7月14日、白川郷から郡上八幡方面へはバスで抜けます。
…と書くと簡単そうですが、バスはなんと1日に1本!しかも案内所兼切符売り場で貰った時刻が、7月1日のダイヤ改正前のもので、信じてバス停に行ったら出発時刻の3分後でした。
実際は渋滞でバスが20分近く遅れて事なきを得ましたが、案内所というからには最新の情報を置いてもらわないと困ります。
最新型のノンステップバスに、僕ら以外の乗客は2人。三連休でこの状態ですから、日頃は空気輸送なのでは?
でも車窓は素晴らしいです。高さ131メートルのロックフィル式ダム「御母衣ダム」の威容に圧倒!
広大な御母衣湖の周囲を走って行きます。
ちなみにバス運賃は、初乗り100円。短距離利用促進のためだと思いますが、1日1本では、なかなか100円運賃を使う機会もなさそうです。
1時間20分で、長良川鉄道北濃駅着。延長72キロを誇る、長良川鉄道の最果ての駅です。
終着駅を始発駅に鉄道の旅を始めるというのも、オツなものでしょ?
無人駅ですが、かつての有人窓口の上には国鉄の「エキゾチック・ジャパン」キャンペーンのステッカーが!
駅構内には、転車台も残ります。ディーゼルカーは単色塗装で、新型車両ながら渋い味わいを醸し出しています。
セミクロスシートの車内には、郡上市の観光ポスターがずらり。どのポスターもセンスがあり、旅気分が盛り上がります。これから郡上八幡に向かう観光客としては、歓迎されている気分に。
車内で貰ったパンフレットは、のちのち役に立ちました。
長良川沿いを、のんびりと走る長良川鉄道。乗客の子どもたちにとっても、輝く夏の思い出になることでしょう。
国鉄の雰囲気を色濃く残す、郡上八幡駅着。ここで途中下車です。
ちなみに僕が手にしている切符は、白川郷~北濃の白鳥交通と、北濃~美濃太田の長良川鉄道を乗り継いで利用できる割引きっぷ。通常運賃3,850円が3,000円になる上、途中下車自由。しかも2日間有効と、僕の旅のためにあるような切符でした。
八幡町の中心部へはコミバスも出ていますが、夕暮れの涼しい時間なので、川沿いをぶらぶらと登ることに。長良川から、吉田川へと進みます。
水遊びする家族連れ、BBQに興ずる若者グループ、夕涼みを楽しむカップル、アユと真剣勝負中の釣り人…それぞれが川と親しみ、遊んでいます。いい風景です。
まずは、今宵の宿にチェックイン。町屋の民宿、小川屋さんです。
歩くときにはミシミシ音を立てないよう注意せねばなりませんが、昔ながらの町屋が「粋」な雰囲気です。部屋からは通りを見下ろすことができて、昔ながらの下町情緒に浸れます。
夕方7時、夕暮れの街中へ。路地にはあちこちに沸き水があり、喉を潤すことができます。
こちらも、どこを切り取っても絵になる街並みです。
郡上八幡名物、子どもたちが川へ飛び込む橋には、安易な飛び込みを自制する看板が。
慣れない飛び込みは、命に関わるそうです…。
無理無理、こんな高さ!
メインストリートも、いい雰囲気になってきました。
夕ご飯は、名物の うなぎのかば焼き!
筑後人としては せいろ蒸しに馴染みがあるのですが、香ばしい かば焼きは美味のひとこと。豊かな川の恵みです。…国産かどうかは分かりませんでしたが。
食後のもう一杯は、メインストリートにあった町屋バルに。和の空間に、カウンターバーが不思議と似合っていました。観光客と地元の人が さらっと仲良くなれる雰囲気も、旅人には嬉しいお店です。
ハイボールが280円とやたら安かったのですが、実はまだ開店一週間。試行錯誤している段階で、毎日値段は変わっているところだそうです。次に来る時は、いくらになってるかな??
