名門大洋フェリーで大阪南港に降り立った僕らは、ニュートラムと地下鉄を乗り継いで梅田まで出てきました。
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御堂筋線の名物ともいえるのが、旧市内の駅のドーム型天井ホーム。地下鉄改革の一環で、美しくリニューアルされていました。
もとより昭和のよき時代を感じさせるデザインだっただけに、リニューアルの必要はないと思っていましたが、より空間の豊かさを引き立てたように感じられます。
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梅田の地下街で金券ショップを見つけ出し、JRの京都までの土日用回数券のばら売りを買いました。一手間かかりますが、これで200円以上安くなります。
回数券のばら売り文化のお陰で、関西ではICカードの普及が進まないとも聞きますが、さもありなんです。
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新快速電車に乗って、京都へ。12両もあるのに、ぎゅう詰めの満員状態でした。先頭の「かぶり付き」区画は鉄っちゃんでいっぱいで、ヨメさん、居心地悪そう。ごめんなさい。
高槻駅では、外側線の新ホームにロープ式のホームドアが登場。3扉と4扉の車両が混在する路線で、文字通り「幅広く」対応するための工夫です。
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それこそあっという間に、京都着。まずは、駅ビルをぐるり一回りしてみました。
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屋上庭園には竹が並び、涼やかな雰囲気。外国人観光客にも人気で、自撮り棒も大活躍しています。
ただ梅雨時とは思えない直射日光の餌食になり、暑くてたまりませんでした。
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駅舎中央の吹き抜けをまたぐ「空中回廊」は、エアコンが入っていて快適。窓の外には、低い高さのビルが並ぶ、博多を思い出すような都市景観が広がっていました。
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東側から見下ろしたコンコース。行き交う人々は豆粒のようで、スケール感がくるってしまいそうです。
中層のテラスでは、オーダー式のビアガーデンもやっているのだとか。開放感はありつつ、雨でもOKというのがイイネ!ぜひ行ってみたいものです。
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さて、今回の旅の最大の目的地でもある鉄道博物館へは、駅から歩いて20分。沿道には鉄道にちなんだモニュメントが並び、道しるべになってくれます。
ビル街のうちは影を歩いていればよかったのですが、東海道本線の沿道に出ると日差しをさえぎるものもなく、暑いこと暑いこと。夏は、素直に市バスに頼った方がよさそうです。
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しかし梅小路公園に入ると、木陰になり歩きやすくなりました。モミジも多くて、紅葉の時期にはまた美しかろうと想像します。
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本格的なドラフト音を響かせて走るのは、博物館から体験乗車できるSL列車「スチーム号」。体験とはいっても本線クラスの大型蒸気機関車であり、迫力は各地で運転されているSL列車と何ら遜色ありません。
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汗をかきかき、ようやく鉄博へ。重要文化財の木造駅舎・旧二条駅と、対照的にシャープな博物館ゲートの建物が出迎えてくれました。
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入場券売り場は、思いのほか大した行列もなく、すんなり入場。さっそく屋外車両展示場で、歴代の名車と対面です。
大阪・弁天町の交通科学博物館で対面したことのある車両も多いのですが、外部は塗り直され、よりつややかに、美しくなったように感じました。
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0系新幹線車内には、登場時の転換クロスシートと、改良版の簡易リクライニングシートが並べてありました。齢35の僕くらいが、ギリギリで現役を知る世代になると思います。
ただ物心付いた頃にはすでに100系が主役だったし、0系にしてもアコモ改善が進んでいました。この座席に座ったのは、博多南線の10分間だったように記憶しています。
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交通科学館時代はレストランとして営業していた元祖ブルートレイン・20系の食堂車は、お弁当飲食スペースに格下げされてしまったのは残念。
ただサンドイッチ程度の簡単な料理は作っているらしく、調理室にはコックさんの姿がありました。現役時代を彷彿させてくれる光景です。
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屋内展示場はホールのように広々とした、3層吹き抜けの空間。磨きこまれた車両は照明が当てられ、美しく見せるような工夫も考え抜かれています。鉄道美術館とでも呼びたいほどです。
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まだまだ現役の500系が博物館入りしているのは、ちょっと複雑な気持ちも。583系寝台電車も、5年前に急行「きたぐに」として乗ったばかりです。
