適度な硬さのベッドでぐっすり眠り、目覚めれば窓の外には済州の海が広がっていました。
インスタントコーヒーも、オーシャンビューのテラスで飲めば、優雅な気分です。
朝食は少し遅めの8時からなので、朝の散歩へ出かけることに。
大浦(テポ)の港に出ると、人なつこい白いワンコが付いてきました。日本まで付いて来るかい?
日の出から30分以上経つけど、まだまだ朝陽。
陽の光に照らされると、海は透明度を増します。これだけきれいな海なら、海鮮もおいしいわけです。
大浦港には漁船だけでなく、ヨットや遊覧船も発着します。一昨年、船上でワインを傾けつつ乗ってみたヨットクルーズ、優雅だったなあ…。
朝食は、洋食が中心。みかんジュース(たぶん済州産)や、新鮮な野菜サラダがおいしかったです。宿のおかみさんが「よくお休みになられました?」と席を回られ、なんだか旅館みたいな温かさがありました。
ファミリアホテル、これだけの内容で、ツイン1泊95,200ウォン≒9,800円。ちょっと街中から外れるだけで、ずいぶん安くなるものです。
空港リムジンで、ウォーキング出発会場のコンベンションセンターへ。乗車の際に「どちらまで?」と聞かれるので、行き先を告げて、カードをかざすか、現金を渡します。現金は、お釣りも出ます。
リムジンとはいえ短区間の乗車もOK(しかも初乗りは1,300ウォン≒135円と市内バス並み)。運転士さんも外国人には慣れているので、割と安心して乗れるバスです。
出発式会場に行けば、この数年で知り合った懐かしい顔があちこちに。遠き異国の地に、大勢の知り合いがいるというのも、心強いものです。
一番右の「外国人受付」に英語表記がないことも、気軽に突っ込み。「韓国語が分かる外国人しか来ないヨ~」。確かに(笑)。
子ども達による太鼓の演奏。ドラムが混じっているのが面白い。
大会関係者の太鼓の合図で、まずは20kmウォーキング組からスタートです。
昨年はスタートするやいなやトイレに駆け込んでしまったので、歩き始める頃には人っこ一人いませんでした。
今年は「波」に乗れたので、いかにもウォーキング大会といった雰囲気の中で歩き始められます。
コースは昨年と同様、中文の観光団地から東側の大浦方面を巡る、周回コース。回り方が昨年とは逆で、細かなコースにはマイナーチェンジが加えられています。
済州島らしい景観の一つが、火山岩を積み上げた、パッタムと呼ばれる石垣。家々だけでなく、畑の境界にも積まれてます。済州島じゅうのパッタムの総延長は、万里の長城をも超えるという説も。
アパートとアパートの間の駐車場も、ウォーキングコースに。これ、どう見ても個人地ですよね…?
大浦の集落内の懸垂幕。「ようこそ菜の花ウォークへ」とでも書いてあるのかと思えば、
「慶祝 故キム・チャンウォン、ジン・ソンジャの長女 キム・ハヌル 光州地裁判事任命」
地元からの名士誕生を祝うものでした。
「リサイクル品は、曜日別に出さねばなりません」
なかなか、細かな分別。1日も気を抜けません。
済州の石垣は、高い擁壁状に作られているものもあります。畑の境界の石垣は、手で簡単に外れてしまうようなものなのですが、強度は大丈夫なのか心配。
だいぶ古そうなので、これまで大丈夫だったってことなんでしょうね。
沿道で、あちこちに咲く菜の花。春の訪れが遅く、空気は肌寒い今年でも、目では充分春を感じられます。
ウォーキングコースは、済州発祥のトレッキングコース「オルレ」と重複している部分も多く、九州でもおなじみの赤青リボンが、あちこちに見られます。
昨年は見かけなかったオレンジのリボンは、「寺へ続く道」の目印。済州仏教聖地巡礼の道、と称しており、お遍路さんみたいなものなのかな?
