Motoharu Radio Show #174

2014年01月23日 | Motoharu Radio Show

2014/01/21 OnAir - 3rd. Week - 大滝詠一追悼特別番組 ~ありがとう、大滝さん~ 第一回
01.Chuck Berry:Johnny B. Goode
02.Little Richard:Good Golly Miss Molly
03.Larry Williams:Slow Down
04.Gene Vincent And His Blue Caps:Blue Jean Bop
05.Buddy Holly:Rave On
06.はっぴいえんど:12月の雨の日(シングルバージョン)
07.大滝詠一:ウララカ
08.笠置シヅ子:七福神ブギ
09.The Byrds:Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is a Season)
10.The Turtles:It Ain't Me Babe
11.The Crystals:Red Rubber Ball
12.Simon & Garfunkel:The Sound of Silence
13.Moby Grape:Omaha
14.Buffalo Springfield:Bluebird
15.大滝詠一:あつさのせい
16.吉田美奈子:夢で逢えたら
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■内容の一部を抜粋

佐野元春 : さて、昨年末、大滝詠一さんが亡くなりました。とても残念なことです。突然の訃報に驚かれた方も多いと思います。謹んでお悔やみを申し上げます。'70年代から現在まで大滝さんは独特の美学と方法論を持って日本のポップ・ミュージックにひとつの可能性を開いてきました。Motoharu Radio Showでは今夜から4週に渡って大滝詠一追悼特別番組「ありがとう、大滝さん」を放送します。'80年代、Motoharu Radio Showから現在まで、過去30年間に渡る貴重なアーカイヴをもとに、リスナーのみなさんと大滝さんの思い出を振り返ってみたいと思います。

大滝さんといえば「ゴー・ゴー・ナイアガラ」。ミュージシャンとしてだけではなく、ディスク・ジョッキーとしても素晴らしい仕事をなさっていました。選曲、構成、そしてトーク。大滝さんの番組「ゴー・ゴー・ナイアガラ」は時代を超えて多くの音楽ファンを魅了しました。1975年、ラジオ関東での放送にはじまって、1979年からの3年間はTBSラジオで、毎週楽しいトークと音楽を届けていました。ラジオということでいうと、大滝さんはこのMotoharu Radio Showとも深い縁があります。1986年9月。僕が海外レコーディングでどうしても番組に出られないことがありました。そのときリスナー・ファンのために代理としてDJをやってくれた人がいました。それが大滝さんです。大滝詠一追悼特集、今夜はまず、Motoharu Radio Show、1986年9月8日の放送からディスク・ジョッキー、大滝詠一、彼の名調子を振り返ってみたいと思います。

●「Motoharu Radio Show」1986年9月8日放送アーカイヴ

大滝詠一 : これは「Johnny B. Goode」と言う、このギターのイントロで有名な曲ですけれども。一口に言いましてロックンロールというのはもうこの曲だというふうに言ってもいいくらいなんですよね。まぁ、ですからこの曲、チャック・ベリーなどを聴いてみようというふうに思いますが。これがオリジナルがチャック・ベリーという人の曲でして。まずはそのオリジナルを聴いてみたいと思います。「Johnny B. Goode」!

・Johnny B. Goode

大滝詠一 : チャック・ベリーでお送りしました。「Johnny B. Goode」でしたけれどもね。やっぱりロックンロール一曲というとこの曲が出てくると思います。ロックンロールと言いますと必ずギターを使わなければいけないかということではもちろんなくって。ピアノを使ったロックンロールというのもあります。ピアノを使って、ロックンローラーとして、ピアノのロックンローラーとして有名なのは、まずこの人でしたね。リトル・リチャード。リトル・リチャードの中からはビートルズは「のっぽのサリー」、「Long Tall Sally」をカヴァーしていますけれども、今日はリトル・リチャードの曲から「Good Golly Miss Molly」を聴いてみましょう。リトル・リチャード。

