窓。
かつて自分は室内にいて、窓の外の自由な世界にあこがれていた。
それが今、自分は窓の外側の世界に居て、室内に燃える暖かい灯を切ないほど焦がれている。
窓。窓。それは何と豊かなイメージを呼び起こしてくれるのだろう。
僕らは小坂明子の「あなた」という曲を身近に聞いて過ごした世代だ。
『もしも私が家を建てたなら
小さな家を建てたでしょう
大きな窓と 小さなドアーと
部屋には古い暖炉があるのよ』
と歌う。
今、ほとんどの新築住宅は窓が小さい。熱効率の問題なのだろうけれど、僕は好まない。
大きな窓とまでは言わないけれど、自作の隠れ家に窓を増やすことにした。
手前はロケットストーブの煙突。
南に面したこの壁に窓を付けることにした。
片付け下手で、小屋の周りはまだまだすっきりというわけにはいかないが、中はかなり思い切って整理した。
窓。外の世界と中の世界を繋ぐ魔法の扉。
冬になったら、窓の外の雪景色を眺めながら、日がな一日、ロケットストーブを燃やし、自家焙煎のコーヒーの香りを楽しみながら、過ぎた日のことやこれからのことなど思ってみよう。窓。それは過去と未来を繋ぐ扉でもあるのだろう。
専用の椅子に座ると、この窓から城山と呼ばれる近くの里山が見える。
もうすっかり晩秋の風情。
窓。心の窓を少し開けて、ほかの人の窓をそっとたたいてみようか。ちょっと寂しい晩秋の夜更け。
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