龍山のスパの廊下で、朝6時に起床。寝たんだか寝てないんだか、よく分からないぼぉっとした頭で、龍山駅へと向かいました。
今日は、ソウルから38度線を越え、鉄原へと結ぶ京元線の乗車が目的。2003年に当時の終点だった新炭里まで乗ったことがありますが、その後2012年冬に白馬高地まで延伸されました。また議政府までだった電化区間も、さらに北へ伸びています。
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朝8時前の電車で龍山を出発。一旦地下に潜り、地上に出た清涼里から先はベッドタウンを北上します。京元線は70年代に電化開業した、通勤電車のパイオニア。それだけに沿線の高層アパートも、少し古びたものが多いです。
2006年まで電車とディーゼル列車の乗り換え駅だった議政府で降りる人は少なく、議政府より北にも新しい住宅街が続き、電車が都市圏を拡大させている様子が伺えました。電車・列車の乗り継ぎ駅・東豆川では、ハイカー風の乗客でホームが埋まりました。
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電車区間は地下鉄と共通の運賃体系ですが、その先の列車区間は別の運賃体系になるため、切符は買い直しになります。僕はKR-PASSを持っているので、そのままホームに降りました。白馬高地行きの3両編成9501系・通称CDCです。
かつては全国あちこちで見られた車両ですが、小駅の整理統合とともに、普通列車そのものが廃止になる路線が続出。今や普通列車に相当する「通勤列車」は、京議線と京元線に残るのみです。京議線の運行区間はごく短く、京元線は最後の鈍行といえます。
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車内はこんな感じ。広々としたシートピッチの転換クロスシートが並び、座れさえすれば実に快適な車両です。
この写真は後刻、帰路の列車で撮影したもので、実際の白馬高地行きは満員列車でした。ゆったりシートゆえの座席定員の少なさも、原因かも。ハイキングに向かう中高年が多く、人気があるようです。
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京元線には味のある平屋の駅舎が多く、駅員さんもおり、ローカル線風情は満点です。
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途中駅での列車交換。手前の少年はミラーレス一眼で写真を撮り続けている、いわゆる「鉄道少年」。日本ではよく見られる光景ですが、韓国で見たのは初めてかもしれません。
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ハイキングの拠点でもあるのか、途中駅で次第に乗客を降ろしていき、かつての終点・新炭里を出る頃には座ることができました。
白馬高地までは、朝鮮戦争で休止に追い込まれた区間の「復旧」と捉えられていますが、実際は旧線を放棄して新しい線路を引き直していました。車窓右手には、正真正銘の廃線になった昔の京元線が見えます。
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KTXのような真新しい線路を走ること約10分で、韓国最北の駅・白馬高地着。周辺は田んぼが広がる平和な風景で、38度線を越え、北朝鮮と対峙する街という緊張感は感じられませんでした。
駅からは、朝鮮戦争の戦跡地や北の展望台へ行ける安保観光のバスが出ており、11,000ウォンで参加できます。僕は2003年に新炭里から参加したことがあるので、今回は満員のマイクロバスを見送りました。
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「鉄道中断点」も、新炭里から北へ移動。「鉄馬は走りたい」という韓国国民の願いも、北へと少し近づきました。
周囲には何もありませんでしたが、駅舎二階には地元婦人会の運営による食堂があったのは幸い。アツアツのキムチチゲをブランチにしました。
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来た道を引き返し13時半、議政府市内の回龍駅に到着。この駅から接続して議政府市内を走るのが、韓国2番目の新交通・議政府軽電鉄です。1駅隣の始発駅・鉢谷までも800mとさほどの距離ではないので、散歩してみました。
川の上を新交通の高架がゆるやかにカーブを描き、周囲には新しい高層マンションが並ぶ様子は、未来都市のよう。河川敷にはランニングやサイクリング楽しむ市民の姿が目に付き、魅力的な都市景観に映りました。
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新交通はゴムタイヤを履いた2両編成で、もちろん無人運転。鉢谷駅に入ってきた電車は、30秒もたたないうちに折り返し、無人運転ならではの運用がこなされていました。
座席は先頭まで設けられ、前面展望は思いのまま。車窓に関心を示す人は、やはり多くはありませんが…
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車内の様子。車体幅はかなりスリムなため、座席は片側にしか設けられていません。
しかし側面の窓は思いきり大きく取られており、解放感は抜群。景色の中を飛んでいるような感覚が味わえます。
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ゴムタイヤだけに加速・減速は鋭く、駅での停車時間も最小限なので、なかなかスピーディー。駅前の繁華街から市役所周辺の官公庁街、住宅街を結び、約20分で終点・塔石駅に着きました。
駅に有人改札はなく、事務所には駅員さんが一人だけ詰めていました。
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塔石駅周辺も、河川敷は公園のようになっています。気持ちよくて、2駅先の漁龍駅まで歩いてしまいました。
