韓国旅行の2日目・5月4日は、昨年9月から韓国南部で走り始めた観光列車・S-TRAINに乗って、順天観光に出かけました。
韓国鉄道・KORAILが送り出した定期観光列車は、O-TRAIN、V-TRAINに続き3番目。この5月には非武装地帯観光向けのDMZ-TRAINも走り始めており、なんだか九州のような状態になってきています。
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釜山駅9:19発、麗水EXPO行きのS-TRAIN。ユニークなデザインの機関車が、先頭を飾ります。
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座席は、一般的なムグンファ(急行格)の普通車と同じ。座席の柄と、全席にモバイル用コンセントが設けられていることが違いです。
観光列車の料金はセマウル(特急格)の特室(グリーン車)扱いになっており、割高にも感じられますが、さまざまなサービス料金という考え方なのでしょう。S-TRAINも人気の列車で、3日前に出たキャンセルをどうにか押えることができました。
なお、韓国鉄道乗り放題のKRパスは持っていましたが、S-TRAINは適用外とのこと。せめて特室料金の追加ででも、乗れるようになってほしいものです。
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三浪津までは、KTX開業まで二大都市間のメインルートだった、京釜線を上ります。左手に広がる広大な洛東江を、1号車の展望スペースから眺めました。KTXの全線開業までお馴染みだった車窓だけに、懐かしく感じます。
洛東江沿いにはサイクリングロードが整備され、多くのサイクリストが休日のサイクリングを楽しんでいました。聞きしに勝る、自転車人口の急増ぶりです。
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カフェ&食堂車から、コーヒーを飲みながら慶全線の車窓を眺めます。慶全線は2009年に一度乗ったことがありますが、馬山までは大規模な線路改良が行われ、ローカル線というよりKTXにでも乗っている気分になりました。
食堂車はテーブル席があり、本格的な食事を期待しますが、冷凍食品程度の品揃え。カフェはムグンファ号のカフェ車のような「茶房コーヒー」ではなく、ちゃんと苦いコーヒーを出してくれて満足しました。
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この列車の何よりの名物は、「茶礼室」。沿線名産地の茶を、茶礼体験とともに楽しめます。
せっかくの機会なので、若芽を使っているという、一番お高い7,000ウォンのお茶をお願いしました。
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韓国の茶礼に細かい作法はないようですが、茶器は本格的。白磁の茶器を白湯で温め、葉を入れ、丁寧に入れてもらえました。
茶は韓国らしくちょっと薄めでしたが、流れる車窓を眺めながらの茶は格別な気分。馬山を過ぎ、車窓もローカル線らしくなってきました。
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北川駅では、4分停車。列車交換や時間調整ではない、純粋な観光目的の停車時間です。コスモスの里として有名な駅ですが、春のこの日は、無数の風車が回っていました。
4分間はちょっと短い感じで、10分くらい止まればV-TRAINのように、地元の商機にもなるのでは? S-TRAINでは唯一の観光停車だけに、充実が期待されます。
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約3時間で、4方面からの線路が集う要衝・順天着。離れたホームには、大田からやってきた兄弟列車のS-TRAINが待っていました。
大田~光州間と釜山~麗水間の2系統のS-TRAINが順天で「接する」ことで、大田~麗水方面や釜山~光州方面への需要に応えます。このあたりのダイヤの巧みさは、O-TRAINに通じるところがあります。
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順天では、たまたまこちらへ旅行中だった友人と合流。Facebookのおかげで、5年ぶりの再会を果たすことができました。とりあえず、S-TRAIN接続の順天エコシティツアーバスに乗り込みます。
各地で走る観光バスのシティツアーは安いのが魅力で、順天もわずか9,000ウォンです。予約には銀行振り込みが必要で、事実上日本から予約できないのが難点ですが、友人のおかげで席を抑えることができました。
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バスで幹線道路走ること30分、仙岩寺着。ここでお寺の参拝と、自由昼食の時間になります。13時50分までに正門に行けばガイド付きで参拝できるそうですが、40分しかない!