提灯や灯篭が並び、夜の雰囲気を楽しめるのは、お泊りの旅人の特権。郡上踊りの開催日ではないのが残念でしたが、その分、落ち着いた佇まいを堪能しました。
翌朝は、格子越しに通りを眺めながらの朝食をおいしく頂き、まずは郡上八幡城へ。
復元天守ではありますが、今年80周年を迎える木造の天守閣です。大きな城ではありませんが、山上に凛とたたずむ存在感は充分です。
城への公共交通機関はないので、タクシーに頼らないのであれば、信じるのは自分の足のみ。
しかし夏の陽に照らされた郡上八幡は、街並みも山も川もキラキラと輝き、疲れも吹き飛ぶような眺めでした。
乾いた喉をうるおすなら、ビールよりこれでしょう。郡上八幡の清らかな水で仕込まれた、名物サイダー!郡上踊りを踊るラベルの女性も、サイダーを手にしています。
麓に降り、旧町役場へ。郡上八幡のお土産品が各種揃っている他、この日は大正時代の大火の展示も行われていました。
実は郡上八幡の景観を作る建物の多くは、大正の大火の後に再建されたもの。縦横に張り巡らされた水路も、大火を教訓にしたものです。
川や水路には、洗い場が設けられています。上流が調理、下流が洗い物という序列があり、皆がきれいに使えるよう工夫されています。豊富な水も大切に使う「文化」が根付いた街です。
上流へ5分も歩けば、乙姫渓谷へ。
さらに400m登れば、乙姫の滝です。街中から、散歩気分で行くことができる場所に渓谷と滝があるのですから、いろんな意味で水に恵まれた街です。
川に足をつけてみれば、1分も耐えられないほどの冷たさでした。
散歩の疲れを、吉田川を望むオープンカフェで癒します。名水で淹れたアイスコーヒー、すっきりした後味が美味でした。
こちらも夜にはバーに代わり、若い世代でもいい夜を過ごせる街です。
名古屋では35度を超えたこの日、川遊びをする子どもたちの姿があちこちに。
川に張り出した家の「人工地盤」の上には庭があり、特徴ある風景を作っています。
水がもたらす清涼感のまわりには、人々が集まってきます。
お昼ごはんは、郡上名物のB級グルメ「鶏ちゃん」。地元ではテイクアウトがメインみたいですが、食べさせてくれるお店も何店舗かあるようです。
みそで味付られた鶏肉に、ごはんも もりもり進みます。
列車の時間を考えると、街中で過ごせるのもあと20分。この時間も無駄にしたくなくて、「カフェ町家さいとう」で、庭を眺めながらの抹茶タイムを楽しみました。
名残惜しくも、徒歩で郡上八幡駅へ。
駅内には小さな鉄道資料館が。廃止に揺れていた当時の「百回の陳情より一回の利用」というキャッチフレーズは、再びローカル線が危機にある今も通じるのではないでしょうか?
14時52分発の列車を、多くの乗客が待ち受けます。実はほとんどがツアー客で、景色のよい一部区間を「体験乗車」するコースなんだそうです。
九州でも南阿蘇鉄道や、かつての高千穂鉄道が、同様の手法で集客に努めていました。のんびりしたい個人客には残念な喧騒も、鉄道が明日も走るために必要なものです。
この列車は「ゆら~り眺めて清流列車」の名前が付いており、景勝地では30キロに速度を落として走ります。
専用の速度制限標識も立っており、列車が減速を始めたら絶景のサインです。
確かにキレイ。長良川の美しさを、ゆっくりと楽しめます。
ただ案内放送は一切なく、団体さんの乗客の中には車窓に関心を示さない人も。アテンダントさんの乗務は無理だとしても、テープででもいいから一言二言「解説」があると、より楽しめるのではないかなと思いました。車窓を楽しむ列車なのに、2両ともオールロングシートというのも、解せない運用です。
子宝温泉で団体さんは降りましたが、美濃太田に近付くにつれて日常の利用客が増えて行きました。
美濃太田は非電化の高山本線の駅ながら、近代的な橋上駅に、TOICA対応の自動改札が並びます。少しずつ都会に、そして日常が近づいてきました。
名古屋までは、特急「ひだ」でプチ贅沢。新幹線の乗り継ぎ割引が効くので、指定席でも大きな負担ではありません。
最後は、名古屋駅前の地下街で味噌カツを食べてフィナーレ。4日間の旅を共にした旅の相棒とも、ここで解散です。
18時32分発の東京行き、博多行きそれぞれの「のぞみ」に乗り、それぞれの帰路へとつきました。
…と書くと簡単そうですが、バスはなんと1日に1本!しかも案内所兼切符売り場で貰った時刻が、7月1日のダイヤ改正前のもので、信じてバス停に行ったら出発時刻の3分後でした。
実際は渋滞でバスが20分近く遅れて事なきを得ましたが、案内所というからには最新の情報を置いてもらわないと困ります。
最新型のノンステップバスに、僕ら以外の乗客は2人。三連休でこの状態ですから、日頃は空気輸送なのでは?
