはカーネーションの代わりに雪村さんと歌うこの曲をプレゼントしたいと思います。僕の父と天国で踊ってくれてるといいなと思います。

・トーキョー・シック

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
コメント (1)
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