・Good Golly Miss Molly

大滝詠一 : リトル・リチャードでお送りしました。「Good Golly Miss Molly」でしたね。このリトル・リチャードという人は本当にこのシャウトして声が最初から潰れているんですね。ビートルズよく「フー」いうようなのをやりますよね。あれはこのリトル・リチャードのを取り入れてるんですね。「She Loves You」とかそういうのどんな曲にも初期の頃は出てきましたけれども、それはこのリトル・リチャードの得意技だったわけで。特にポール・マッカートニーはリトル・リチャードのモノマネが得意だったようですね。そういうようなリトル・リチャードにそっくりな曲なども作ったぐらいに、どうしようもなくリトル・リチャードが好きだったようです。さて、この人はピアノを弾いて、というわけではないですけれども、ジョン・レノンが、特にこの人が好きでしたね。ラリー・ウィリアムスという人がいるんですけれども、この人のロックンロールというか、黒人の人ですからR&Bの範疇に入るんですけれど。この人の曲も聴いてみましょう。これもビートルズがカヴァーしてヒットさせましたけれども、ラリー・ウィリアムスで「Slow Down」。

・Slow Down

大滝詠一 : ラリー・ウィリアムスでお送りしました。「Slow Down」でした。黒人の人っていうのはやっぱり声が潰れていてひじょうに迫力あるので、こういうドライヴ感が出るんだと思うんですけれども。このラリー・ウィリアムスの曲からはあとジョン・レノンは「Dizzy Miss Lizzy」という曲もカヴァーしてますけれども。途中で「ブルルルルル」というのが出てきますけれどもね。「A面で恋をして」を歌ったときに佐野くんが3番目の歌詞んところでやりますよね。大体これが、こういう当時のR&Bとかロックンロールの歌詞はこういうふうな擬音というか、いろいろやんのが得意だったんですね。んで僕らそれを聴いて育ったのでやってみたということ。

・Blue Jean Bop

大滝詠一 : ジーン・ヴィンセントでお送りしました。「Blue Jean Bop」でしたけれどもね。この人が「ブルー・ジーン」というのを発音すると僕なんかはついついゾクゾクと来るんですけれども。デヴィッド・ボウイに「ブルー・ジーン・なんとか」というのがありましたが、あの曲聴いたときも僕はこの曲を思い出しましたけれども。さて途中でギターのフレーズで、2回目の間奏に♪メーリーさんの羊が出てきますけれども。大体ロックンロールの人っていうのはこういうふうなユーモアのセンスっていうのがありましてね。こういうのもひとつのロックンロールの特徴でもありました。これは私事ですけれども、松田聖子さんに「Rock'n'roll Good-bye」というのを僕が書いたことがあるんですけれども。間奏で「むすんでひらいて」のメロディを使ったことがあります。さて、もうひとり。これもまた佐野くんのアイドルでもありますし、この放送でたぶんかかってるかと思いますけれども。この人の曲を聴いてみましょう。バディ・ホリー。

・Rave On

大滝詠一 : バディ・ホリーでお送りしました。「Rave On」でしたけれどもね。やっぱりロックンロールというとこういうビートというか、アップテンポのものという限られがしますが。こういうのが大体ロックンロールのひとつの特徴でもあるわけです。

●「Motoharu Radio Show」1981年7月6日放送アーカイヴ
アルバム『A Long Vacation』リリース後に元春が大滝さんにインタビューした放送。

「12月の雨の日」は大滝さんにとって、レコーディングされた初めての曲で、はっぴいえんどのアルバムを作るときの第一日目の第一曲目でもあった。はっぴいえんどがオリジナルでいこうと決めたときに、いちばん最初に練習した曲だったので思い入れがあると大滝さん。

実は「12月の雨の日」は3タイプあってシングルは12弦ギターを8回くらいかぶせたという。アルバムのヴァージョンよりポップになっていて、シングルは2回録音して、ひとつがお蔵入りしているが、それがまたいい。アルバムのヴァージョンはフォーク・ロックだがシングルは今聴くとただのポップ・ソングという感じがして、時代なのかなと思ったりしている、と大滝さん