でも車窓は素晴らしいです。高さ131メートルのロックフィル式ダム「御母衣ダム」の威容に圧倒!
広大な御母衣湖の周囲を走って行きます。
ちなみにバス運賃は、初乗り100円。短距離利用促進のためだと思いますが、1日1本では、なかなか100円運賃を使う機会もなさそうです。
1時間20分で、長良川鉄道北濃駅着。延長72キロを誇る、長良川鉄道の最果ての駅です。
終着駅を始発駅に鉄道の旅を始めるというのも、オツなものでしょ?
無人駅ですが、かつての有人窓口の上には国鉄の「エキゾチック・ジャパン」キャンペーンのステッカーが!
駅構内には、転車台も残ります。ディーゼルカーは単色塗装で、新型車両ながら渋い味わいを醸し出しています。
セミクロスシートの車内には、郡上市の観光ポスターがずらり。どのポスターもセンスがあり、旅気分が盛り上がります。これから郡上八幡に向かう観光客としては、歓迎されている気分に。
車内で貰ったパンフレットは、のちのち役に立ちました。
長良川沿いを、のんびりと走る長良川鉄道。乗客の子どもたちにとっても、輝く夏の思い出になることでしょう。
国鉄の雰囲気を色濃く残す、郡上八幡駅着。ここで途中下車です。
ちなみに僕が手にしている切符は、白川郷~北濃の白鳥交通と、北濃~美濃太田の長良川鉄道を乗り継いで利用できる割引きっぷ。通常運賃3,850円が3,000円になる上、途中下車自由。しかも2日間有効と、僕の旅のためにあるような切符でした。
八幡町の中心部へはコミバスも出ていますが、夕暮れの涼しい時間なので、川沿いをぶらぶらと登ることに。長良川から、吉田川へと進みます。
水遊びする家族連れ、BBQに興ずる若者グループ、夕涼みを楽しむカップル、アユと真剣勝負中の釣り人…それぞれが川と親しみ、遊んでいます。いい風景です。
まずは、今宵の宿にチェックイン。町屋の民宿、小川屋さんです。
歩くときにはミシミシ音を立てないよう注意せねばなりませんが、昔ながらの町屋が「粋」な雰囲気です。部屋からは通りを見下ろすことができて、昔ながらの下町情緒に浸れます。
夕方7時、夕暮れの街中へ。路地にはあちこちに沸き水があり、喉を潤すことができます。
こちらも、どこを切り取っても絵になる街並みです。
郡上八幡名物、子どもたちが川へ飛び込む橋には、安易な飛び込みを自制する看板が。
慣れない飛び込みは、命に関わるそうです…。
無理無理、こんな高さ!
メインストリートも、いい雰囲気になってきました。
夕ご飯は、名物の うなぎのかば焼き!
筑後人としては せいろ蒸しに馴染みがあるのですが、香ばしい かば焼きは美味のひとこと。豊かな川の恵みです。…国産かどうかは分かりませんでしたが。
食後のもう一杯は、メインストリートにあった町屋バルに。和の空間に、カウンターバーが不思議と似合っていました。観光客と地元の人が さらっと仲良くなれる雰囲気も、旅人には嬉しいお店です。
ハイボールが280円とやたら安かったのですが、実はまだ開店一週間。試行錯誤している段階で、毎日値段は変わっているところだそうです。次に来る時は、いくらになってるかな??