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交流電化区間の九州人の鉄っちゃんにとって憧れだった、ブルトレ牽引機・EF66。図鑑の中でしか見たことがなかった実物に対面した時は、胸高鳴ったことを思い出します。
博物館では床下にもぐって、台車周りの様子を見られるようになっています。現役時代には、とてもかなわなかったことです。
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屋外には、引退したばかりのトワイライトエクスプレスも。食堂車は食器がセッティングされ、今にもディナータイムが始まろうかという演出が心憎いです。
ただ「あんなに人気のあった、JR西日本のシンボルとも言える列車を、なんで廃止しちゃったのかなあ…」という、納得できない思いの方が先行します。
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「博物館」なので、実物車両を見るだけではなく、鉄道の歴史についても詳しく掘り下げることができます。
2階には「鉄道と文化」なるコーナーも。昨日見たばかりの、「点と線」とも再会しました。
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鉄道技術のコーナーには、どこか懐かしい形の改札機が。自動改札機は時代の最先端の機械だと思っていましたが、改めて古いものに対面すると、今も進化を続けていることが分かります。
頭上の表示が○と×(ペケ)なのは、さすが関西の博物館です。
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座席の変遷は、屋内展示場にも。昭和30年代の花形・151系「こだま」パーラーカーと、700系「ひかりレールスター」の普通車座席が並んでいました。かたや今で言う「グランクラス」レベルの超高値の華、こなた庶民の味方なのに、座席の大きさ自体はさほど変わらなかったんですね。
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じっくり見ていれば、時間はすでに午後2時。行列の絶えなかった3階レストランにも、ようやく空席ができてきました。
しかし行き交う列車が見られる窓際席は、ついに空くことはありませんでした。チャンスを見つけて、平日に来なきゃなあ。
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暑かったので、ビールがうまい!鉄博のロゴ入りというのが、また嬉しいところです。
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鉄博は、もとの梅小路蒸気機関車館。引き続き、蒸気機関車の動態保存の基地にもなっています。
SLの研修庫は、屋上デッキから内部を見られるようになりました。見学者に見られながらの作業、落ち着かないだろうなとも思います。
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ずらり並んだSL群にも美しさを感じますが、重文指定された扇型車庫そのものも見所の一つです。細く、開口部の多い建物はいかにも地震に弱そうですが、しっかりと耐震補強が入れられました。
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休憩所として開放されている50系客車も塗り直され、久大本線で何度も乗ったことを思い出しました。展示車両の扱いにはなっていないようですが、原型で残っているのは全国でもこの1両くらいなはず。できれば屋根のある所に入れて欲しいなと、一ファンとしては思います。
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3時間以上いても、まだまだ見たりない感じではありますが、せっかくの京都なのでほどほどで切り上げましょう。二条駅舎のミュージアムショップはそれこそ足の踏み場もないほどの混雑で、早々に退散しました。
梅小路公園の案内所は、旧京都市電。見慣れた感じがするのは、広島で活躍する「中古」に乗りなれているからです。車内に残された路線図を見るにつけ、なぜこんなにも充実した電車網をなくしてしまったのだろうと思います。
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市バスと地下鉄東西線を乗り継ぎ、東山へ。白川沿いを、岡崎方面へと歩きました。都心の川とは思えないほどの、きれいなせせらぎです。
川を望むテラス席のあるカフェなんかもあって、京都らしい上品さを感じられる、いい雰囲気でした。
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目指した目的地は、京都府立図書館。1909年に完成した、歴史ある建物の図書館ということで訪れてみました。
外観はいかにも戦前の公共施設といった、威厳のある姿。しかし2001年に新図書館と共に大改修を受け、内部は最新鋭の図書館と遜色ないものになっています。吹き抜け部分の螺旋階段が、いいアクセントになっていました。
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京都市電の姿は、ここにも。梅小路と同じく外観は美しいまま保たれており、親しまれている存在だったことが分かります。
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図書館から見える、いかにも戦後モダニズムの公共建築然とした建物が気になりました。役所か公共ホールというのなら合点がいくのですが、スタバや蔦屋書店が入り、ずいぶん洒落た雰囲気なのです。
来訪者も多く、賑わいの拠点になっています。
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正体は「ロームシアター京都」。正式名称は京都会館と称する、戦後モダニズムの巨匠・前川國男氏設計の公共施設です。
昭和35年築ながら、今年初めに全面改修され、まったく古さを感じさせません。同時に施設の名称も、ネーミングライツにより今のものになったのだとか。
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ピロティ形式の通り抜け通路。
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ホワイエの天井は、独特なRC製の梁を照らすようにライティングされていました。もともとの建物の美しさを、より引き立てているように感じられます。
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せっかくなので、平安神宮にも参拝。広々とした境内は、王宮のようです。
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鴨川沿いにある京阪の神宮丸太町へ出ようと、スマホの地図を見ながら川沿いを歩きました。よくよく橋を見てみれば、「琵琶湖疏水」の文字が。先人たちが築いた、京都近代化のための史跡でした。
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さらにレンガ造の建造物が。閘門かなと思っていたら、現役で立派に活躍している、関西電力の水力発電所でした。水力発電所といえば山の中にあるイメージだったので、かなり意外に感じられましたが、ここで作られた電気が京都市電の動力源にもなっていたのだとか。
京阪の駅までは遠そうだし、暑くもあるので市バスに乗ろうかとも思っていましたが、歩けば発見があるものです。
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京阪電車に乗り、三条で特急に乗り換え。二階建て車両も連結した京阪のエース、8000系電車です。以前から大好きな電車で、2010年に行われたリニューアル後に乗るのは初めて。内装はよりシックになり居心地が良く、途中の中書島で降りるのが惜しいほどでした。
来年には有料指定席も登場予定とかで、今から楽しみです。
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中書島駅から商店街を抜けて、酒蔵のある街並みへ。京都らしいしっとりと落ち着いた佇まいに、酒蔵の建物がよく似合っています。
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酒蔵カフェで飲み比べもできるというので入ってみましたが、夕方6時とあってまさに閉めかけるところ。やっぱり、もう少し早めの時間に来なきゃいけなかったです。でも街並みだけは楽しもうと、黄桜酒造を目指すと…
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おお、開いている!レストランや土産屋さんはもちろん、5時で閉まるはずの資料館も開いていました。
資料館は黄桜のシンボル・河童についてのもの。我らが久留米についても、詳しく解説してもらっていました。北野町、田主丸町も今は久留米市であることにも言及してもらえると嬉しいのだけど…
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そしてお土産屋さんには、嬉しい試飲コーナーも。100円でおちょこ1杯の日本酒を楽しめる他、地ビールも気軽に味わえます。
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テラスに出てぐびり。日本酒はもちろん、暑い中歩いた後の地ビールは最高にうまかった!
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川沿いに立つ、旅籠・寺田屋さんとは、そう、あの坂本竜馬が襲われた寺田屋さん。建物は明治期に改築されたらしく、ネット上では散々な評判も目にしますが、結構安めでもあるので、泊まってみるのも悪くはないかなと思います。
建て変わっているのなら「事故物件」でもないわけだし。
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中書島駅から伸びる商店街は、細い街路に古くからの商店が並び、なかなか味のある通りです。
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途中からアーケードになり、雰囲気はごく普通の商店街といった感じ。引き返そうかとも思いましたが、歩いた先には京阪伏見桃山駅もあるので、とりあえず通り抜けてみることにしました。
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すると、商店街にある店から呼び込みを受けました。伏見の酒が呑み比べできます、フードコートみたいなもので他の店からも出前できる、大手筋の商店街へ通り抜けるだけでもいいから…誘われるままに、入ってみました。
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その名も「伏水酒蔵小路」。店内に入れば、ずらりと並んだ伏見の銘酒が目に飛び込んできました。酒蔵カウンターには、全17蔵の酒蔵の酒が揃っています。
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6軒の飲食店は、屋台村風。どの店に入っても、他の店から出前を取ることができるし、酒蔵カウンターから酒の出前もOK。逆に酒蔵カウンターへも、各店に出前してもらえます。
観光客が利き酒を楽しみがてら、お店のご飯をつまみにするもよし。お気に入りのお店のご飯を食べつつ、日本酒を頼んでもよし。来る人、それぞれの楽しみ方ができるスタイルは、ナイスなアイデアです。
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17種飲み比べのメニューがまぶしかったけど、1杯飲んできた後だったので、3種飲み比べで「我慢」。甘めのお酒のセレクトです。これでは足りず、にごり3種比べも追加してしまいましたが。