薬泉寺の北側山麓が、第1のチェックポイント。そのまま海岸に下ればショートカットの10kmコース、山麓を進めば20kmコースです。
運命の分かれ道だけど、まだまだ歩き始めたばかりで疲れているわけもなく。予定通り20kmコースへと進みました。
菜の花だけでなく、ツバキの花も沿道のあちこちに。華やかな色合いのものも多く、西洋の品種も多く持ち込まれているようです。
済州島はミカンの名産地。ハウスミカンの栽培も盛んで、年中おいしいみかんが食べられます。
ハウスの横には、かごに山積みのミカンが「どうぞお持ち下さい」。ハウスの中のお兄さんに「頂きます!」と言って食らいつけば、上品な甘いジュースが口いっぱいに広がりました。これはウマイ!
昨年と同じ、集落情報センターで一休み。あれだけ大勢いたウォーカーの姿も、めっきり減ってきました。だいぶ遅れを取ってきたのかしら? ちょっと不安になりつつも、携行食をほおばりパワー回復です。
ハウスをのぞいて見れば、たわわに実るミカンが。「どうぞ持って行って下さい」のカゴがないか見まわしてみたけど、ついにその後見かけませんでした。しまった、もう1個くらい貰っておくんだったかな。
江汀(カンジョン)の集落へ。今回のコースでもっとも東になるのがこのあたりで、ようやく中盤といったところです。空港バスも経由しており、乗ってしまいたい誘惑にかられます。
サクラの並木道、もう少し時期が下れば、きれいでしょうね~
早咲きのサクラがちらほら。今年最初のサクラを、済州島で見ることになるとは!
集落から海岸へと下る道は、非舗装道路。オルレらしい道になってきました。
用水路は作業場も兼ねているようで、きれいな水が結構な流量で流れていました。
名峰・漢撃山を擁す済州島は、伏流水に恵まれ、名水の里でもあります。
第2のチェックポイント、江汀浦(カンジョンポ)へ。ここも刺身屋が何軒か並び、意志の弱いにわかウォーカーを誘惑します。
東屋で、キムパプ(のりまき)をほおばりながら、靴を脱いで一休み。英気を養いました。
コース後半は、済州島らしく大海原を望むルートになります。風はちょっと冷たいものの、天気は回復して気持ちのいいウォーキングコースです。
農作業用のトラクターが列を成し…
石造りのベンチが、休んでいきなよと誘惑します。
それでも、黙々と歩くのだ。
菜の花と海。そして太古の火山活動を今に伝える、溶岩質の岩場。済州島の自然を、凝縮したかのような風景です。
月坪(ウォルピョン)の港から脇道に入ると、こんな飛び込み台…もとい、展望台が。
柵はなく、自己責任で一歩を踏み出せば、遮るもののない景色が広がります。
赤・青のリボンが、済州オルレのコース。いつか済州島を歩いて一周してみたいと思うものの、何日間かかるんだろうかと考えると、気が遠くなります。
海岸の空き地に、牛さんが。
海岸から少し山に入った所にある、段々畑。展望台らしきものが整備されていて、景勝地の一つのようです。
しかし、畑そのものは荒れた様子。耕作放棄地なのかな。
昨日泊まった大浦港まで、幹線道路沿いを歩きます。
海岸を望む高台に、ガラス張りのオシャレな建物ができていて、カフェかと思えば焼き肉屋さん! リタイアの誘惑が、最高潮に達した瞬間でした。
柱状節理帯の公園まで来れば、ゴールのコンベンションセンターは間もなく。
と思ったら、ゴールを目前にしてコースは迂回路へ。プヨンホテルの敷地を回り込むように、海岸線をトレースしていきます。うう、もう一息…
昨年はもっと豪快な迂回コース(しかもアップダウンが半端ない)で、心折れかけたのに比べれば、まだまだマシではありました。
15時45分、ようやくコンベンションセンターにゴール! 締め切りの16時まで、あとわずかというタイミングでした。
すでに会場は、2日間の日程を終えたかのような雰囲気で、撤収の真っ最中。完歩証の発行も、あと一歩で間に合わない所でした。
今年も無事にゲット!お疲れ様でした。
コンベンションセンターのセブンで、消費したカロリーをビールで充足。体にいいんだか悪いんだか。