提灯や灯篭が並び、夜の雰囲気を楽しめるのは、お泊りの旅人の特権。郡上踊りの開催日ではないのが残念でしたが、その分、落ち着いた佇まいを堪能しました。
翌朝は、格子越しに通りを眺めながらの朝食をおいしく頂き、まずは郡上八幡城へ。
復元天守ではありますが、今年80周年を迎える木造の天守閣です。大きな城ではありませんが、山上に凛とたたずむ存在感は充分です。
城への公共交通機関はないので、タクシーに頼らないのであれば、信じるのは自分の足のみ。
しかし夏の陽に照らされた郡上八幡は、街並みも山も川もキラキラと輝き、疲れも吹き飛ぶような眺めでした。
乾いた喉をうるおすなら、ビールよりこれでしょう。郡上八幡の清らかな水で仕込まれた、名物サイダー!郡上踊りを踊るラベルの女性も、サイダーを手にしています。
麓に降り、旧町役場へ。郡上八幡のお土産品が各種揃っている他、この日は大正時代の大火の展示も行われていました。
実は郡上八幡の景観を作る建物の多くは、大正の大火の後に再建されたもの。縦横に張り巡らされた水路も、大火を教訓にしたものです。
川や水路には、洗い場が設けられています。上流が調理、下流が洗い物という序列があり、皆がきれいに使えるよう工夫されています。豊富な水も大切に使う「文化」が根付いた街です。
上流へ5分も歩けば、乙姫渓谷へ。
さらに400m登れば、乙姫の滝です。街中から、散歩気分で行くことができる場所に渓谷と滝があるのですから、いろんな意味で水に恵まれた街です。
川に足をつけてみれば、1分も耐えられないほどの冷たさでした。
散歩の疲れを、吉田川を望むオープンカフェで癒します。名水で淹れたアイスコーヒー、すっきりした後味が美味でした。
こちらも夜にはバーに代わり、若い世代でもいい夜を過ごせる街です。
名古屋では35度を超えたこの日、川遊びをする子どもたちの姿があちこちに。
川に張り出した家の「人工地盤」の上には庭があり、特徴ある風景を作っています。
水がもたらす清涼感のまわりには、人々が集まってきます。
お昼ごはんは、郡上名物のB級グルメ「鶏ちゃん」。地元ではテイクアウトがメインみたいですが、食べさせてくれるお店も何店舗かあるようです。
みそで味付られた鶏肉に、ごはんも もりもり進みます。
列車の時間を考えると、街中で過ごせるのもあと20分。この時間も無駄にしたくなくて、「カフェ町家さいとう」で、庭を眺めながらの抹茶タイムを楽しみました。
名残惜しくも、徒歩で郡上八幡駅へ。
駅内には小さな鉄道資料館が。廃止に揺れていた当時の「百回の陳情より一回の利用」というキャッチフレーズは、再びローカル線が危機にある今も通じるのではないでしょうか?
14時52分発の列車を、多くの乗客が待ち受けます。実はほとんどがツアー客で、景色のよい一部区間を「体験乗車」するコースなんだそうです。
九州でも南阿蘇鉄道や、かつての高千穂鉄道が、同様の手法で集客に努めていました。のんびりしたい個人客には残念な喧騒も、鉄道が明日も走るために必要なものです。
この列車は「ゆら~り眺めて清流列車」の名前が付いており、景勝地では30キロに速度を落として走ります。
専用の速度制限標識も立っており、列車が減速を始めたら絶景のサインです。
確かにキレイ。長良川の美しさを、ゆっくりと楽しめます。
ただ案内放送は一切なく、団体さんの乗客の中には車窓に関心を示さない人も。アテンダントさんの乗務は無理だとしても、テープででもいいから一言二言「解説」があると、より楽しめるのではないかなと思いました。車窓を楽しむ列車なのに、2両ともオールロングシートというのも、解せない運用です。
子宝温泉で団体さんは降りましたが、美濃太田に近付くにつれて日常の利用客が増えて行きました。
美濃太田は非電化の高山本線の駅ながら、近代的な橋上駅に、TOICA対応の自動改札が並びます。少しずつ都会に、そして日常が近づいてきました。
名古屋までは、特急「ひだ」でプチ贅沢。新幹線の乗り継ぎ割引が効くので、指定席でも大きな負担ではありません。
最後は、名古屋駅前の地下街で味噌カツを食べてフィナーレ。4日間の旅を共にした旅の相棒とも、ここで解散です。
18時32分発の東京行き、博多行きそれぞれの「のぞみ」に乗り、それぞれの帰路へとつきました。