2013/06/11 OnAir - 2nd. Week - 特集:『NO DAMAGE』第一回
01.The Ad Libs:The Boy from New York City
02.STING:Englishman in New York
03.Ben Sidran:New York State Of Mind
04.Vampire Weekend:Everlasting Arms
05.Vampire Weekend:Step
06.Barbara Lewis:Hello Stranger
07.佐野元春:スターダスト・キッズ
08.佐野元春:ガラスのジェネレーション
09.佐野元春:サムデイ
10.佐野元春:イッツ・オーライト
11.佐野元春:ハッピーマン
12.佐野元春:グッドバイからはじめよう
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■内容の一部を抜粋
・特集:『NO DAMAGE』第一回
番組後半は元春の1983年のレコード『NO DAMAGE』を特集する。
・The Boy from New York City
ジ・アドリブスの「The Boy from New York City」。
・Englishman in New York
スティングの「Englishman in New York」。
番組前半はニューヨークについて歌ったレコードを集めている。
・New York State Of Mind
「New York State Of Mind」のオリジナルはビリー・ジョエル。ベン・シドランがカヴァーしている。
曲の中では"休暇を取って地元から出たがるヤツもいる マイアミ・ビーチやハリウッドに飛んだりして でも僕はハドソン・リバー沿いのグレイハウンドバスに乗っている 僕の心はニューヨークへの思いでいっぱいなんだ"と歌っている。元春は個人的にはこのベン・シドランの「New York State Of Mind」のほうが好きなんだとか。
・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月6月の「3PICKS!」はジョシュ・ラウズ『Happiness Waltz』、ヴァンパイア・ウィークエンド『Modern Vampires of the City』、そしてジョン・フォガティ『Wrote a Song Everyone』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はヴァンパイア・ウィークエンド『Modern Vampires of the City』。
・ヴァンパイア・ウィークエンド
米国、ニューヨーク出身のインディ・ロック・バンド。メンバーは大学在籍中に知り合って2006年にバンドを結成した。現在まで2枚のスタジオ録音盤を出している。2008年に出したデビュー・アルバムが全世界で大ヒットした。アフリカのリズムを取り入れたポップ・サウンド。ちょうど'80年代に同じニューヨークのバンド、トーキング・ヘッズがやっていたようなアプローチをしていた。ヴァンパイア・ウィークエンドは現代のバンドだからトーキンクグヘッズよりももっと直接的でダンサブルなサウンドになっている。
「そうですね。僕もニューヨークにいたことがあって、そのときに感じたのは人種に関係なく、リズムとかビートに人々がとても強い関心を持っているということですね。とにかく世界中からいろいろな人たちが集まっていますから、リズムの取り方、グルーヴの感じ方というのは本当に人それぞれという感じです。例えばダウンタウンにあるライヴハウスですね。そこには様々な地域から来たミュージシャンが集まっています。中南米の人も入ればアフリカ系の人もいる。ブラジル系の人もいる。もちろん白人もいて、僕のようなアジア系もいるといったような感じですね。そしてそのライヴハウスでセッションが始まると、みんなそれぞれのリズムでグルーヴを作ってゆくということになります。そこにはルールもないし、やってはいけないということは何もありません。最初はバラバラなんですけれども、不思議なことにそれがだんだん交じり合って、何ともいえない新しいグルーヴが生まれてきます。ニューヨークという街はそのような街ですね。様々な人種が自分の文化を持ち寄って他の文化と融合さしていく。そこにとてもダイナミックな変化が起こるということですよね。ですのでニューヨークのバンド、例えば先ほど話に出てきたトーキング・ヘッズ、あるいはポール・サイモンですよね。彼らはそうした非欧米の音楽を自分たちの中に取り入れることで何か新しいものを作り上げてました。そうした音楽的実験もニューヨークならではといえることができます。今回取り上げたヴァンパイア・ウィークエンドもそうした実験をしているグループのひとつです。新しいアルバムが出ました。アルバム・タイトルが『Modern Vampires of the City』今回のアルバムではそのアフリカ音楽の要素はだいぶ少なくなっているようです。代わりにリズムはもっとシンプルに、そして音はもっとオーガニックに、そんな変化を感じました」と元春。
新しいアルバム『Modern Vampires of the City』から「Everlasting Arms」と「Step」の2曲。
