2023年07月23日プレイリスト「極私的・坂本龍一追悼特集 PART 2」
1. SYNC OF SUMMER / 山下達郎 7月26日発売ニュー・シングル
2. ものおぼえのいい郵便屋さん / 少年少女合唱団みずうみ "海や山の神様たち" '75
3. ドリーミング・ラブ / 中原理恵 "キリング・ミー" '78
4. 個室 / 中原理恵 "キリング・ミー" '78
5. 本気でオンリー・ユー (LET'S GET MARRIED) / 竹内まりや "ヴァラエティー" '84
6. あしたこそ、あなた / 矢野顕子 '81
7. TIBETAN DANCE (VERSION) / 坂本龍一 "音楽図鑑" '84
8. GREENFIELDS / 矢野顕子 "オーエス オーエス" '84
9. ON A CLEAR DAY (YOU CAN SEE FOREVER) (LIVE) / 坂本龍一、矢野顕子、山下達郎 "85/09/17 渋谷ジァン・ジァン"
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録しているそうだ。現段階ではロームシアター京都が終わってるが、大阪と京都はうまくいってるはずとのこと。本日はフェニーチェ堺、今週は東京に戻って7月28日(金)、29日(土)がNHKホール。
・山下達郎 PERFORMANCE 2023
今年の全国ホール・ツアー「山下達郎 PERFORMANCE 2023」は18都市39公演。6月30日から11月6日まで。
チケットの一般発売日などの詳細は山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/live/
・極私的・坂本龍一追悼特集 PART 2
先週に引き続いて坂本龍一さんの追悼特集「極私的・坂本龍一追悼特集」。そのパート2。先週は達郎さんの作品の中から坂本龍一さんに手伝ってもらったものを中心に。今週は達郎さんが人に書いた曲で坂本龍一さんに手伝ってもらったもの、坂本龍一さんの作品から達郎さんが手伝ったものを、いろいろ取り混ぜて特集する。
・SYNC OF SUMMER
今週、7月26日に通算53枚目のシングル「SYNC OF SUMMER」が発売。キリンの「午後の紅茶」のCMソング。
坂本龍一さんと最初に知り合ったのはシュガーベイブ時代の1975年。その当時、坂本龍一さんは藝大を出て、放送局の劇判の仕事とか、そういうようなものをしている中で、フォーク、ロック関係のミュージシャンのバックを務めるようになり、だんだんだんだん、そっちの世界に来ているという、そういう時代だった。
・ものおぼえのいい郵便屋さん
1975年にビクターの文芸と呼ばれる童謡とか児童向けの音楽、そういうようなものを作るセクションで、六文銭のメンバーの及川恒平さんが作詞して、坂本龍一さんが作曲、及川恒平さんは北海道の方なので、アイヌのエピソードをテーマにしたアルバムが制作された。『海や山の神様たち』というタイトルで、歌っているのは少年少女合唱団みずうみ。この作品で坂本龍一さんから達郎さんにコーラスのアレンジをしてくれという依頼があった。演奏しているのは当時のりりィさんのバンド、バイバイ・セッション・バンド。当時、ユーミンのダディ・オーのメンバーだった平野兄弟、平野融(とおる)さんのベース、平野肇さんのドラム、パーカッションの斎藤ノブさん、ギターが伊藤銀次さん、坂本龍一さんがキーボードのセッション・メンバーでレコーディング。コーラスの依頼は譜面も何もなく、テープだけしか来なかったという。それも子どもが歌ってるテープで、「自分でコードを取らなきゃなんないんですけど、これが坂本龍一さんは現代音楽の人なので、めっちゃくちゃ難しい(笑)。そればっかり頭に今でも残ってます」と達郎さん。必死に譜面を取ってコーラス・アレンジをしたという。ものによっては大貫妙子さんと達郎さんがコーラスをしているのでシュガーベイブとクレジットされている。この中から「ものおぼえのいい郵便屋さん」。
いろんな仕事をして、終わったらゴールデン街で酒飲んで管を巻くという青春だったそうだ。
・ドリーミング・ラブ
1978年の中原理恵さんのアルバム『KILLING ME』に達郎さんは2曲提供している。村上"PONTA"秀一さんのドラム、岡沢章さんのベース、松木恒秀さんのギター、そして坂本龍一さんのキーボード。当時の達郎さんのライヴを手伝ったもらった面々。バラードの「ドリーミング・ラブ」。
・個室
こういうときでなきゃかけられないのでもう一曲。1978年の中原理恵さんのアルバム『KILLING ME』から「個室」。このメンバーのタイム感の良さが十二分に発揮されているラテン風味の曲。
曲をかけ終えて。
間奏のギターは松木恒秀さんではないと達郎さん。渡辺香津美さんのような感じだけれど、この当時の歌謡曲のアルバムはクレジットがない。「すいません。さすがに覚えておりません。ふふふ」と達郎さん。