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市の中心駅、KORAILの議政府駅へ新交通は直結していませんが、新交通の議政府駅から歩いても、5分とかからない距離です。
KORAIL議政府駅は新世界百貨店を擁する駅ビルになっており、以前訪れた駅をまったく思い出せなくなっていました。駅のコンコースが暗いのは、他の駅も同じ。照明のほとんどが消されており、電力不足を物語っていました。
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京元線の電車に乗り、そのままソウル市内のソウル市役所へ。戦前、日本占領下で建てられた市庁舎がリニューアルされてから行ってなかったので、生まれ変わった姿を見てみたかったのです。
旧庁舎は図書館に生まれ変わり、背後にはガラス張りの新庁舎が完成。庁舎前のロータリーは車を締め出し、人工芝の広場になっていました。しかし今はセウォル号事故の焼香所となっており、哀悼の意を示すべく、数百人の市民が列を作っていました。
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行方不明者の帰還を願う、黄色い紙船。背後の少年・少女たちの絵は、修学旅行の学生たちが無事に帰ってきた姿を、童話作家が描いたものです。
焼香を終えた市民の多くが静かに涙を流しており、韓国の負った傷の深さを物語っていました。
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地下鉄で、東大門歴史文化公園へ。3月にオープンしたばかりの複合文化施設、DDPへ行ってみました。
超高層のファッションビルが立ち並ぶ中に突如、捉えどころのない曲面の外観が現れます。
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コンクリート打ち放しのブリッジからは、地下レベルを行き交う人々の姿が俯瞰できます。遺跡がそのままの姿で残されており、古代、現代、未来が同居する不思議な光景が広がっていました。
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元は東大門運動場があった場所で、残された野球場の照明塔が、その歴史を伝えています。
運動場の記念館もあり、高度成長期のプロ野球の風景は、日本人にも懐かしさを感じさせるものでした。
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前庭には、ちびっこバス「タヨ」と「ラニ」が展示されていました。子ども向けキャラクターとして大人気のタヨは、子どもへの人気No.1だった「ポロロ」すら脅かす存在。人気に応えこの春、モデルとなったソウルの市内バスに「タヨ」デザインの車両が走っているのです。
人気に応え首都圏では台数が増え、今や地方都市にまで拡散している「タヨ」は子ども達に囲まれていました。タヨに親しんだ子ども達は、公共交通がより身近なものになっていくのだろうな。
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鐘路で、留学時代の先輩と合流。10年ぶりの再会でしたが、お互い、思ったより変わりありませんでした。
鐘路のビアホールで、ミラービールを1杯!
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さらに海鮮焼きで1杯!10年ぶりの酒はおいしくて、ついつい飲みすぎてしまいました。
今日は、ソウルから38度線を越え、鉄原へと結ぶ京元線の乗車が目的。2003年に当時の終点だった新炭里まで乗ったことがありますが、その後2012年冬に白馬高地まで延伸されました。また議政府までだった電化区間も、さらに北へ伸びています。
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朝8時前の電車で龍山を出発。一旦地下に潜り、地上に出た清涼里から先はベッドタウンを北上します。京元線は70年代に電化開業した、通勤電車のパイオニア。それだけに沿線の高層アパートも、少し古びたものが多いです。
2006年まで電車とディーゼル列車の乗り換え駅だった議政府で降りる人は少なく、議政府より北にも新しい住宅街が続き、電車が都市圏を拡大させている様子が伺えました。電車・列車の乗り継ぎ駅・東豆川では、ハイカー風の乗客でホームが埋まりました。
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電車区間は地下鉄と共通の運賃体系ですが、その先の列車区間は別の運賃体系になるため、切符は買い直しになります。僕はKR-PASSを持っているので、そのままホームに降りました。白馬高地行きの3両編成9501系・通称CDCです。
かつては全国あちこちで見られた車両ですが、小駅の整理統合とともに、普通列車そのものが廃止になる路線が続出。今や普通列車に相当する「通勤列車」は、京議線と京元線に残るのみです。京議線の運行区間はごく短く、京元線は最後の鈍行といえます。
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車内はこんな感じ。広々としたシートピッチの転換クロスシートが並び、座れさえすれば実に快適な車両です。
この写真は後刻、帰路の列車で撮影したもので、実際の白馬高地行きは満員列車でした。ゆったりシートゆえの座席定員の少なさも、原因かも。ハイキングに向かう中高年が多く、人気があるようです。
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京元線には味のある平屋の駅舎が多く、駅員さんもおり、ローカル線風情は満点です。
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途中駅での列車交換。手前の少年はミラーレス一眼で写真を撮り続けている、いわゆる「鉄道少年」。日本ではよく見られる光景ですが、韓国で見たのは初めてかもしれません。
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ハイキングの拠点でもあるのか、途中駅で次第に乗客を降ろしていき、かつての終点・新炭里を出る頃には座ることができました。