・Hello Stranger
元春がニューヨークに行ったのは1980年代の前半。ケネディ空港からタクシーに乗ってマンハッタン市内に至るまで左側にイースト・リバーを見ながら街に入ってゆく。そのときタクシーのカーラジオから聴こえてきた曲がバーバラ・ルイスの1964年の曲「Hello Stranger」だったとか。曲の中では"久し振りね ずいぶん長い間会ってなかったわね 心が揺れちゃうから からかったりしないでね"と歌われるとても切ない歌。でも元春にとっては「Hello Stranger」という曲はマンハッタンという街が訪問者である元春をやさしく迎えてくれる、そんな挨拶代わりの曲に聴こえたのだとか。
・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/
今週は「福井市環境パートナーシップ」。行政や企業、そして市民が連携して環境保全に取り組めるよう支援している団体。セミナーやイベントで環境活動の普及に努めている。
・スターダスト・キッズ
元春の1983年のレコードで「スターダスト・キッズ」。
佐野元春 : 1983年、27歳のときですね。僕はマンハッタンにいました。その前にしばらく日本を離れるということで旅立つ前に一枚アルバムを出しました。それが『NO DAMAGE』というアルバムです。このアルバムが国内のチャートで1位になったということはニューヨークに行ってしばらくしてから知りました。うれしかったですね。とにかくそのときの自分は前へ前へという感じでニューヨークでの新しい生活で忙しくしていました。さて、アルバム『NO DAMAGE』。リリースが1983年ですね。今年はこのアルバムが出てちょうど30年目を迎えました。そこで今夜のMotoharu Radio Show。アルバム『NO DAMAGE』を特集します。
・ガラスのジェネレーション
・サムデイ
佐野元春 : アルバム『NO DAMAGE』。このアルバムはひとことでいうと、佐野元春、僕の初期のベスト・アルバムです。'80年デビューからの『BACK TO THE STREET』、『HEART BEAT』、そして『SOMEDAY』。この3枚のオリジナル・アルバムに加えてシングルのB面、そして未発表の曲を収録したのがこのアルバム『NO DAMAGE』です。しかし、これはベスト盤といってもオリジナル・アルバムと同じようにとても充実した内容になりました。初期の僕の音楽を聴いてもらうときにはとてもいいレコードだと思います。このアルバムでは僕が多感な頃聴いたビートルズ、ディラン、フィル・スペクターといった'60年代、'70年代ポップロックへのリスペクトを込めて作りました。ソングライティングでいうと自分が生まれ育ったこの東京、街というのをテーマにして、そこに暮らす少年や少女たちの感情を歌にしてみました。本当のことを言うと、それまで大したシングル・ヒットもなかったんですけれども、このアルバムでは自らグレーテスト・ヒッツ・アルバムと言ってました。そんなふうに楽しみながら作ったのがこのアルバム『NO DAMAGE』です。ではこのアルバムから「イッツ・オーライト」、「ハッピーマン」2曲聴いてください。
・イッツ・オーライト
・ハッピーマン
佐野元春 : アルバムリリース30周年目を迎えて今夜のMotoharu Radio Show。アルバム『NO DAMAGE』を特集しています。このアルバムを作った当時僕は26歳でした。当然洋楽も聴いて、国内の音楽も聴いていました。特に'60年代、'70年代ビート・バンドの音楽、そしてシンガー・ソングライターの音楽をよく聴いていました。ザ・フー、ストーンズ、キンクス、ビートルズ、そしてボブ・ディランですね。そうした音楽の特にリリック、詩の内容が気になっていました。これらの音楽に共通しているのは大人たちに向けた反抗心ですね。フーの「My Generation」、ストーンズの「Satisfaction」、あるいはビートルズの「Help!」。みんな大人たちにとっては痛恨の一撃とも言える名フレーズがたくさん入ってます。しかし当時、国内のポップ音楽を聴いてみると、そうしたごきげんなロックンロールがほとんどありませんでした。I LOVE YOU、YOU LOVE MEをテーマにした、いわゆる50S'のロックンロールのステレオタイプなロックンロールばかり。そこで自分で曲を書いてみようと思いました。「ガラスのジェネレーション」、"つまらない大人にはなりたくない"。「スターダスト・キッズ」、"本当の真実がつかめるまでCarry On"。街の子どもたちが大人と向かい合うとき、ひとつの武器になるようなラインですよね。このアルバム『NO DAMAGE』にはそんなことを考えてた僕の初期の曲がいっぱい詰まったアルバムだといえます。特集『NO DAMAGE』。そろそろ時間がなくなってしまいました。この続きはまた来週届けたいと思います。アルバム『NO DAMAGE』、このアルバムを発表して僕はニューヨークに行きました。それまで応援してくれたファンに何かメッセージを残したいと思ってこの曲をレコーディングしました。「グッドバイからはじめよう」。今夜はこの曲を聴きながらお別れです。
・グッドバイからはじめよう
・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/