Sunday Song Book #1583

2023年02月12日 | Sunday Song Book

2023年02月12日プレイリスト「ディノ・ダネリ追悼」
1. GOOD LOVIN' / THE YOUNG RASCALS '66
2. WHAT IS THE REASON / THE YOUNG RASCALS "COLLECTIONS" '66
3. LOVE IS A BEAUTIFUL THING / THE YOUNG RASCALS "COLLECTIONS" '66
4. A GIRL LIKE YOU / THE YOUNG RASCALS '67
5. IT'S WONDERFUL / THE RASCALS '67
6. HEAVEN / THE RASCALS '69
7. CARRY ME BACK / THE RASCALS '69
8. RIGHT ON / THE RASCALS '71
9. NAMA / THE RASCALS "SEARCH AND NEARNESS" '71
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
昨年のツアーの振替公演は残り3本になった。先週2月6日(月)、7日(火)は札幌文化芸術劇場 hitaru。今週2月16日(木)は岩手県民会館 大ホール。2月21日(火)、22日(水)は仙台サンブラザホールで追加公演。これでPERFORMANCE 2022、全49公演が終了。

・ディノ・ダネリ追悼
今週予定していた「『ウサギ』で棚からひとつかみ」パート2。まだオーダーしたレコードが着いてないので来週に持ち越しになった。なので今週は達郎さんの中学、高校の頃のアイドル・グループのヤング・ラスカルズ、ドラマーのディノ・ダネリが昨年の12月15日に亡くなったので、ディノ・ダネリの追悼をかねてラスカルズ特集。

・GOOD LOVIN'
ヤング・ラスカルズの「GOOD LOVIN'」は1966年、全米NO.1のミリオンセラー。

ディノ・ダネリは1960年代のアメリカン・ロックンロールを代表するドラマーの一人。1944年、ニュージャージー生まれ。昨年12月に亡くなった、78歳だった。ジャズのトレーニングを受けて、60年代なのでロックンロールに入っていき、ヤング・ラスカルズというグループを作った。ヤング・ラスカルズというのは当時としては珍しいベースのいないグループで、ハモンド・オルガンとドラムとギターという編成で、イーストコーストあたりのクラブを荒らしまくった。アトランティック・レーベルが契約した初めての白人グループ。

・WHAT IS THE REASON
1966年のセカンド・アルバム『COLLECTIONS』。達郎さんが初めて買ったヤング・ラスカルズのレコードなので印象に残っているという。当時のロック・シーンでもひじょうにユニークなドラミングで、一回聴いたら忘れられないドラム・ソロの「WHAT IS THE REASON」。

ディノ・ダネリはジャズのトレーニングを受けた人なので、ジーン・クルーパに憧れ、ひじょうにエキサイティングな、素晴らしいドラミングをする人。曲を聴いていてもドラムに耳がいってしまう。

・LOVE IS A BEAUTIFUL THING
1966年のセカンド・アルバム『COLLECTIONS』に入ってる初期の有名な作品「LOVE IS A BEAUTIFUL THING」。

この時代のアメリカの三大ライヴ・バンドと言われたヤング・ラスカルズ。あとの二組はドアーズとジェファーソン・エアプレイン。リード・ヴォーカルが二人いてフェリックス・キャヴァリエとエディ・ブリガッティ。この二人のコンビでソングライティングもして、フェリックスの作曲にエディの作詞というソングライター・コンビだった。グループをバックアップしたのはエンジニアのトム・ダウドとアレンジャーのアリフ・マーディン。

・A GIRL LIKE YOU
1967年、全米10位の「A GIRL LIKE YOU」。邦題は「高鳴る心」。「途中のディノ・ダネリのフィルがたまらない一曲」と達郎さん。サード・アルバム『GROOVIN'』に収録されていて、オリジナルUSアルバムはA面一曲目がこの「A GIRL LIKE YOU」だったが、日本盤は「GROOVIN'」が全米NO.1になったのでA面一曲目は「GROOVIN'」になっている。

ディノ・ダネリは美術の心得があったので、1967年のアルバム『GROOVIN'』のジャケットのイラストを描いている。この先、アート・ディレクション、イラスト、オブジェを手掛けるようになる。それがラスカルズのアルバムの音楽だけではなくアーティスティックな特徴を発揮する要因になっている。

この頃からレコーディングにベーシストが参加するようになり、ロン・カーター、チャック・レイニー、リチャード・デイヴィスといったジャズの一流どころの錚々たる人たちの演奏、それにアリフ・マーディンのオーケストレーションが加わりゴージャスな作りになった。