「出前」では京都名物の鯡蕎麦も食べられて、大満足。なんと2階にはゲストハウスもできるとかで、飲んだくれても安心ですね(笑)。伏見の街もまだまだ見足りないし、今度はゆっくり泊まりに来よう。
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大手筋商店街を歩き、伏見桃山駅方面へ。特急停車駅である中書島駅周辺よりも、人通りが多くぐっと賑わっています。
アーケードの終点は、京阪の踏切。大柄な2階建て車両が高速で通過していく様子は、なかなかの迫力でした。
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伏見桃山駅のホームは、商店街に「接して」います。
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ふたたび大阪方面の京阪電車へ。お酒を飲んでいい気分ですが、時間はまだ8時。今日最後の寄り道に、枚方駅で下車しました。
目的地は、駅前に出現した「TSUTAYA百貨店」こと、枚方T-SITEです。
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夜の時間、ほぼ全面ガラス張りの建物は、一面が本に囲まれた内部を映し出していました。特に、2ヶ所に飛び出したような吹き抜けのスクエアは、インパクトがあります。
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テナントには蔦屋書店はもちろん、雑貨やレストラン、銀行まで入っています。そのどこにも関連する書籍が並び、買うのはもちろん、店内であれば自由に読むことができます。
夜9時を過ぎても、店内は若い人でいっぱい。ターゲットは半径2kmの範囲に設定しているそうですが、京阪沿線から広く集客できているのでは?
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百貨店の撤退で空洞化しつつあった駅前に、朝から夜まで開いている明るい一角ができた効果は、計り知れないものがあると思います。
TSUTAYAはもともと、枚方が発祥の地。地場企業からの、大きな恩返しのように感じられました。
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長い一日も、門真市へ移動すればようやく終了。駅前の全国チェーンのホテルに投宿しました。
窓を開ければ、モノレールの折り返し線。行きつ戻りつ、モノレールの今日のお勤めは、もう少し続きます。
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御堂筋線の名物ともいえるのが、旧市内の駅のドーム型天井ホーム。地下鉄改革の一環で、美しくリニューアルされていました。
もとより昭和のよき時代を感じさせるデザインだっただけに、リニューアルの必要はないと思っていましたが、より空間の豊かさを引き立てたように感じられます。
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梅田の地下街で金券ショップを見つけ出し、JRの京都までの土日用回数券のばら売りを買いました。一手間かかりますが、これで200円以上安くなります。
回数券のばら売り文化のお陰で、関西ではICカードの普及が進まないとも聞きますが、さもありなんです。
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新快速電車に乗って、京都へ。12両もあるのに、ぎゅう詰めの満員状態でした。先頭の「かぶり付き」区画は鉄っちゃんでいっぱいで、ヨメさん、居心地悪そう。ごめんなさい。
高槻駅では、外側線の新ホームにロープ式のホームドアが登場。3扉と4扉の車両が混在する路線で、文字通り「幅広く」対応するための工夫です。
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それこそあっという間に、京都着。まずは、駅ビルをぐるり一回りしてみました。
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屋上庭園には竹が並び、涼やかな雰囲気。外国人観光客にも人気で、自撮り棒も大活躍しています。
ただ梅雨時とは思えない直射日光の餌食になり、暑くてたまりませんでした。
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駅舎中央の吹き抜けをまたぐ「空中回廊」は、エアコンが入っていて快適。窓の外には、低い高さのビルが並ぶ、博多を思い出すような都市景観が広がっていました。
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東側から見下ろしたコンコース。行き交う人々は豆粒のようで、スケール感がくるってしまいそうです。
中層のテラスでは、オーダー式のビアガーデンもやっているのだとか。開放感はありつつ、雨でもOKというのがイイネ!ぜひ行ってみたいものです。
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さて、今回の旅の最大の目的地でもある鉄道博物館へは、駅から歩いて20分。沿道には鉄道にちなんだモニュメントが並び、道しるべになってくれます。
ビル街のうちは影を歩いていればよかったのですが、東海道本線の沿道に出ると日差しをさえぎるものもなく、暑いこと暑いこと。夏は、素直に市バスに頼った方がよさそうです。
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しかし梅小路公園に入ると、木陰になり歩きやすくなりました。モミジも多くて、紅葉の時期にはまた美しかろうと想像します。
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本格的なドラフト音を響かせて走るのは、博物館から体験乗車できるSL列車「スチーム号」。体験とはいっても本線クラスの大型蒸気機関車であり、迫力は各地で運転されているSL列車と何ら遜色ありません。