川沿いに開けた、春風が気持ちのいい食堂で山菜定食。体に良さそうな味でしたが、ドンドン酒を合わせてしまったので、差し引きゼロかな? やはり13時50分には間に合いませんでしたが、満足の昼食でした。
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韓国の寺は美しい自然の山中にある所が多く、森林浴の気分。特に5月は新緑が美しく、山寺を訪ねるにはいい季節です。
ただ垂れ幕には、「セウォル号犠牲者のご家族の悲しみを分かち合い、行方不明者の無事の帰還をお祈りします」とあり、今の韓国を映してもいました。
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釈迦誕生日を2日後に控え、提灯の飾り付けがなされていました。
ただ例年であれば「お祭り」のように祝う日ですが、今年は多くが自粛されたとのこと。
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2番目の見学地、楽安邑城へ。シティツアーでは入場料を各地で現地払いになるのですが、観光シーズンとあって大行列!ただでさえ40分しかない見学時間のうち、10分はバスとの往復、10分は行列に費やされてしまいました。
昔ながらの城郭が残る文化財なのですが、その中に入ると…
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そこに広がるのは、生活が続く昔ながらの家々。城郭の中にある集落、それが邑城なのです。時が止まったかのような風情に、しばし足が止まりました。
しかし、なんせ時間がない! 場内には民泊も多いようで、次回はぜひ泊まって、夕暮れから朝への時の移ろいを感じてみたいものです。
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バスは最後のハイライト、順天湾自然生態公園に向かいますが、大渋滞で30分遅れ。しかも、こちらの入場券売り場も大行列で、ただでさえ1時間しかない見学時間では完全にアウトです。目の前にして、泣く泣く引き返しました。
シーズンの半日では無理があるように思えたコースでしたが、それだけ順天は見どころが多い証。今度は必ずや、ゆっくり訪れようと思います。
S-TRAINにギリギリ間に合う時間まで、見学時間は延長されました。ただ友人を始め、S-TRAINの前の急行に乗る人は間に合わなくなるため、タクシー代1万ウォンを渡され、先に駅へ帰るようフォローしてくれました。残念だったけど、きめ細かいフォローでした。
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順天駅で友人と別れ、僕は西大田行きのS-TRAINに乗車。車体のデザインは違い、茶礼室も運営する自治体が異なるようです。茶礼室にはミニ鉢植えが飾られ、手作り感のあるいい雰囲気でした。
茶道ではないティーバックの発酵茶を頼んだところ、日本から来て頂いたからと、お茶請けをサービスしてくれました。発酵茶は、紅茶と緑茶の中間のような味。カフェインが豊富で、疲労回復に効果があるのだとか。
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西大田では後続のKTXに乗り、龍山へ。今夜は、駅前の「ドラゴンヒルスパ」(12,000ウォン)で夜明かしです。広々した風呂やサウナでくつろぎ、深夜にも関わらず営業中だったアカスリ(15,000ウォン)も受けて、スッキリしました。
ただ、連休中のスパの混雑はすごかった。仮眠室は満員、毛布や枕も早々に品切れになり、結局タオルを枕に廊下でごろ寝しました。朝起きてみたら、脱衣所や風呂の洗い場にまで人がゴロゴロ。繁忙期のスパには、相応の覚悟が必要でした。
今度はS-trainで検索してきました。
奇遇にもニアミスしていますね。
私も韓国に旅行していて、4日には大田の東横インで宿泊し翌日は逆コースでS-trainに乗車し釜山に向かいました。順天ではなく麗水を観光しましたが…
検索結果に次々現れ、失礼致します(笑)。
大田→麗水→釜山コースだったということは、順天駅で2度ニアミスしたことになりますね。
偶然ももちろんですが、ユニークなダイヤゆえのニアミスとも言えそうです。
ところで東横はいつの間にか、大田にもできていたんですね!しかも市街地や温泉ではなく、政府庁舎とは…
かの地でも好調のようで、安心して泊まれる所が増えるのは嬉しいことでもありますね。
こちらも先月韓国を訪問する機会があり、S-trainなどの観光列車に初乗車したものでした。
4ヶ国語放送まで流れ、外国人誘客も考えている列車にも関わらず、外国人向けパス類が「使えない」のは考え物で、特室料金追加で乗車可能に…と思うのは同感です。
こちらが乗車した際には、2度目の運行区間変更で釜山発列車は宝城までの運行となっており、宝城の一つ前でも10分程停車時間が設けられていました。
また終点の宝城は茶園などで有名な所ですが、今回は旅程の関係で釜山→宝城の全区間を乗車した後、足早にバスターミナルへ向かい、市外バスですぐに隣町へ向かう状況でした。
機会があればこの一帯もゆっくりと観光したいもので、S-trainに関してはこちらのブログでもそう遠くない内に記事公開できれば…と思っています。
私、BS-TBSにてテレビ番組を制作している
岸と申します。
今回番組の中で「世界の鉄道」を取り上げようと考えておりまして、こちらのブログに掲載されている
Sトレインのお写真を使用させていただきたく
ご連絡させていただきました。
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