池袋と新宿を拠点に、東京と郊外を結ぶ西武電車。その中でも東京西部の支線群は、一見しただけでは全容を掴めないほど複雑に絡まりあってます。
絡まった紐をほどくように、1線1線、丹念に乗りつぶしてみました。
●多摩湖線~単線で効率よく運用
多摩湖線はJR中央線の国分寺駅を起点に、西武遊園地駅までの9.2kmを結ぶ路線です。そう聞くとレジャー路線としての側面しか見えてきませんが、実態は沿線の生活を支える生活密着型の路線でした。
JR駅の改札をくぐり、橋上駅舎と同一レベルの連絡通路を渡ると、頭端式の多摩湖線ホームに出ます。
国分寺の界隈を抜けると、小平市に抜け一橋学園へ。路盤は複線分確保されていますが、線路は単線分しか敷設されておらず、上下の電車は各駅で交換します。
ラッシュ時の運行間隔は10分を切るにも関わらず、単線でしのぐとは、なかなかシビアな運行体系です。
狭山線と交差する、萩山駅へ。運行頻度は高いのに、ホームは2面3線しかありません。双方の電車の合間をたくみに縫って、接続を取りながら発着していきます。
電車は101系の4両編成で、ワンマン運行を実施。あまり新しい車両ではありませんが、戸袋にも窓が付いていて、車内が明るい電車です。
狭山線と多摩湖線の交差部分を、ホームの端から観察。平面交差になっており、少しでもダイヤに遅れが出ると、双方に影響してくる構造です。運転士としても、神経を使う場所でしょう。
萩山を出ても単線が続きますが、武蔵大和を出ると複線区間に。実はこれ、回田(めぐりた)信号所と呼ばれ、交換部分の有効長は1.7kmにも及びます。
国分寺~萩山間は、中央線と西武狭山線を結ぶことから双方向の流れがありましたが、ラッシュと逆方向の西武遊園地方面は、牧歌的な車内風景でした。
●山口線~独立して走る新交通システム
終点・西武遊園地前で多摩湖線の電車を降りると、ホーム先端にこぶりな車両が待っていました。新交通システムで運行される、西武山口線です。
日中は20分間隔で走るのに、朝夕は30分間隔に開いてしまうのはレジャー路線の証。次の電車は30分後なので、乗り遅れないよう注意を促すアナウンスが流れていました。
線内はわずか3駅ですが、レジャー路線らしく、車内にはこぶりなクロスシートが並びます。かぶりつき席もあり、昼間ならお子さんの人気を集めていそうです。
唯一の中間駅・遊園地西駅は、ほぼ園内。開園前では乗降客もいないだろうと思っていたら、高校生が一人乗ってきました。数は少ないながら、沿線の足にもなっているのですね。
東京近郊とは思えない山の中を、ゴムタイヤの電車は快走。両端は普通鉄道なのに、なぜここだけ新交通?と思っていましたが、乗客数の差もさることながら、カーブが多く、重量級の本線列車を通すのは難しそうです。
ただわずか2.8kmの区間の独立したシステムであり、保守などの苦労は多いのでは?新交通システムの運賃は割高な所が多いのに、他の西武線と共通運賃では収益も厳しいんじゃないかなと、勝手に想像してしまいました。
のどかな異色の新交通・山口線は、がらんとした西武球場前の専用ホームに到着。数分間のショートトリップでした。
●狭山線~ラッシュ時は通勤輸送で潤う
西武球場駅で出迎えたのは、おびただしい数の自動改札機でした。狭山線側には3つのホームがあり、改札前の空間も広く取られていて、野球開催時の賑わいが想像されます。
逆に福岡のヤフオクドームは、ここ以上の数の観客を主にバスでさばいているわけで、それはそれで驚嘆に値するのかも。
駅を出れば、もちろん西武ドーム。この景色だけを見ている限り、平日の朝夕は静かな風景を想像しますが…
周囲は住宅が張り付いており、通勤客がほどほどに集まってきます。空席を残して発車した電車も、上山口駅ではどっさり乗り込み満員に。
球場までわずか4.2kmを往復するミニ路線は、まぎれもない首都圏の通勤電車の一翼なのでした。
●西武園線~夕方は住宅地への足
東村山から分岐する西武園線には、とっぷり陽も暮れた秋の夕方に乗りました。
多摩湖線と同じ、白い101系電車の4両編成が往復する路線です。夕方の下り電車とはいえ、乗客は1両あたり10人にもなりません。
ガタガタと走り数分、終点の西武園着。ホームは2面ありますが、1面は多客期用のようで、照明も入らず真っ暗でした。
駅構内も広く取られ、行楽期や競輪開催時には多くの乗客が押し寄せるのでしょう。
それにしても、西武園周辺の路線の充実っぷりは大したもの。あらゆる方向からのアクセスが可能で、一大レジャー施設なのですね。今度は乗りつぶしではなく、遊びに行きたくなってみました。
駅周辺は住宅地で、駅前らしい店や商店街などはありません。駅を出た通勤客は、バラバラになってそれぞれの「我が家」を目指していました。
レジャー輸送を除けば、駅からのフィーダーバスのような役割を担っている路線です。
●国分寺線~支線区の中では親分格
最後の路線は、東村山と国分寺を結ぶ国分寺線。多摩湖線と交差するものの、交差地点に駅はなく、別会社の路線のようです。
電車は東村山と国分寺を往復するスタイル。お馴染み「湘南顔」の101系電車ではなく、西武を代表する2000系電車です。