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汗をかきかき、ようやく鉄博へ。重要文化財の木造駅舎・旧二条駅と、対照的にシャープな博物館ゲートの建物が出迎えてくれました。
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入場券売り場は、思いのほか大した行列もなく、すんなり入場。さっそく屋外車両展示場で、歴代の名車と対面です。
大阪・弁天町の交通科学博物館で対面したことのある車両も多いのですが、外部は塗り直され、よりつややかに、美しくなったように感じました。
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0系新幹線車内には、登場時の転換クロスシートと、改良版の簡易リクライニングシートが並べてありました。齢35の僕くらいが、ギリギリで現役を知る世代になると思います。
ただ物心付いた頃にはすでに100系が主役だったし、0系にしてもアコモ改善が進んでいました。この座席に座ったのは、博多南線の10分間だったように記憶しています。
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交通科学館時代はレストランとして営業していた元祖ブルートレイン・20系の食堂車は、お弁当飲食スペースに格下げされてしまったのは残念。
ただサンドイッチ程度の簡単な料理は作っているらしく、調理室にはコックさんの姿がありました。現役時代を彷彿させてくれる光景です。
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屋内展示場はホールのように広々とした、3層吹き抜けの空間。磨きこまれた車両は照明が当てられ、美しく見せるような工夫も考え抜かれています。鉄道美術館とでも呼びたいほどです。
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まだまだ現役の500系が博物館入りしているのは、ちょっと複雑な気持ちも。583系寝台電車も、5年前に急行「きたぐに」として乗ったばかりです。
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交流電化区間の九州人の鉄っちゃんにとって憧れだった、ブルトレ牽引機・EF66。図鑑の中でしか見たことがなかった実物に対面した時は、胸高鳴ったことを思い出します。
博物館では床下にもぐって、台車周りの様子を見られるようになっています。現役時代には、とてもかなわなかったことです。
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屋外には、引退したばかりのトワイライトエクスプレスも。食堂車は食器がセッティングされ、今にもディナータイムが始まろうかという演出が心憎いです。
ただ「あんなに人気のあった、JR西日本のシンボルとも言える列車を、なんで廃止しちゃったのかなあ…」という、納得できない思いの方が先行します。
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「博物館」なので、実物車両を見るだけではなく、鉄道の歴史についても詳しく掘り下げることができます。
2階には「鉄道と文化」なるコーナーも。昨日見たばかりの、「点と線」とも再会しました。
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鉄道技術のコーナーには、どこか懐かしい形の改札機が。自動改札機は時代の最先端の機械だと思っていましたが、改めて古いものに対面すると、今も進化を続けていることが分かります。
頭上の表示が○と×(ペケ)なのは、さすが関西の博物館です。
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座席の変遷は、屋内展示場にも。昭和30年代の花形・151系「こだま」パーラーカーと、700系「ひかりレールスター」の普通車座席が並んでいました。かたや今で言う「グランクラス」レベルの超高値の華、こなた庶民の味方なのに、座席の大きさ自体はさほど変わらなかったんですね。
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じっくり見ていれば、時間はすでに午後2時。行列の絶えなかった3階レストランにも、ようやく空席ができてきました。
しかし行き交う列車が見られる窓際席は、ついに空くことはありませんでした。チャンスを見つけて、平日に来なきゃなあ。
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暑かったので、ビールがうまい!鉄博のロゴ入りというのが、また嬉しいところです。
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鉄博は、もとの梅小路蒸気機関車館。引き続き、蒸気機関車の動態保存の基地にもなっています。
SLの研修庫は、屋上デッキから内部を見られるようになりました。見学者に見られながらの作業、落ち着かないだろうなとも思います。
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ずらり並んだSL群にも美しさを感じますが、重文指定された扇型車庫そのものも見所の一つです。細く、開口部の多い建物はいかにも地震に弱そうですが、しっかりと耐震補強が入れられました。
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休憩所として開放されている50系客車も塗り直され、久大本線で何度も乗ったことを思い出しました。展示車両の扱いにはなっていないようですが、原型で残っているのは全国でもこの1両くらいなはず。できれば屋根のある所に入れて欲しいなと、一ファンとしては思います。