1978年から坂本龍一さんはYMOの活動がはじまる。それでだんだん距離が出てきて、同時期に達郎さん自身も「RIDE ON TIME」でブレイク。ライヴのメンバーが変わって少し疎遠になった。1980年代に入って矢野顕子さんの仕事から、また関係が緊密になる。
・本気でオンリー・ユー (LET'S GET MARRIED)
1984年、竹内まりやさんのアルバム『VARIETY』をレコーディングしていたら、スタジオの8階で達郎さん、まりやさんがレコーディングしていると、坂本龍一さんが7階でアルバム『音楽図鑑』のレコーディングをしていた。7階のスタジオと8階のスタジオは互いに入れ替わることもあったが、ずっと続いていたときに、「本気でオンリー・ユー (LET'S GET MARRIED)」のイントロのウェディング・マーチの演奏を坂本龍一さんにお願いに行ったという。当時出たばかりのサンプリング・マシーンの音源でパイプ・オルガンを再現してイントロを弾いてもらったとか。
話はちょっと戻るが、1978年、達郎さんのライヴに坂本龍一さんが参加していたとき、ライヴで仙台に行って、帰りの電車は当時まだ4人掛けのボックスの座席。新幹線は開通しておらず電車で帰ることになり、坂本龍一さんと対面で乗ると、坂本龍一さんはずっと誰かのライヴの譜面を書いていた。達郎さんが本を読みながらそれを眺めていると、突然「一曲書かない?」って、それで書かされたことがあるそうだ。坂本龍一さんは楽屋や電車でしょっちゅう譜面を書いていたという。それがすごく記憶に残っていて、そのことを思い出したと達郎さん。
・あしたこそ、あなた
矢野顕子さんの仕事を坂本龍一さんがやっていた時代にコーラスを一曲頼まれた。達郎さん自身がすごく気に入ってる曲で1981年のシングル「あしたこそ、あなた」。アソシエーションのようにやってくれと言われたそうだ。達郎さんはギターとコーラスで参加している。
・シングル「SYNC OF SUMMER」予約会
本日7月23日のフェニーチェ堺まで、ニュー・シングル予約会を行っているという。ライヴ会場限定の予約特典はジャケットのB3のアート・ポスターで、達郎さんのプリント・サインが入っている。発売日以降でも会場でニュー・シングルを購入するとプレゼントする予定。詳しくはワーナーミュージックの山下達郎サイトにて。
詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://wmg.jp/tatsuro/
・TIBETAN DANCE (VERSION)
1984年の坂本龍一さんのアルバム『音楽図鑑』に達郎さんはギターとコーラスで参加している。コーラスはフェアライトにサンプリングして使ってるとか。ファースト・プレスのボーナス・12インチ・シングルに収録された「TIBETAN DANCE (VERSION)」に達郎さんのギターがフィーチャーされている。
・GREENFIELDS
この時代、達郎さんが印象に残っているのは矢野顕子さんのアルバム『オーエス オーエス』。最後の曲「GREENFIELDS」は達郎さんがコーラスを担当している。エンディングのコーラスを伸ばすところ。フォー・ヴォイスのコーラスなのでダビングして8回歌う。クリックが入ってないので「仮カマ」と呼ばれる、仮にクリックを入れることを提案したら、矢野顕子さんから「クリックないとできないの?」と言われたそうだ。それでクリックなしでコーラスをレコーディング。ドヤ顔してたら矢野顕子さんが「やればできるじゃない」って。その思い出が強烈に残っているとか。
「坂本くんは本っ当に仲よかった時代もありますので、本当に惜しい才能が、まだまだ長生きしてほしかったですけど。彼の名前をずっと継いで、語って、居続けていきたいと思います。政治的な心情とかは少し違ったことはありましたけれど、彼が友人であることは何の変わりもありません。ご冥福を心よりお祈り申し上げております」と達郎さん。
・ON A CLEAR DAY (YOU CAN SEE FOREVER) (LIVE)
1985年9月17日に矢野顕子さんのソロ・ライヴが渋谷ジァン・ジァンであったとき、達郎さんがゲストに呼ばれた。そのとき坂本龍一さんがシンセで加わって、3人で演奏した曲が何曲かある。その中からミュージカル『晴れた日に永遠が見える』のテーマ・ソングで「ON A CLEAR DAY (YOU CAN SEE FOREVER)」。矢野顕子さん、坂本龍一さん、達郎さんのトリオの演奏。
そのときの思い出。春風亭柳昇師匠がまくらでよく言っていた「あなた、この扇風機、首がよく回らないわよ。当たり前だ借金で買ったからだ」という小噺を言ったら、坂本龍一さんにウケて、ひとりでゲラゲラ笑っていた。それが今でも印象に残っているそうだ。
■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2023年07月30日は、「アイク&ティナ・ターナーで棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp