Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

スイスと周辺3国を巡る旅【2-1】国際特急でスイス・チューリッヒへ

2016年02月21日 | ■旅と鉄道
 新婚旅行の2日目は、ドイツ・フランクフルトから高速列車ICEでスイス・チューリッヒへと抜け、ラッパーズウィルの友人宅へお邪魔するというプラン。憧れのヨーロッパの長距離列車と、遠き地に嫁いだ友人の様子が楽しみです。
 昨夜は時差の影響もあって10時前には床に就いたので、5時には目が覚めてしまいました。せっかくの異国での貴重な時間。少し明るくなってきた7時を待って、フランクフルト中央駅まで朝の散歩に出かけてみました。


 さすがヨーロッパの大都市で、Sバーン、Uバーンと共存して、網の目のように路面電車が張り巡らされています。しかも長い編成の電車が、頻繁にすべるように走っていく姿は都市景観として美しいです。日本で同じような風景は、広島でしか見られません。
 メッセ周辺はコンベンション地区だけあって、緑地も歩道もきれいに整備された気持ちのいい散歩道。しかしそこを抜けた駅までの道は、開いている店もないし、人通りも少なくて深夜のよう。落書きだらけの廃ビルもあって、ちょっと殺伐とした雰囲気に怯えました。


 フランクフルト中央駅へ。昨日は足早に通り過ぎるだけだった駅のホームを、つぶさに眺めてみました。ICE3に赤いレギオ。鉄道雑誌の中でしか知ることがなかったドイツの鉄道の世界が、今目の前に広がっています。
 日本では主に私鉄の主要ターミナルで見られる行き止まり式ホームですが、ヨーロッパでは長距離路線の途中駅でも取り入れられています。折り返しに時間がかかる、進行方向が変わるなど運転上のデメリットはあるものの、駅の出入り口からフラットで乗り降りできるのは便利です。


 特に信用改札のヨーロッパでは、駅のホームが街区と一体になっていることもあって、切符さえもっていれば街角から飛び乗れる感覚があります。
 そしてホームに入れば、発車を待つ列車をズラリと横から眺めることができます。なんとも旅情を感じさせる光景です。




 中2階から俯瞰した様子も、「旅立ちの舞台」に相応しい雰囲気。同じアジア系の観光客も、カメラを向けていました。


 ただ駅前に出てみると、ここもなんだか雰囲気が悪い。人通りは少ないし、荒れている酔っ払いの集団もいて、朝というよりは昨夜の続きといった感じです。街中まで散策する腹積もりでしたが、まだまだ慣れぬ異国の地、早々に切り上げることにしました。
 フランクフルトはまた最終日の昼に来る予定なので、その時の楽しみにとっておきましょう。


 ホテルまでの帰り道はUバーンではなく、トラムに「体験乗車」してみることに。券売機にはメッセまでの口座があったので、迷うことなく買えました。
 運賃は、市内均一運賃より少し安い1.8ユーロ(236円)。短距離区間の特割的なものかなと思いましたが、真相やいかに。


 熊本市電の低床電車にも似た、5車体連接の電車に乗ってメッセへ。日本でも低床電車が一般的になってきましたが、熊本、広島の初期の電車はヨーロッパからの輸入車だったこともあって、「乗り慣れた」乗り心地感でした。
 十数年前、熊本の低床電車に初めて乗った時は、あまりの乗り心地の違いに「これが路面電車先進国の電車か!」と驚いたものですが、ようやく本場の電車に乗ることができました。


 ホテルで再度荷造りに勤しみ、チェックアウトしてUバーンのメッセ駅へ。中央駅に戻ります。地上に置かれた券売機で切符を買って、エレベーターで直接ホームへ下れる便利さも、信用改札ならではです。
 ところがホームに下りても、人の気配なし。電光掲示板もなにやらドイツ語のインフォメーションが流れるだけで、発車案内がありません。理由は分からないけど、電車は来ないんじゃないかというヨメさんの直感に従い、地上のトラムに転進しました。


 合理的な信用乗車も、いざという時に聞ける駅員がいないのは困ったものだと思いつつ、無事に中央駅へ。スイス・クールまで直通のICEは、すでにホームに入っていました。切符はネット予約で発券済みなので、そのまま乗れてしまうのは気楽なところです。運賃も定価114ユーロのところが、早割で69ユーロ(9,040円、座席指定料が別途4.5ユーロ)と割安になりました。


 今回乗車したドイツの高速列車ICEは、もっとも初期のICE1と呼ばれるタイプでした。1998年には脱線事故で100人を超す死者を出した車両でもありますが、事故の原因となった車輪はその後交換されているので、一応は安心して乗れる列車です。
 僕らは2等席。デッキと客室はガラス戸で仕切られ、開放感がありますが、室内は荷物置き場などで適宜空間が仕切られていて、落ち着きにも配慮されています。


 僕らは通常の座席を予約しましたが、ヨーロッパの伝統的なコンパートメントタイプの客室も、各車両に健在。ここは座席も3列なので、ゆったり過ごすことができそうです。
 九州の787系(昔のつばめ)や、リニューアル前の883系(ソニック)との共通項も見出すことができる設計思想。車両デザイナーの水戸岡鋭治さん、ヨーロッパの列車とその「あり方」には大きな影響を受けたんだろうなと、遠き地で感じました。




 ドイツ版新幹線とも呼ばれるICEですが、全線が高速専用線というわけではなく、一部は在来線に乗り入れています。スイス国境までのバーゼルまでも、高速区間はざっと半分といったところです。
 もっとも在来線区間のスピードも日本のそれよりだいぶ早く、乗客の待つホームを高速で通過していきます。瀟洒な住宅街の中も同じレベルの高さでかけ抜け、車窓を見ていて飽きません。全線が高速新線になればもっと早くなるのだろうけど、旅で乗る分には面白いです。


 郊外に出れば、北海道を思わせる大規模な穀倉地帯が広がります。工業国のイメージがあるドイツも、食料自給率は9割以上。大規模な国土が、狭い島国に住む身にはうらやましくなります。


 ICEの魅力は、なんといっても本格的な食堂車をつないでいること。鉄道ファンとして、これを体験しないわけにはいきません。お昼時を避けて11時に行ったおかげで、席は空いていました。
 きちんとしたテーブルと椅子はレストランの雰囲気。高い天井には天窓も付いていて、明るく開放感がある車内です。メニューを見ながらあれやこれや悩むのも、また楽しい時間です。


 午前中なので、お手頃なブレックファースト系のメニューもありましたが、やはりドイツに来たからには本場のビール(300mlで3.3ユーロ=432円)に、ソーセージ盛り合わせ(7.8ユーロ=1,020円)でしょう!流れる車窓を眺めながらの生ビールは、最高の一言。夢でした、夢かないました!
 ビールの2杯目も300mlを頼んだつもりだたのに、500ml(3.9ユーロ=511円)が来てしまったのは天の助言でしょうか(笑)。それにしてもビールの安さは、際立ちます。


 厨房を挟んで反対側は、カフェスペースになっています。こちらも、席を離れてくつろぐには良さそうなスペースですね。
 ただレストラン区画も、飲み物だけの利用お断りというわけではないようで、コーヒー1杯で席を立っていく人の姿も見られました。


 ドイツ鉄道と、スイス国鉄の2つのバーゼル駅を通過すれば、スイス入国。とはいえ、入国審査はおろか、パスポートのチェックすら行われません。スイス警察の人が巡回したのが目立ったくらいで、県境をまたぐくらい、本当にあっけない国境通過でした。



 ドイツの車窓ものびやかでしたが、スイスに入るといっそう のどかになってきました。山や畑の中など、一体どこから歩いて来たの?と思いたくなる場所でも、散歩する人の姿が目立つのは大きな変化です。歩きたくもなる風景ですよね。
 意外だったのは、あちこちの建物や壁面、時には列車の車体にまで「アートされた」落書き。ドイツでもその多さに驚いたけど、スイスに入ってもその数は減りません。イメージしていた牧歌的な風景の中に、イメージしていなかったポップなペイントが踊ります。


 4時間の旅もあっという間に終え、チューリッヒ駅に到着。永世中立国でEUにも加盟していないスイスですが、駅のスタイルはドイツと同様です。近郊電車と長距離列車が入り乱れた発車案内が、旅情を誘います。
 後編に続く。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。