電車は新しくて利用客も多く、沿線の街も賑わっている感じ。小平周辺の支線区ネットワークの中ででは、幹線格のように感じられたのでした。
絡まった紐をほどくように、1線1線、丹念に乗りつぶしてみました。
●多摩湖線~単線で効率よく運用
多摩湖線はJR中央線の国分寺駅を起点に、西武遊園地駅までの9.2kmを結ぶ路線です。そう聞くとレジャー路線としての側面しか見えてきませんが、実態は沿線の生活を支える生活密着型の路線でした。
JR駅の改札をくぐり、橋上駅舎と同一レベルの連絡通路を渡ると、頭端式の多摩湖線ホームに出ます。
国分寺の界隈を抜けると、小平市に抜け一橋学園へ。路盤は複線分確保されていますが、線路は単線分しか敷設されておらず、上下の電車は各駅で交換します。
ラッシュ時の運行間隔は10分を切るにも関わらず、単線でしのぐとは、なかなかシビアな運行体系です。
狭山線と交差する、萩山駅へ。運行頻度は高いのに、ホームは2面3線しかありません。双方の電車の合間をたくみに縫って、接続を取りながら発着していきます。
電車は101系の4両編成で、ワンマン運行を実施。あまり新しい車両ではありませんが、戸袋にも窓が付いていて、車内が明るい電車です。
狭山線と多摩湖線の交差部分を、ホームの端から観察。平面交差になっており、少しでもダイヤに遅れが出ると、双方に影響してくる構造です。運転士としても、神経を使う場所でしょう。
萩山を出ても単線が続きますが、武蔵大和を出ると複線区間に。実はこれ、回田(めぐりた)信号所と呼ばれ、交換部分の有効長は1.7kmにも及びます。
国分寺~萩山間は、中央線と西武狭山線を結ぶことから双方向の流れがありましたが、ラッシュと逆方向の西武遊園地方面は、牧歌的な車内風景でした。
●山口線~独立して走る新交通システム
終点・西武遊園地前で多摩湖線の電車を降りると、ホーム先端にこぶりな車両が待っていました。新交通システムで運行される、西武山口線です。
日中は20分間隔で走るのに、朝夕は30分間隔に開いてしまうのはレジャー路線の証。次の電車は30分後なので、乗り遅れないよう注意を促すアナウンスが流れていました。
線内はわずか3駅ですが、レジャー路線らしく、車内にはこぶりなクロスシートが並びます。かぶりつき席もあり、昼間ならお子さんの人気を集めていそうです。
唯一の中間駅・遊園地西駅は、ほぼ園内。開園前では乗降客もいないだろうと思っていたら、高校生が一人乗ってきました。数は少ないながら、沿線の足にもなっているのですね。
東京近郊とは思えない山の中を、ゴムタイヤの電車は快走。両端は普通鉄道なのに、なぜここだけ新交通?と思っていましたが、乗客数の差もさることながら、カーブが多く、重量級の本線列車を通すのは難しそうです。
ただわずか2.8kmの区間の独立したシステムであり、保守などの苦労は多いのでは?新交通システムの運賃は割高な所が多いのに、他の西武線と共通運賃では収益も厳しいんじゃないかなと、勝手に想像してしまいました。
のどかな異色の新交通・山口線は、がらんとした西武球場前の専用ホームに到着。数分間のショートトリップでした。
●狭山線~ラッシュ時は通勤輸送で潤う
西武球場駅で出迎えたのは、おびただしい数の自動改札機でした。狭山線側には3つのホームがあり、改札前の空間も広く取られていて、野球開催時の賑わいが想像されます。
逆に福岡のヤフオクドームは、ここ以上の数の観客を主にバスでさばいているわけで、それはそれで驚嘆に値するのかも。
駅を出れば、もちろん西武ドーム。この景色だけを見ている限り、平日の朝夕は静かな風景を想像しますが…
周囲は住宅が張り付いており、通勤客がほどほどに集まってきます。空席を残して発車した電車も、上山口駅ではどっさり乗り込み満員に。
球場までわずか4.2kmを往復するミニ路線は、まぎれもない首都圏の通勤電車の一翼なのでした。
●西武園線~夕方は住宅地への足
東村山から分岐する西武園線には、とっぷり陽も暮れた秋の夕方に乗りました。
多摩湖線と同じ、白い101系電車の4両編成が往復する路線です。夕方の下り電車とはいえ、乗客は1両あたり10人にもなりません。
ガタガタと走り数分、終点の西武園着。ホームは2面ありますが、1面は多客期用のようで、照明も入らず真っ暗でした。
駅構内も広く取られ、行楽期や競輪開催時には多くの乗客が押し寄せるのでしょう。
それにしても、西武園周辺の路線の充実っぷりは大したもの。あらゆる方向からのアクセスが可能で、一大レジャー施設なのですね。今度は乗りつぶしではなく、遊びに行きたくなってみました。
駅周辺は住宅地で、駅前らしい店や商店街などはありません。駅を出た通勤客は、バラバラになってそれぞれの「我が家」を目指していました。
レジャー輸送を除けば、駅からのフィーダーバスのような役割を担っている路線です。
●国分寺線~支線区の中では親分格
最後の路線は、東村山と国分寺を結ぶ国分寺線。多摩湖線と交差するものの、交差地点に駅はなく、別会社の路線のようです。
電車は東村山と国分寺を往復するスタイル。お馴染み「湘南顔」の101系電車ではなく、西武を代表する2000系電車です。
電車は新しくて利用客も多く、沿線の街も賑わっている感じ。小平周辺の支線区ネットワークの中ででは、幹線格のように感じられたのでした。