・12月の雨の日(シングルバージョン)

はっぴいえんどをはじめたときはポップから離れようと意識していたという。'70年代の風潮でアンチ流行歌の意識があった。その意識が妙なものであると途中でみんな気がついて、それで違う方向性を目指すときに何が出てきたのかというと、フィル・スペクターの影響が自分の中にかなりあるんだなと見つけたのだとか。それで「ウララカ」という曲を作ったそうだ。

・ウララカ

●「Motoharu Radio Show」2012年1月10日放送アーカイヴ
・ナイアガラDJトライアングル
いつもの番組枠を拡大して特別番組を二部構成で放送した。ナイアガラ・トライアングル Vol.2のメンバー、大滝詠一さん、杉真理さんをゲストに迎えてのDJショー。題して「ナイアガラDJトライアングル」。

「事始め」ということで大滝さんが選曲したのは笠置シヅ子さんの「七福神ブギ」。大滝さんは毎年正月に七福神めぐりをしているそうだ。

・七福神ブギ

服部良一さんは戦前からブギを書いてるらしい。笠置シヅ子さんで大ブレークしかけたところで戦争がはじまったとか。だから「東京ブギウギ」は戦後になってからのヒット。もしも戦争がなければもっと凄いことになってたと思うと大滝さん。「東京ブギウギ」はかなり年を取ってからのヒットだが戦後の暗い世相を吹き飛ばしたいという思いがあったのではないかと大滝さんは分析している。

・トゥイッター
「さて、Motoharu Radio Showでは今番組を聴いてくれている全国リスナーのみなさんがインターネット上で楽しくコミュニケーションできるトゥイッターを公開しています。ここに参加したいという方は今からURLをお知らせするので是非書き取ってください。www.moto.co.jp/MRS/ 番組からトゥイッターのお知らせでした」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

●「Motoharu Radio Show」1986年9月22日放送アーカイヴ

大滝詠一 : さて、留守番DJの3回目は本日はフォーク・ロックを特集してみたいと思います。'60年代中期から後半にかけてのフォーク・ロックのサウンドを楽しんでもらいたいと思います。ザ・バーズ。

・Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is a Season)

大滝詠一 : ザ・バーズでお送り致しました「Turn! Turn! Turn!」でした。'60年代の62,3年頃にビートルズが出てきまして、そのビートルズに対抗するというかたちでアメリカのグループはこういうフォーク・ソング、フォーク・ロックを中心にしたサウンドで対抗したわけですけれども。中でもこのバーズというのはその先兵隊と言いますかね、そういうかたちで出てきました。で「Turn! Turn! Turn!」という曲はピート・シーガーというフォークの人の曲であるということですけれども。ピート・シーガーと同じようにボブ・ディランという、このMotoharu Radio Showをお聴きの方はもうご存知と思いますけれどもね。ボブ・ディランという人の曲もたくさん取り上げられました。次はディランが書いた曲です。「悲しきベイブ」、ザ・タートルズ。

・It Ain't Me Babe

大滝詠一 : タートルズでお送り致しました「It Ain't Me Babe」。直訳しますと「それはぼくぢゃないよ」というタイトルになるかと思いますが(笑)。これはディランの曲でございます。タートルズというグループは別段、そのフォーク・ソングとかプロテスタントとかあまり関係がなかったようですけれど、そういうグループもディランの曲とかフォーク・ソングを取り上げるというような時代だったわけです。