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3時間以上いても、まだまだ見たりない感じではありますが、せっかくの京都なのでほどほどで切り上げましょう。二条駅舎のミュージアムショップはそれこそ足の踏み場もないほどの混雑で、早々に退散しました。
梅小路公園の案内所は、旧京都市電。見慣れた感じがするのは、広島で活躍する「中古」に乗りなれているからです。車内に残された路線図を見るにつけ、なぜこんなにも充実した電車網をなくしてしまったのだろうと思います。
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市バスと地下鉄東西線を乗り継ぎ、東山へ。白川沿いを、岡崎方面へと歩きました。都心の川とは思えないほどの、きれいなせせらぎです。
川を望むテラス席のあるカフェなんかもあって、京都らしい上品さを感じられる、いい雰囲気でした。
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目指した目的地は、京都府立図書館。1909年に完成した、歴史ある建物の図書館ということで訪れてみました。
外観はいかにも戦前の公共施設といった、威厳のある姿。しかし2001年に新図書館と共に大改修を受け、内部は最新鋭の図書館と遜色ないものになっています。吹き抜け部分の螺旋階段が、いいアクセントになっていました。
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京都市電の姿は、ここにも。梅小路と同じく外観は美しいまま保たれており、親しまれている存在だったことが分かります。
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図書館から見える、いかにも戦後モダニズムの公共建築然とした建物が気になりました。役所か公共ホールというのなら合点がいくのですが、スタバや蔦屋書店が入り、ずいぶん洒落た雰囲気なのです。
来訪者も多く、賑わいの拠点になっています。
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正体は「ロームシアター京都」。正式名称は京都会館と称する、戦後モダニズムの巨匠・前川國男氏設計の公共施設です。
昭和35年築ながら、今年初めに全面改修され、まったく古さを感じさせません。同時に施設の名称も、ネーミングライツにより今のものになったのだとか。
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ピロティ形式の通り抜け通路。
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ホワイエの天井は、独特なRC製の梁を照らすようにライティングされていました。もともとの建物の美しさを、より引き立てているように感じられます。
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せっかくなので、平安神宮にも参拝。広々とした境内は、王宮のようです。
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鴨川沿いにある京阪の神宮丸太町へ出ようと、スマホの地図を見ながら川沿いを歩きました。よくよく橋を見てみれば、「琵琶湖疏水」の文字が。先人たちが築いた、京都近代化のための史跡でした。
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さらにレンガ造の建造物が。閘門かなと思っていたら、現役で立派に活躍している、関西電力の水力発電所でした。水力発電所といえば山の中にあるイメージだったので、かなり意外に感じられましたが、ここで作られた電気が京都市電の動力源にもなっていたのだとか。
京阪の駅までは遠そうだし、暑くもあるので市バスに乗ろうかとも思っていましたが、歩けば発見があるものです。
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京阪電車に乗り、三条で特急に乗り換え。二階建て車両も連結した京阪のエース、8000系電車です。以前から大好きな電車で、2010年に行われたリニューアル後に乗るのは初めて。内装はよりシックになり居心地が良く、途中の中書島で降りるのが惜しいほどでした。
来年には有料指定席も登場予定とかで、今から楽しみです。
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中書島駅から商店街を抜けて、酒蔵のある街並みへ。京都らしいしっとりと落ち着いた佇まいに、酒蔵の建物がよく似合っています。
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酒蔵カフェで飲み比べもできるというので入ってみましたが、夕方6時とあってまさに閉めかけるところ。やっぱり、もう少し早めの時間に来なきゃいけなかったです。でも街並みだけは楽しもうと、黄桜酒造を目指すと…
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おお、開いている!レストランや土産屋さんはもちろん、5時で閉まるはずの資料館も開いていました。
資料館は黄桜のシンボル・河童についてのもの。我らが久留米についても、詳しく解説してもらっていました。北野町、田主丸町も今は久留米市であることにも言及してもらえると嬉しいのだけど…
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そしてお土産屋さんには、嬉しい試飲コーナーも。100円でおちょこ1杯の日本酒を楽しめる他、地ビールも気軽に味わえます。
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テラスに出てぐびり。日本酒はもちろん、暑い中歩いた後の地ビールは最高にうまかった!
