Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

別府鉄輪イマドキ湯治【その2】癒しの宿・彩葉で温泉三昧

2017年02月03日 | ■旅と鉄道
 今日の泊まり先は、鉄輪温泉の「癒しの宿・彩葉」。この宿を、福岡のローカル朝ワイド「アサデス」で見たのが、旅立ちのきっかけでした。宿を目的に旅することなんて、雲仙観光ホテルくらいしか経験ありません。
 彩葉は大分県下で手広く宿泊業を手掛ける、ニューグロリアさんの経営。ビジネスホテルのイメージが強かったのですが、実際はビジネスホテル2軒、ウィークリーマンション1軒、カプセル1軒に対し、旅館が10軒と、観光の比重が大きい会社、らしいっす。


 鉄輪バス停から紫石方面に歩いて3分ほど。徒歩なら、セブンイレブン向かい側の坂道が入口です。それに気づかずに通り過ぎて…


 裏手の駐車場に回り、立派な構えの門から入りました。時間は午後3時過ぎ。チェックイン時間の直後で、これも僕の旅では異例中の異例です。
 でも温泉でのんびりしようと思えば、これくらいの時間にチェックインするのが普通なんでしょうね。すでに先客さんがいらっしゃいました。


 帳場には、いろはの秘密なる、墨書きの案内が。曰く建物には、別府の山の手にあった、旧麻生別荘の古材を随所に利用しているのだとか。麻生とは飯塚の炭鉱王、麻生家のことです。
 古くからの温泉地で、近代の名建築が多くあった別府ですが、残念ながらあまり大切にされてきませんでした。麻生別荘も、同じエリアにあった中山別荘(亜米利加屋施工の洋館)と時期を同じくして、2006年に解体されたものです。


 なるほど。2012年オープンの新しい宿なのに、そこはかとなく感じる風格は、麻生別荘の重ねてきた歳月の成せる業だったのですね。
 歴史的建築物が消えていくのは残念だけど、少しでも生き残っているだけ、良しとせねばならないんでしょうか。ちょっと答えが出せない問題です。


 チェックイン時に、鍵を2本渡されました。1本だけだと、めいめい風呂に行くときなんかは不便なので、これは嬉しいです。
 宿の方に案内され、部屋へと向かいます。大きい荷物は持ってくれて、旅館っぽい接客です。ただスタッフと直接会うのはこの時くらいで、あとは いい意味で放っておいてくれます。


 彩葉はオール離れの宿。金曜日の直前プランで、1泊1部屋19,280円です。
 隣棟間隔はけっこう狭く、建物の外観も住宅のようで、素っ気ない感じです。


 しかし部屋の中は、いい意味で外観とギャップあり。玄関を開けると、木の匂いが香ってきました。


 玄関を入って左手の部屋が、居間になる和室。色合いは明るめながら、居心地のいい部屋です。天井が高く、のびのびできます。


 障子かと思ったら、アルミ製のサッシでした。普通の窓も外側にあるので、防音や断熱に二重サッシの効果があります。離れの宿で外に直接面しているので、防犯上の効果もあるかも。


 冷蔵庫の中は、自由にどうぞとのこと。ペットボトル2本と、ウェルカムおはぎが入っていました。ペットの水は、お風呂の時に重宝します。


 ふすまを開けると、布団が2組。たたみに布団がよければ、居間で寝てもOKですが…


 玄関右手には、さらに大きな寝室が!これは4人で泊まらないともったいない感じだけど、標準は2名利用みたいです。
 ちなみに「アサデス。」では、同じタイプの部屋に一人で泊まってました。なんて贅沢…


 しかもテレビは、寝室の方がでかいです。これは人を、ぐうたらに導いてしまう旅館ですね。しかも居間と寝室の両方に、DVDプレーヤーまで付いてます。
 家にあるDVDを持ってきて、大音量でゆっくり鑑賞するものいいかも。


 鉄輪に来たからには、温泉♪ 大浴場もあるけど、各部屋にも立派な源泉かけ流しの風呂が付いています。
 洗面台もひろびろ。


 アメニティが充実している宿は、女子の評価が高いです。男子の分も、まあまあ充実してました。


 そして風呂場には、寝湯まで! これは極楽です。お湯は鉄輪らしく、鉄の味がする弱酸性。温度が高く、ちょろちょろかけ流していても熱くなります。
 来て1回、飯前に1回、寝る前に1回、起きて1回、出発前に1回の5回も浴びてしまいました。


 風呂場の天井も高く、2重屋根には2面にガラリ(換気窓)が取られています。吹き抜けていく風で湯気を逃がす、共同湯でも見られる伝統的な自然換気方式です。
 もちろん風が吹くのは屋根近くなのですが、風呂場もちょっと寒くなるので、ヒートショックに注意。


 風呂場の屋根を外から見ると、こんな感じ。


 鉄輪の高台にあるものの、向かいのアパートにさえぎられ、眺望はあまり広がりません。それでも建物の間から、高崎山を望むことができました。
 部屋によってはまったく眺望のない部屋もある一方、メゾネットタイプだとテラスから景色が広がるみたい。景色に関しては、割り切っておくのが吉です。


 湯上りに、帳場横の東屋へ。風情ある囲炉裏スペースがあります。部屋の居心地がいいせいか、あまりここでくつろぐ人はいません。


 本やDVDが揃っていて、部屋へ借りていくこともできます。


 東屋を目指す人のお目当ては、たいていコレ。滞在中は自由に使える、「生」のサーバーですよ!
 酒好きには、たまらん装備。「アサデス。」を見ながら、我々夫婦がノックアウトされたポイントが、実はコレでした(笑)。


 しかも部屋へのお持ち帰りOK。グラスを片手に、何往復したかしら…。
 東屋から一番遠い部屋だったので、ほどほどの回数で済んだけど、一番近い部屋だったらどんな事態になっていたことやらと思います。


 彩葉の特徴の一つが、完全素泊まりの宿であること。その代わりに、部屋には近隣のお店のチラシが挟んであります。食べに行くのはもちろん、出前を取ってもOKというのがポイントです。
 お手頃な定食やらピザやらあって目移りしたけど、「アサデス。」でも出ていたオレンジ寿司から頼むことに。チラシには前日予約が謳ってあったけど、電話してみると、この日は3,800円の懐石ならOKとのことでした。


 約束の7時キッカリに到着。出前なので、運んでくれるのは客室の玄関まで。その先の配膳は、セルフサービスです。


 それでも部屋に並べれば、ほら、完全に旅館の部屋食!お寿司だけでなく、大分名物とり天や、豊後牛(…かな?お品書きがあると、いいですね)の焼き物もあるのは、大分っぽくてグッドです。


 固形燃料の鍋も、旅館の部屋食っぽさが引き立ちます。
 3,800円が高いか安いかは人それぞれでしょうけど、酒代がタダな分、僕にとっては外に食べに出るより安く済みました。






 夜になると、宿はライトアップされます。昼間は素っ気なく感じた外観も、夜目には、なかなか風情が出てきました。


 大浴場にも出かけてみました。


 時間は夜11時前。なのに床はカラカラで、この日一番風呂だったみたいです。部屋の風呂でも充分広々しているので、あえて大浴場に来る人は少ないのかも。
 湯船は広く、今日の宿泊客全員が入っても、入り切れるんじゃないかしら。しっかり足を伸ばし、最後のビールを飲み干して、ホカホカの体でベッドに潜り込んだのでした。

別府鉄輪イマドキ湯治【その1】バスで巡る十文字原・明礬・鉄輪

2017年02月03日 | ■旅と鉄道
 いそいそと駆け回る旅も好きだけど、たまにゃ温泉でのんびりしたい!というわけで2017年の初旅は、別府・鉄輪温泉でのんびりしてきました。
 今回は「のんびり」が主目的なので、交通機関もコスパ重視で高速バスを選択。西鉄久留米~高速基山間710円+高速基山~別府間2,005円(Web回数券1枚当たり)=片道2,715円で済みました。


 西鉄久留米から、福岡空港行き高速バスに乗車。朝の渋滞を見込んで1本早いバスにしましたが、流れはスムーズで、9時40分には高速基山に着きました。
 基山SAは以前からロッテリアが入っており、民営化後はさらに充実。上り線にはスタバ、下り線にはドトールがあって、高速バスの待ち時間も快適に過ごせます。




 スタバはテイクアウトばかりで、少ない客席には僕らだけ。のんびりコーヒーを傾けて、バスを待ちました。
 車のない僕にとって、サービスエリアは非日常な空間。比較的近場とはいえ、旅の気分が出てきます。


 高速基山で上下線を乗り継ぐには、サービスエリア外の市道を歩かねばなりません。歩道は狭く、大荷物の人同士のすれ違いには難儀します。
 10年前に始まった高速バスの基山乗り継ぎは、画期的な取り組みでしたが、乗り継ぎ通路そのものの改善も実現できたらなと思います。


 別府行き高速バス「とよのくに」は、7分ほどの遅れで現れました。福岡空港国際線経由、韓国人に人気の別府行き、韓国は休暇シーズンとあって、車内は韓国の高速バスに迷い込んだかのような雰囲気です。
 指定席のはずの席には先客がおり、
 「ここですか?」
 「ここです」
 「お二人とも?」
 「ええ」
 と交わした会話も、韓国語でした。


 高速バスはさすがに早く、基山から1時間も経つころには別府湾が見えてきました。
 高速道路からの別府湾は何度も眺めているけど、こんなに澄んでいるのは初めて。海の向こうの四国まで、くっきりです。


 途中で遅れを取り戻し、定刻に高速別府湾APUへ到着。降りたのは、僕らだけでした。


 展望台からの眺めも、今日は素晴らしいの一言。韓国人のおばちゃん団体さんも、歓声を上げながら写真を撮っていました。


 別府湾サービスエリアは、基山以上に充実した店舗が自慢。湯布院の名旅館・山荘無量塔(むらた)の手がけた、「別府の中の湯布院」です。
 まずは古民家を移築した蕎麦屋「不生庵」の暖簾をくぐりました。


 お店からの眺望も、申し分なし。


 ざるそば大盛りを頂きます。1,100円というサービスエリア離れした値段ですが、ほどよくコシのある麺はおいしかったです。


 お隣のB-speakcafeへ。こちらも、サービスエリアらしからぬ雰囲気。


 カウンターからの眺望もよし。


 湯布院では行列必至のPロールを、ゆったり景色を眺めながら食べられました。後追いしてくるクリームのコクがウマイです。


 高速別府湾APUバス停の下りは降車専用で、乗ることはできません。そこでサービスエリアから外に出て、APU(立命館アジア太平洋大学)へ降りてきました。
 スマートICの出口から少し海側にある、階段を下りて行くのが近道。バス停から大学正門まで、5分少々といったところです。


 平日とはいえ2月。冬休みで閑散としているかと思いきや、キャンパスは学生さんで賑やかでした。
 真ん中の通りを多くの人が行き交う様子は、大学というより一つの街のような雰囲気です。


 APUからは、大分交通と亀の井バスの路線バスが頻発しています。いずれもnimoca対応なので、交通系ICカード全般の利用OK。明礬・鉄輪方面へ出るなら、亀の井バスで。


 十文字原展望台や自衛隊演習場を横目に、バスは次第に高度を下げていきます。湯の花小屋を目印に、地蔵湯前で下車しました。
 バス停からすぐの、明礬地獄(入場料200円)へ。


 現役ではないけど、湯の花小屋の内部を見ることができます。


 遊歩道を上がった先で広がるのが、この眺望。高速道路の明礬大橋が、雄大な風景を作ります。
 見方によっては高崎山まで通じていた景観を「破壊」してもいるのですが、そう感じないのは、アーチそのものの均整ゆえなんでしょうね。


 明礬温泉のお楽しみ、岡本屋の「地獄蒸しプリン」にも舌鼓。カラメルソースはちょっと苦めの、大人の味です。
 平日だというのに、店内外はお客さんでいっぱい。アジア圏の人も多いけど、ほとんどが日本人です。


 再び亀の井バスに乗って、鉄輪まで降りてきました。停留所で待っていたのは、外国人観光客の列。昨年の地震の風評被害もだいぶ脱してきたようで、なによりです。
 別府は昔も今も、国際観光都市なのでした。