白馬高地までは、朝鮮戦争で休止に追い込まれた区間の「復旧」と捉えられていますが、実際は旧線を放棄して新しい線路を引き直していました。車窓右手には、正真正銘の廃線になった昔の京元線が見えます。
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KTXのような真新しい線路を走ること約10分で、韓国最北の駅・白馬高地着。周辺は田んぼが広がる平和な風景で、38度線を越え、北朝鮮と対峙する街という緊張感は感じられませんでした。
駅からは、朝鮮戦争の戦跡地や北の展望台へ行ける安保観光のバスが出ており、11,000ウォンで参加できます。僕は2003年に新炭里から参加したことがあるので、今回は満員のマイクロバスを見送りました。
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「鉄道中断点」も、新炭里から北へ移動。「鉄馬は走りたい」という韓国国民の願いも、北へと少し近づきました。
周囲には何もありませんでしたが、駅舎二階には地元婦人会の運営による食堂があったのは幸い。アツアツのキムチチゲをブランチにしました。
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来た道を引き返し13時半、議政府市内の回龍駅に到着。この駅から接続して議政府市内を走るのが、韓国2番目の新交通・議政府軽電鉄です。1駅隣の始発駅・鉢谷までも800mとさほどの距離ではないので、散歩してみました。
川の上を新交通の高架がゆるやかにカーブを描き、周囲には新しい高層マンションが並ぶ様子は、未来都市のよう。河川敷にはランニングやサイクリング楽しむ市民の姿が目に付き、魅力的な都市景観に映りました。
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新交通はゴムタイヤを履いた2両編成で、もちろん無人運転。鉢谷駅に入ってきた電車は、30秒もたたないうちに折り返し、無人運転ならではの運用がこなされていました。
座席は先頭まで設けられ、前面展望は思いのまま。車窓に関心を示す人は、やはり多くはありませんが…
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車内の様子。車体幅はかなりスリムなため、座席は片側にしか設けられていません。
しかし側面の窓は思いきり大きく取られており、解放感は抜群。景色の中を飛んでいるような感覚が味わえます。
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ゴムタイヤだけに加速・減速は鋭く、駅での停車時間も最小限なので、なかなかスピーディー。駅前の繁華街から市役所周辺の官公庁街、住宅街を結び、約20分で終点・塔石駅に着きました。
駅に有人改札はなく、事務所には駅員さんが一人だけ詰めていました。
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塔石駅周辺も、河川敷は公園のようになっています。気持ちよくて、2駅先の漁龍駅まで歩いてしまいました。
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KORAIL議政府駅は新世界百貨店を擁する駅ビルになっており、以前訪れた駅をまったく思い出せなくなっていました。駅のコンコースが暗いのは、他の駅も同じ。照明のほとんどが消されており、電力不足を物語っていました。
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旧庁舎は図書館に生まれ変わり、背後にはガラス張りの新庁舎が完成。庁舎前のロータリーは車を締め出し、人工芝の広場になっていました。しかし今はセウォル号事故の焼香所となっており、哀悼の意を示すべく、数百人の市民が列を作っていました。
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焼香を終えた市民の多くが静かに涙を流しており、韓国の負った傷の深さを物語っていました。
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超高層のファッションビルが立ち並ぶ中に突如、捉えどころのない曲面の外観が現れます。
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コンクリート打ち放しのブリッジからは、地下レベルを行き交う人々の姿が俯瞰できます。遺跡がそのままの姿で残されており、古代、現代、未来が同居する不思議な光景が広がっていました。
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元は東大門運動場があった場所で、残された野球場の照明塔が、その歴史を伝えています。
運動場の記念館もあり、高度成長期のプロ野球の風景は、日本人にも懐かしさを感じさせるものでした。
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前庭には、ちびっこバス「タヨ」と「ラニ」が展示されていました。子ども向けキャラクターとして大人気のタヨは、子どもへの人気No.1だった「ポロロ」すら脅かす存在。人気に応えこの春、モデルとなったソウルの市内バスに「タヨ」デザインの車両が走っているのです。
人気に応え首都圏では台数が増え、今や地方都市にまで拡散している「タヨ」は子ども達に囲まれていました。タヨに親しんだ子ども達は、公共交通がより身近なものになっていくのだろうな。
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鐘路で、留学時代の先輩と合流。10年ぶりの再会でしたが、お互い、思ったより変わりありませんでした。
鐘路のビアホールで、ミラービールを1杯!
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さらに海鮮焼きで1杯!10年ぶりの酒はおいしくて、ついつい飲みすぎてしまいました。