銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

山田湯(熱海・熱海)

2024-07-20 06:30:00 | 銭湯 温泉
#山田湯




JR東海道本線
#熱海駅
▲熱海駅

▲いまは若者が多く訪れる観光地だ

▲改札口を出て右にすすみ

▲平和通り商店街の入り口

▲すごい人混み。原宿の竹下通りを彷彿させる熱気があった


▲食べ物屋さんが目白押しだ



▲かなり前になるが、とんびに菓子パンを取られたことがある

▲そのまま坂道をくだり


▲メディアに紹介された飲食店が軒を連ねる


▲道なりに左に進む

▲左に曲がったところ


▲ここも繁盛してる


▲大江戸温泉を横目に右に曲がり

▲お土産屋がならぶ



そのまま真っ直ぐ。とにかく坂道が多く地形が複雑だ


▲ヘアピンカーブ


▲下ると

▲左手には熱海銀座がある。どのお店も長い列ができていた

▲熱海銀座を横目に直進

▲御成橋。徳川家康が熱海を訪れたときに渡った橋だ

▲右の白い建物が熱海市役所

▲ずっと直進

▲ここらへんは昭和の面影をしっかり残している



▲少しのぼり坂になり








▲ようやくここで一度立ち止まる。左にみえるのは、伊藤園リゾート金城館

▲その右の裏手に進む


▲橋がみえるが渡らない

▲右の川沿いを歩き


▲この橋を渡る

▲橋を渡り


▲ここでストップ

▲右に向くと


▲山田湯がみえてくる


▲自宅のような建物なので、銭湯とは分かりづらい

▲小さなやしろまであった

▲駐車場も二台までなら停められる


▲到着


ここは人目を忍ぶ場所に建っており、知る人ぞ知る銭湯である。
入り口に到着すると、ちょうど店主の女性が近所の人と井戸端会議中だった。開店前になると「時間じゃないの?」と言われ、開店の準備をしてくれた。
明かりが灯り、ドアを開けてもらい、中へと入っていく。ちょうどこの時は男湯で一番乗りだった。
入り口の中へと入ると、右に受付の番台がある。番台と呼ぶべきなのか、若干通常とは異なる作り。
番台であれば脱衣場の中にあるが、こちらは入り口のところに設置され、無造作に物が置かれてある。




「いらっしゃいませ、300円です」と元気よく入浴料を教えてもらう。今のご時世で300円という安さに驚く。
1000円札を置くが、準備に忙しそうで気づかれず(勝手に300円を置いていってくれると思った様子)、見かねた女性客が店主に声を掛けてくれて、そこでお釣りの700円をもらった。
マイペースなところはあるが、感じが良くて常に笑顔で接してくれた。
ここはNHKの新日本風土記という番組で紹介されたところで、いつか行ってみたいなと思ってたところだ。
テレビ向けの顔を作る人もいるが、ここの店主は飾ることなくテレビの印象そのままだった。


受付の壁のところが靴入れの棚になってるので、そこに靴を入れる。
奥に進むと脱衣場になっており、とてもシンプルな作り。
縦長の空間で右にロッカーがあるが、扉のあるロッカーとなにもない棚が交互に配置され、幾何学模様にみえる。
左側には扇風機と長いすが置かれ、クーラーなどは勿論ない。なので、湯上がりは汗がなかなか止まらなかった。
ついでにいえばドライヤーもなかった。
窓の縁や壁全体が古い建物特有の雰囲気を醸しだし、なんともいえない侘び寂びのレトロ感が漂う。


扉を開けると、これまたシンプルな浴室で、右に浴槽がひとつのみ。
左の壁沿いにはシャワーのないカランがふたつと奥にひとつと合計で3つだけ。椅子もその数しかなかった。
そういえば受付のときに、「お湯を出してないので、ぬるかったら温めてくださいね」といったことを言われたことを思い出した。
お湯を出してないのはどういうことなのかと一瞬いぶかしがったが、おそらくお湯の蛇口をひねってもすぐにお湯がでないことなのだろうと思った。実際に最初は水しか出なかった。
左壁にあるカランは赤と青のハンドルになっており、混合栓である。
奥の壁にあるのはハンドルが一つだけでお湯しかでないが、ちょうどいい案配のお湯がでてくるので使いやすかった。
ちなみに後で気が付いたのだが、ここは入浴料のほかに洗髪代がある。追加料金は50円足らずだが、銭湯巡りをしていて初めて遭遇した。
ひと昔前の日本人は毎日髪を洗う習慣がなくて、戦後まもなくまで洗髪は月に1~2回程度だった。髪を洗うのは特別なイベントでほかの人より余計にお湯を使うので別途料金になっていた。
ところが都内の入浴料推移を見ると、昭和45年5月から洗髪代が撤廃されている。この頃から髪を洗うのは週2~3回まで増えて、みんなが毎日のように髪を洗うようになってから料金を差別化する意味がなくなったのだろう。
それから半世紀以上経ってもなお、山田湯は別料金制で変わってない。生きる伝説と呼べる銭湯である。


浴室に話を戻すと、湯船は深浴槽で三人入ればいっぱいになる広さ。熱さは42℃か43℃程度だった。
熱海にある銭湯ということで、熱海の共同源泉からお湯を引っ張ってきている。以前は自家源泉をそなえ、そこから供給していたようだ。
見た目は無色透明であるが、塩化物泉(カルシウム・ナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉)。リウマチにも効果があるとされ、徳川家のお気に入りで代々熱海のお湯を江戸まで運ばせていた。


出典:熱海市公式ホームページ引用


客層は思いのほか若い人が多いことに驚いた。最初こそ地元の人であろう初老の男性が入ってきて、湯船に入ると湯船の蛇口をさして「熱かったら水で調節してね」と親切に声を掛けてくれた。銭湯の初心者にみえたのだろう。
そのあとは二十代か三十代ぐらいの男性が三人ほど入ってきて、こういうシャワーがないところでも若い人が訪れるんだと妙に感心した。


ところで冒頭でも紹介したようにNHKの新日本風土記では「お風呂の旅」と題して日本各地のお風呂にまつわる逸話を編集した番組があった。それをたまたま見る機会があり山田湯に興味を持ったのだが、そこで紹介されていたのは今の店主が山田家に嫁いでからお子さんを生み、その直後に旦那さんが早世。舅とともにやってきたが舅も亡くなったあとは一人で切り盛りしてきたというエピソードだった。女手ひとつで50年。ここまで長く続けられたことに脱帽である。


お湯は熱海特有の保温性が高い塩化物泉ということで、湯上がりはとにかく汗が止まらず、困惑した。
冬などは湯冷めせずに夜風に吹かれると気持ちいいだろうが、夏はよけいに汗をかくために注意である。
迷路のような道をたどらないと辿りつけない場所にあり、昔のままの姿を保つ山田湯。夢の世界に現れそうな不思議な感慨を与えてくれる銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 熱海、来宮
経路 南下
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 家
壁画・眺望 チップタイル絵
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 シンプル
シャワーの出 カランのみ
浴槽の種類 温泉
サウナ なし
温度 42℃
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 感じが良い
清潔さ ふつう
貸しタオル ?(円)
備え付け なし

◆人
受付 70代の女性
客層 幅広い年齢層

【案内】

電話

0557-81-9635

住所

静岡県熱海市和田町3-9

交通アクセス

東海道本線 熱海駅よりタクシー10分

※ニフティ温泉ホームページ転載