銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

銭湯談義ー玉袋筋太郎さんと稲荷湯

2022-02-08 06:28:00 | 銭湯考





タレントの玉袋筋太郎さんが日本の文化を紹介するGetNavi Web「玉袋筋太郎の万事往来」の中で稲荷湯が紹介されていた。
西巣鴨にある稲荷湯(滝野川稲荷湯)といえば映画テルマエロマエのロケ地として有名であるが、数多くのCMにも使われるなどクリエーター達から一目置かれる老舗銭湯である。
玉袋さんもここではないがたまにご近所の銭湯には行かれるようで、話の引き出しの多さに驚いた。
銭湯にまつわる知らなかった話も沢山あり、色々と勉強になる対談だった。



稲荷湯は、大正3年(1914年)に創業。建物自体は昭和5年(1930年)に建てられたという。あともう少しで100年は経つという古い歴史を持つ。
創業者は石川県出身で、玉袋さんは銭湯経営者に新潟出身が多いと聞くらしいが、横浜歴史博物館によると富山や石川出身者が多数を占めるとあった。だいたい日本海側の雪国育ちが多いと考えれば間違いなさそうだ。


出典:東京銭湯ホームページ引用

稲荷湯は以前だと熱いお湯(43℃)か、ものすごい熱いお湯(46.5℃)しかなかったが、最近はぬるいお湯(38℃)も用意するようになった。それによって子ども連れが増えたそうである。
こうした時代にあわせた試みは銭湯文化を次世代に引き渡すうえで大切なことだろう。子どもの時に楽しかった記憶というのは大人になったときにかけがえのない宝物になるし、ふとしたキッカケで思い出す瞬間がある。

銭湯を語るうえで忘れていけないのが入れ墨問題。店主の土本さんは電話などで入れ墨があっても大丈夫かたびたび聞かれるようだ。そういう問い合わせる人はたいてい小さな入れ墨(タトゥー)なのだとか。
入れ墨があろうがなかろうが、マナーを守ってくれれば問題ないはずだ。

稲荷湯は昨今だとめずらしく木製の桶を使っている。木製だと1年でたいがいはダメになり、毎年1月2日になると変えるという。
玉袋さんは、風呂桶のカラーンというサウンドがいいんだよなと言われていて、同感だ。あの独特な響きはいかにも銭湯らしいし、不思議な郷愁をさそう。


出典:東京銭湯ホームページ引用

以前だと薪だったが、最近はガスに変えたようである。薪は手間暇が掛かって大変なのと、やはり煙突から出てくる煤が周辺の住民に嫌われる。火力は薪の方が強いが、ガスでも冬場なら1時間半ほどで沸くから問題ない。
意外だったのが、最近は銭湯巡りのブームが起きているらしくて、若い人の来客も増えたそうだ。銭湯のブログを3~4年前からやってるが、そんなブームがあるとは知らなかった。


出典:東京銭湯ホームページ引用

お湯は井戸水を使っているが、最近はマンション建設が原因で井戸水の水質が落ちてきたらしい。水が黒く濁って困るという。地下水というと綺麗な水を勝手に想像していたが、現実は濾過しなければ使えないもののようで、この話で地下水のイメージが悪くなってしまった。

玉袋さんは銭湯に入るときに、太陽の光が射す時間帯に入る時が幸せだと言っていたが、これもウンウンと頷く。
自分も午後2時ぐらいの湯気に囲まれながら明るい日差しの中で過ごす銭湯が好きだ。UNIQLO創業者の柳井正さんも似たようなことを言われていて、みんな感じることは同じなんだなぁと思った。


出典:東京銭湯ホームページ引用

玉袋さんの話で驚いたのは、昔は洗髪代という別料金があったというくだり。
今だと髪を洗うのが当たり前であるが、古い頃だと髪を洗うのが当たり前じゃなかった時(たぶん1960年代あたりまでは今ほど髪を洗わなかったはず)は追加料金が必要だったとか(女湯のみ)。
現在から考えるとありえない話だが、時代によって商習慣が違ったのは当然だろう。粉のシャンプーもあったという。
時代が変われば色々と変わるものである。


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4 コメント

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Unknown (mac68615)
2022-02-08 06:46:51
子供の頃は、髪を洗うの苦手でした。目に何か入ることが嫌だったためかと思います。床屋さんで洗ってもらう時だけは必死で耐えてました。中学生になって以降ですね。習慣になったのは、それでも家には湯船に浮かべる簡易的なシャワーしかなかったんですけどね。(笑)
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Unknown (southandnorthface)
2022-02-08 08:21:23
@mac68615 mac68615さんへ

自分も小さいときは洗髪は苦手でした!
母親に泣きながら髪を洗われた記憶があります笑
小学校低学年の時はシャンプーハットが基本でした。
いまは頭を洗うのが当たり前ですけど、日本人が頭を毎日洗うようになったのは40年前後近くの歴史しかないらしくて、しかも外国ではシャワーも一週間に一度とかとかが普通なので、現代の日本人は過剰なまでに清潔にしすぎてるのかもしれません。
とはいえ、やっぱり頭を2、3日洗わないだけでも臭ってきてしまうんですよね。
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Unknown (sun-sun)
2022-02-10 01:25:44
こんばんは。

稲荷湯さんは大好きな銭湯で、何十回も訪問してます。
女将さんいい笑顔だわ。お手伝いされてる妹さんって方はあの人だなとすぐに察しがつきました。お店の人みんな明るいんです。
リニューアル前はマジで、熱い➕とても熱いの二本立てでした。
サクッと温まるにはちょうど良かったです(かなり我慢でしたが…)。
今は語られているように、ぬるい➕ちょうどいい➕とても熱いの三本立てです。
「とても熱い」に入っている人未だに見たことないんだけど‥。私も手を入れてみて、ムリ!!!ってなってます。
映画の撮影はリニューアル前だったので、お湯をぬるくして撮影したのかなーと推察してます。

玉ちゃんの対談、ためになりました。
小さい頃の銭湯の思い出というのも面白いですね。
私は銭湯通いは上京してからで、ヘビーな銭湯巡りをするようになって四半世紀です。
若い人が銭湯巡りをするようになったのは喜ばしいですね。
やっと時代が私たち(たちってユーユーさんもね)に追いつきましたね!(言い過ぎ?)
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Unknown (southandnorthface)
2022-02-10 06:35:01
sun-sunさんへ

おはようございます。

おぉ、稲荷湯はそんなに来られていたんですね。
自分も一度だけおじゃましたことがありましたが、店主の女性(本人か妹さんだったかどうかは定かではありません)がすごくいい対応をしてくれたのは記憶しています。
銭湯によってはサービス業なのにこんな対応でいいのかなぁ?と思う人もいれば、稲荷湯のように人情味あふれる人もいて、人間性が正直に出てくる面白い世界だと思います。

sun-sunさんがマジで熱いというぐらいなら相当熱いやつですね。ほんとたまに…客を殺す気なのかここは…というぐらい熱いところありますが、稲荷湯がまさにそうだと思います笑
そうそう、撮影の時は絶対にぬるいでしょうね。そのままだったら絶対のぼせて倒れてると思います。

四半世紀も色々な銭湯を通われていたなら、まさに銭湯業界の貢献者ですね。どうりで造詣が深いと思いました。
若い人が銭湯文化を継承してくれないと衰退するだけなので、昨今のブーム(どれほどの規模なのかわかりませんが)、これからもずっと続いてくれるといいいなと思います。
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