もともとバンドをはじめた頃はラスカルズだったが、同名のグループがいたため、ヤングを付けてヤング・ラスカルズでデビューした。でもこの頃になると先にラスカルズと名乗っていたグループがいなくなり、1967年にはもとのラスカルズ名義で作品を発表するようになった。

・IT'S WONDERFUL
1967年、全米20位の「IT'S WONDERFUL」。ひじょうにサイケな作品でシングル・ヴァージョンの方がおもしろいが、今日はディノ・ダネリのドラムがよく聴こえるステレオ・ヴァージョンで。間奏のサックスはスティーヴ・マーカス。達郎さんはラスカルズの作品でアトランティック・ジャズのミュージシャンに目を開かされ、ジャズの恩恵を受けたそうだ。
曲をかけ終えて。「(ディノ・ダネリは)いわゆるジャズ系のドラマーなので走ると言いましょうか、ラッシュする。それがまたいいんです。このスピード感といいましょうかですね、だんだん走ってくる感じといいましょうか。今のコンビューター・ミュージックに慣れた人だと走ってるなと。違うんです。これが人間のグルーヴです」と達郎さん。

・HEAVEN
今日はディノ・ダネリのドラムのいいやつを選んでるため、1967年から1年飛んでいきなり1969年。達郎さんがラスカルズの作品の中でいちばん好きな一曲。アルバム『FREEDOM SUITE』(自由組曲)に入ってる、1969年、全米39位のスマッシュ・ヒット「HEAVEN」。ベースのリチャード・デイヴィスのコーダといい、それに呼応するディノ・ダネリのフィルイン、演奏が最高のグルーヴをしている。

だんだんチャートが振るわなくなってくるのは公民権運動の中で、黒人のアーティストと一緒にやらないとイベントには出ないという運動に参加することによって、南部でのライヴが捗々しくなくなることがあり、それからメッセージ性が強くなってくるという、いろんなことがあって商業性が希薄になってくる時代になってゆくが、作品は素晴らしいものなので、達郎さんはチャートなど全く気にせずに聴いていたとか。

・TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection
RCA時代のカタログ8作品をアナログ盤とカセットで再発することになった。76年から82年までの作品を『FOR YOU』から遡るかたちで順次発売。第一弾は5月3日。
5月3日に『FOR YOU』。
6月7日に『RIDE ON TIME』。
7月5日に『MOONGLOW』と『GO AHEAD!』。
8月2日に『SPACY』と『CIRCUS TOWN』。
9月6日に『IT'S A POPPIN' TIME』と『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』。
5ヶ月連続リリース。
詳しくは山下達郎RCA/Airイヤーズ・ヴァイナル・コレクションの特設サイトにて。
https://www.tatsurorcaairyears.com

・CARRY ME BACK
1969年のアルバム『SEE』はルネ・マグリットのジャケットで有名。このアルバムからのシングル・カットで全米26位の「CARRY ME BACK」。
曲をかけ終えて。
「このハイハット・ワークのコンビネーションの素晴らしさったらないですね。追随許さないという。素晴らしい」と達郎さん。

ラスカルズはだんだんメンバーが分裂してアトランティックでの最後のアルバム『SEARCH AND NEARNESS』(1971年)でエディ・ブリガッティが脱退する。ストックで作られたアルバムだが、「でも内容は私すごく好きなんですけれども」と達郎さん。

・RIGHT ON
『SEARCH AND NEARNESS』の1曲目「RIGHT ON」は日本ではシングル・カットされた。「このスネアのポイントが素晴らしい一曲」と達郎さん。

1971年の『SEARCH AND NEARNESS』のアルバムのジャケットはウィーン分離派のWolfgang Hutter(ヴォルフガング・フッター)。ディノ・ダネリは歌をよく聴いてるドラマーで、歌にレスポンスする瞬間のスリルが素晴らしい。

・NAMA
ディノ・ダネリのドラム・ソロをフィーチャーした作品。1971年の『SEARCH AND NEARNESS』のA面の最後に入ってる「NAMA」。

ディノ・ダネリはラスカルズ解散後、Bulldog、Fotomakerというバンドを経て、リトル・スティーヴンのプロジェクトに加わり、長いこと活動を続けた。達郎さんは2012年にラスカルズが再結成されたときにニューヨークまで観に行って、そのときにも素晴らしいドラミングを聴かせてくれたそうだ。「思い出と共にご冥福をお祈りしたいと思います」と達郎さん。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

2023年02月19日は、「『ウサギ』で棚からひとつかみ PART 2」
http://www.tatsuro.co.jp
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする