Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

東京から野崎島への旅【6】小値賀島サイクリング

2013年10月19日 | ■旅と鉄道

 野崎島の2日目は、夜も開けやらぬ朝6時に寝床を抜け出しました。
 頬杖が昔なつかし雰囲気の、木造校舎の夜明け前です。


 野首教会から、学塾村と大海原に登る朝陽を俯瞰します。


 新しい、朝が来た。


 朝ごはんを食べ、朝イチ8:05の船に乗るべく出発です。夕方15:10の船では福岡にたどり着けないため、名残惜しくも朝に出なくてはならないのです。鹿たちの見送りを受け、峠を越えます。
 学塾村から港までは歩いて20分ほどかかりますが、大きな荷物は管理人さんが軽トラで運んでくれるので楽ちんです。






 朝の野崎集落。


 帰路の船はデッキで。島と教会が、遠く離れて行きます。


 小値賀に舞い戻ってきました。小値賀島は人口2,500人ほどですが、島内には路線バスが走っているのは立派です。


 午後の船までは時間もあるので、電動自転車を借りて小値賀島めぐりに出発!
 路地にまで迷い込める自転車は、機動力抜群です。


 町屋が並び、いい雰囲気。


 松林の中を駆け抜け…


 急坂を登り愛宕山へ。電動自転車の威力が、存分に発揮されました。非電動だったら、立ちこぎでもクリアできなかったかも…。
 周囲の島々と、行き交う船を眺めしばし休息。


 小値賀の「古民家ステイ」は高級路線なのが特徴の一つで、宿泊費は島としてはなかなかなお値段ですが、落ち着いた雰囲気を提供しています。
 古民家レストランもあり、「藤松」は いい雰囲気なだけではなく…


 庭の裏手にはプライベート波止場まで!
 かつての豊かな暮らしが垣間見える古民家でした。


 2006年に定期便が廃止された小値賀空港にペダルを進めます。
 現在は週2便の定期チャーター機が、福岡から1万円の運賃で飛んでいるそうです。


 チャーター機は土日の運航なので、月曜の今日は飛行機が来ません。
 空港施設だけでも見れればいいなと思って来たのですが、空港に着いたまさにその瞬間、一機のセスナ機が降り立ってきました。


 飛行機から降り立ったパイロットさんが機体を見せてくれるというので、ご好意に甘えることに。
 日頃なかなか見ることのできない小型機の仕組みに、一同、興味津々です。


 思いのほか狭いコクピット。軽自動車よりも狭いとかで、3人乗ればギュウギュウ詰めでしょう。でもあの海を眺めながらのフライトは、気持ちいいだろうな~
 チャーター機の運賃1万円も、遊覧飛行と思えば高くはないかも。片道だけでも、セスナで来てみるのも悪くはなさそうです。


 ターミナルビルには、定期便があったころの名残りも。


 その名の通り赤い「赤浜」の景観も楽しみ…


 味処「ふるさと」でランチ。スペシャル定食は千円で海の幸がズラリの、お値打ちメニューでした。
 隣の席で盛り上がっていたのは、さきほどのセスナおじさん三人組。この先操縦のないお一人だけが、ビールを飲んでいました。当たり前だけど、飛行機も飲酒操縦厳禁なのね。

 なお長崎の離島へ行くなら、5千円で6千円分使えるという破格値の商品券「ながさきしまとく通貨」を使うとお得!
 食事だけでなく、お土産の購入やレンタカーでも使えます。


 集落は、祭り準備の真っ最中でした。


 13時30分、まだ島にいたい気持ちとは裏腹に、無情にも迎えの船がやって来ました。


 ムーンライトフォトグラファーさんに見送られ、博多港へ向け出発です。


 野崎島も、遠くに離れて行きます。


 博多港までは5時間以上。旅疲れもあるし、寝て過ごすかなと思っていましたが、あちこちの島が断続的に現れ、島旅好きにはたまらない風景が続きます。
 今は佐世保市の一部となった、宇久島。坂の上まで家々が続き、賑やかな島のようです。


 出航すると、一艘の漁船が追いかけてきました。船長はデッキに向けて手を振っていて、ちょっと派手な見送りだったのでしょう。


 生月大橋をくぐり、平戸の島々の間を縫うように進みます。


 「お休み中」の玄海原発も。


 唐津の7離島も、次々に現れます。
 中学生時代、転任になった先生を訪ねて行った思い出の小川島の姿もよぎりました。


 5時間の間、デッキにほとんど立ちっぱなし。オープンエアのバルな気分です。


 フィナーレは、玄界灘に沈む夕陽。朝と夕方の太陽に挨拶する日なんて、1年の間にそう何度もありません。


 停泊中の豪華客船に迎えられ、博多港着。
 5日間の長い旅?は、心地よい疲労感とともに無事終演と相成りました。

東京から野崎島への旅【5】野崎島を歩く

2013年10月19日 | ■旅と鉄道
 野崎島のある小値賀町は、「アイランドツーリズム」を標榜し、古民家ステイや自然体験など、さまざまな過ごし方を提案してくれます。
 今回の野崎島でも、まずガイドツアー(4,200円)に参加して、島を一通り学習することにしました。


 島の歴史から動物、木々まで精通したガイドさんが案内してくれます。


 野崎島には3つの集落があり、最盛期には650人が暮らした島なのですが、人口が急減し、1990年代には事実上の無人島になりました。
 先週おとずれたばかりの端島(軍艦島)と規模は違えど、島で暮らした人々の生活の痕跡は、どちらも色濃く残っています。


 主のいなくなった木造家屋は、急速に朽ちて行きます。この家も最近になって梁が落ちたそうで、崩壊寸前です。
 自然物で作られた家は、いずれ瓦だけを残して土へ還って行くのでしょう。


 離島の際に持って行ける荷物も限られたことから、テレビや食器といった「モノ」も、昭和の色のまま残されています。
 どこか懐かしさを感じるバックです。




 朽ちかけてはいるものの、島民の方がひょっこり姿を現しそうな区画も。
 「廃墟の島」と言えるのかもしれませんが、どこか温もりをも感じさせられる野崎集落でした。




 酒瓶がゴロゴロ。


 集落を登り、通称「サバンナ」と呼ばれる平原に。きれいに刈りそろえられた芝は、もちろん人の手によるものではありません。
 有人島だった頃から野崎島は鹿だらけで、今も400頭ほどが生息。しかし鹿の数に対しエサとなる植物は充分ではなく、食べられる草は食べつくされた結果の、きれいに揃った芝の原っぱなのです。よく見れば、鹿の糞がゴロゴロしてます。


 教員住宅はRC造なので、しっかりと残っています。室内もほぼそのままで、押入れには布団が残されていました。


 野首集落への峠道を超えると、九州とは思えない澄んだ海が出迎えてくれました。


 自然学塾村の裏手の石段を登ると…


 旧野首協会があります。明治時代に長崎で多くの教会建築を手がけた名工、鉄川与助の初期の作品です。
 教会としての役目を終えた建物ですが、ツアーに参加すれば見学することができます。




 日本の伝統工法で教会建築に挑んだ、試行錯誤の跡を伝えます。


 教会から見える棚田は、芝の原っぱに。


 約2時間の散策は、自然学塾村で終了。今日の泊りも、この施設です。1985年に廃校となった小中学校の木造校舎を利用した施設で、島で唯一トイレや電気が使える場所でもあります。
 思えば人のいない島にも関わらず電気が通り、水を使え、定期便まであるのですから、こんなに便利な無人島もそうそうないでしょう。


 午後は、ビーチに出てのんびり。他愛もない話をしながら、波の音と過ごしました。


 10月とは思えぬ暑さの中、ビールがうまい!


 学塾村には自炊設備や食器類はありますが、食材は持ち込みor釣ることになります。
 先発隊の皆様の「釣果」の南蛮漬けとともに、いただきまーす!


 食糧は持ち込みですが、水分は自販機で調達できます。アルコールも、時間制限なしで購入可能。


 半月だったこの日ですが、灯りのない島で月の存在感は大きいもの。月明かりに映るくっきりした自分の影が、驚きでした。
 月光で写真を撮影しているという「ムーンライトフォトグラファー」さんも加わり、時間を忘れて星空の下で語らいました。

東京から野崎島への旅【4】東京~野崎、14時間の旅路

2013年10月19日 | ■旅と鉄道
 もとから予定していた3連休の野崎島への旅と、その後に決まった東京への所用。当初は一旦、久留米の自宅に帰る予定でしたが、安い飛行機の便を選ぶと、一旦久留米へ帰る時間はなさそうです。
 そこで博多駅に「島用」の荷物を預けておき、博多で荷物をチェンジして直行することにしました。人口900万の東京から、公称人口1人の野崎島へ、14時間の旅路です。


 高層ビルのそびえる八重洲口から、山手線で浜松町へ。


 羽田空港へは、モノレールで移動します。久留米人の僕にとって、モノレールは非日常の乗り物。やはり非日常の首都高の夜景を見ながら、東京へ別れを告げます。


 福岡空港へは、スターフライヤーでひとっとび。北九州空港が本拠地のSFJですが、2011年に福岡へも就航しました。この日の夜の北九州行きは空席多数でしたが、福岡便は満席です。
 羽田のカウンターはターミナルの端っこで、なかなかな距離を歩かなくてはなりません。保安検査は専用の入口なので、あまり混まないのは好ポイントです。

 いわゆるLCCとは異なる新興航空会社のSFJですが、少ない機体でやりくりしているのは中小航空会社の弱み。到着機材遅れのため、30分遅れが予告されました。


 闇に溶け込む、黒い機体。


 黒い革張りシートに、全席にテレビモニタ。飲み物サービスもあって、LCCとは一線を画す会社です。
 オリジナルプログラムも多いテレビを楽しむ人は多いのですが、あちこちチャンネルを回したあげく「秘密結社鷹の爪」に落ち着く人が多かったのは、面白い現象でした。


 30分遅れで福岡空港着。地下鉄で博多駅に出て、荷物と服装をチェンジしました。
 22時前のバスで、博多港へと向かいます。満員で、さすが離島航路出発直前のバスだと思ったのですが、途中で続々降りて行き、博多ふ頭まで乗った人はわずかでした。


 博多港の温泉施設、「波葉の湯」でゆっくりして船旅を…という絵を描いていたのですが、飛行機の遅れで、20分少々のカラスの行水に。しかも1つだけあった源泉かけ流し浴槽が、循環式になっていたのは残念でした。
 ベイサイドプレイスのコンビニで寝酒を買い出しして、フェリーターミナルに向かいます。


 五島行きフェリーの名前は「太古」。旅気分が盛り上がる名前じゃないですか!


 グリーン寝台は2,000円の追加。大した値段でもないのに、船員さんに席までご案内されなんだか恐縮です。
 他の寝台は、すでにお休みモード。早い時間から乗船できるらしく、旅館代わりに使えます。バスが混まなかったのも、乗船客が分散するからなのかも。


 朝5時前、小値賀着。早朝とも深夜ともつかない時間にも関わらず、出迎えで賑わいます。


 島の人が散ってしまった後は、ガランとしたターミナルが残されます。
 旅行者は行き場をなくしてしまいますが、朝8時まで使える冷暖房完備の仮眠室があるのはありがたい。さっそく寝不足を補いました。


 昨日は浜松町で見上げた朝陽、今日は小値賀の港で迎えます。昨日より1時間遅いですが…。


 小値賀周辺の離島へは、町営船で渡ります。待合室には「離島方面乗り場」と書いてあり、小値賀も離島やないかい!と一人、突っ込みを入れました。
 無人の島の野崎島へも、1日2本の定期船が出ているのは面白いところ。500円なりのきっぷを、船内で求めます。


 佐世保行きのフェリーを見送りつつ、小さな高速船は港外へ。凪いでいて、ほとんど揺れません。


 30分弱で野崎島着。島の休日が始まります!

東京から野崎島への旅【3】東京“テツナカ”最前線

2013年10月19日 | ■旅と鉄道
 東京に行ったら、ぜひとも訪ねたかったのが「マーチエキュート神田万世橋」。戦時中まで、中央線の神田~御茶ノ水間に存在した、万世橋駅跡を再開発した施設です。
 「エキナカ」でお馴染みのエキュートブランドで、鉄道内の施設ではあるのですが、「駅」ではないので「テツナカ」とでも呼べばいいのかな??


 御茶ノ水駅からブラブラ線路沿いを歩くこと5分少々、赤レンガの高架橋が見えてきました。




 ここが、目的のマーチエキュート。真新しい施設の中で、古びた高架橋が目を引きます。


 古いながらも現役の高架橋。これまた最新型の通勤電車が行き交います。


 かつての交通博物館跡は、高層ビルに生まれ変わりました。


 一方の神田川側では、オープンデッキで風を感じられます。


 中に入ると、赤レンガの意匠に直に触れられる箇所は少ないです。コンクリートで耐震補強が施されているためで、これは安全の上でも仕方のないこと。
 それでもアーチの空間は、独特の雰囲気です。




 基本的にお洒落なテナントが多いのですが、鉄には嬉しいこんなテナントも。


 トイレ前では、万世橋からマーチエキュートの歩みの映像でショーアップされています。


 しかしマーチエキュートの何よりの見どころは、旧万世橋駅ホームに上がれるところ。


 ホームへの階段は、駅当時そのままです。


 おお、真横を「あずさ」が駆けて行く!


 お洒落なカフェも。コーヒー400円、生ビール550円を「列車の真横で」味わえます。フードも充実しているみたいで、今度はお酒飲みに来たいな。


 走る電車を、子どもでも一番間近で安全にみられる場所かも。


 席の半分はオーブンルーフ。コーヒーを飲みましたが、周りはビール派が圧倒的多数でした。10月でまさかの32度を記録したこの日、ビアガーデンの気分ですね。
 歴史的建造物を活かし、鉄道を楽しめる空間を、収益を確保できる形で、一般向けに作った。これが成り立つって、実はすごく豊かなことなのかもしれません。


 秋葉原から山手線で東京駅へ。改札からドームの空間に出ると、東京へ来たなという気分になります。
 鉄道の歴史的建造物の再開発という面では、こちらも大成功の例です。


 日本人、外国人問わず、記念撮影する人の姿は絶えません。東京のシンボルとしての地位は、不動のものになりました。


 一方の八重洲口側も大改造の真っ最中。真っ白な幕天井がシンボルの「グランルーフ」が姿を現しました。


 夕方の時間、下からライトアップされた幕天井がやわらかな光を投げかけます。


 一休みするにも、いい感じ。


 グランルーフから見下ろす、八重洲界隈。
 駅前はまだまだ工事中ですが、完成の暁には丸の内と好対照を成す玄関口になりそうです。