・Red Rubber Ball

大滝詠一 : サークルでお送り致しました「Red Rubber Ball」でしたけれども、なかなかいい曲ですよね。さて、今の「Red Rubber Ball」を書いた作曲者、この人はポール・サイモンという人で、ご存知サイモンとガーファンクルのポール・サイモンでございます。この人はなかなかにまたよい曲を書きましたし、バーズと同じようにサイモンとガーファンクルもなかなかにこのフォーク・ロックのシーンでは重要なグループであったわけです。本日はひじょうに有名な「サウンド・オブ・サイレンス」をかけますけれども。これは外盤でかけてみたいと思います。これは最初生ギターと歌というものだけだったんですね。それにドラムとベースを後でつけてビートを出したという。この辺もこのフォーク・ロックへの移行という感じがあります。ドラムとベースがなければ普通のフォーク・ソングだったわけですけれどもね。それがいかにも後で入れたという感じもありますし(笑)、フォーク・ロックなんだという感じを聴いてもらえるんじゃないかと思います。サイモンとガーファンクルで「サウンド・オブ・サイレンス」。

・The Sound of Silence

大滝詠一 : 「サウンド・オブ・サイレンス」サイモンとガーファンクルでお送り致しました。

・Omaha

大滝詠一 : モビー・グレープで「Omaha」という曲を聴いてもらいましたけれども。これはもう高校卒業しておりまして、もう大学生ぐらいの頃でして、まぁとにかく好きでしたねー。このギター・サウンドがやっぱり、どっか根本にロックンロールの感じが残ってるところと、このワイルドなビートと、このモビー・グレープというのは本当に好きで、彼らからかなり影響を受けていろんな曲を作りました。さて、そのモビー・グレープに負けずとも劣らないぐらいにいちばん好きだったグループがありまして、それがバッファロー・スプリングフィールドというグループでした。この人たちは最高に好きでしたね。まずは一曲聴いてもらいましょうか。「Bluebird」。

・Bluebird

大滝詠一 : バッファロー・スプリングフィールドでお送りしました。「Bluebird」、これはシングル・ヴァージョンで、LPはこれから延々とまた後半が続くんですけれども、シングルはこの辺でフェードアウトしているというものでございましたけれども。まぁ、とにかくはっぴいえんどというグループはこのバッファロー・スプリングフィールドを母体にしてできたので、本当に影響されました。いろんな曲が全部バッファロー・スプリングフィールドから(笑)、持って来たと言っても過言ではないぐらいなアレでしたけれどもね。

佐野元春 : こうして聴いてみて思うのは、大滝さんはメディアを通じて、これまでたくさんの海外のよいレコードを僕らに紹介してくれたということ。改めてそのことを感謝したいと思います。

●「Motoharu Radio Show」1981年7月6日放送アーカイヴ

大滝さんは自分の歌詞が子どもっぽいと思っている。元春はそこが少年の心をグッとくすぐるようなところがあると話す。サウンド・クリエイターだけじゃないポップ・ソングを作る大滝さんにぞっこん惚れてる人が多いと思うので、また素敵なポップ・ソングを聴かせてくださいと。「このパターンは普遍ですね。これしか出てこないからね(笑)」と大滝さん。

・あつさのせい
1972年のアルバム『大瀧詠一』から作詞作曲大瀧詠一で「あつさのせい」。

「ウララカ」は最初、はっぴいえんどの「はいからはくち」の歌詞を乗せてやっていた。そのあたりからポップに関していろいろやっていたそうだ。その頂点になった作品が1976年に吉田美奈子さんに書いた「夢で逢えたら」だと自分では思っているとか。世に出たときはえらく受けたようで、レコード会社はシングル・カットにしたかったみたいだが、吉田美奈子さん自身はアルバムの中の曲でシングルにしたくない意向だったので、当時シングルは出なかった。ただしラジオではかなりかかっていたという。

佐野元春 : 大瀧詠一作詞作曲、「夢で逢えたら」。とても愛らしいポップ・ソング。まさにエバー・グリーンと言っていい名曲です。多くの歌手にカヴァーされていますが、オリジナル、吉田美奈子のレコードで聴いてみます。

・夢で逢えたら

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます。また番組専用のアプリケーションもリリースされていますので、ぜひチェックしてみてください」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・次回放送
2月4日火曜日 夜11時
コメント (5)
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