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川沿いに立つ、旅籠・寺田屋さんとは、そう、あの坂本竜馬が襲われた寺田屋さん。建物は明治期に改築されたらしく、ネット上では散々な評判も目にしますが、結構安めでもあるので、泊まってみるのも悪くはないかなと思います。
建て変わっているのなら「事故物件」でもないわけだし。
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中書島駅から伸びる商店街は、細い街路に古くからの商店が並び、なかなか味のある通りです。
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途中からアーケードになり、雰囲気はごく普通の商店街といった感じ。引き返そうかとも思いましたが、歩いた先には京阪伏見桃山駅もあるので、とりあえず通り抜けてみることにしました。
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すると、商店街にある店から呼び込みを受けました。伏見の酒が呑み比べできます、フードコートみたいなもので他の店からも出前できる、大手筋の商店街へ通り抜けるだけでもいいから…誘われるままに、入ってみました。
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その名も「伏水酒蔵小路」。店内に入れば、ずらりと並んだ伏見の銘酒が目に飛び込んできました。酒蔵カウンターには、全17蔵の酒蔵の酒が揃っています。
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6軒の飲食店は、屋台村風。どの店に入っても、他の店から出前を取ることができるし、酒蔵カウンターから酒の出前もOK。逆に酒蔵カウンターへも、各店に出前してもらえます。
観光客が利き酒を楽しみがてら、お店のご飯をつまみにするもよし。お気に入りのお店のご飯を食べつつ、日本酒を頼んでもよし。来る人、それぞれの楽しみ方ができるスタイルは、ナイスなアイデアです。
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17種飲み比べのメニューがまぶしかったけど、1杯飲んできた後だったので、3種飲み比べで「我慢」。甘めのお酒のセレクトです。これでは足りず、にごり3種比べも追加してしまいましたが。
「出前」では京都名物の鯡蕎麦も食べられて、大満足。なんと2階にはゲストハウスもできるとかで、飲んだくれても安心ですね(笑)。伏見の街もまだまだ見足りないし、今度はゆっくり泊まりに来よう。
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大手筋商店街を歩き、伏見桃山駅方面へ。特急停車駅である中書島駅周辺よりも、人通りが多くぐっと賑わっています。
アーケードの終点は、京阪の踏切。大柄な2階建て車両が高速で通過していく様子は、なかなかの迫力でした。
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伏見桃山駅のホームは、商店街に「接して」います。
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ふたたび大阪方面の京阪電車へ。お酒を飲んでいい気分ですが、時間はまだ8時。今日最後の寄り道に、枚方駅で下車しました。
目的地は、駅前に出現した「TSUTAYA百貨店」こと、枚方T-SITEです。
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夜の時間、ほぼ全面ガラス張りの建物は、一面が本に囲まれた内部を映し出していました。特に、2ヶ所に飛び出したような吹き抜けのスクエアは、インパクトがあります。
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テナントには蔦屋書店はもちろん、雑貨やレストラン、銀行まで入っています。そのどこにも関連する書籍が並び、買うのはもちろん、店内であれば自由に読むことができます。
夜9時を過ぎても、店内は若い人でいっぱい。ターゲットは半径2kmの範囲に設定しているそうですが、京阪沿線から広く集客できているのでは?
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百貨店の撤退で空洞化しつつあった駅前に、朝から夜まで開いている明るい一角ができた効果は、計り知れないものがあると思います。
TSUTAYAはもともと、枚方が発祥の地。地場企業からの、大きな恩返しのように感じられました。
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長い一日も、門真市へ移動すればようやく終了。駅前の全国チェーンのホテルに投宿しました。
窓を開ければ、モノレールの折り返し線。行きつ戻りつ、モノレールの今日のお勤めは、もう少し続きます。