しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

再びカフカの霧―村木さんの裁判

2010-04-15 18:36:00 | 報道
 エリート役人のひとり、厚生労働省の元局長、村木厚子さんが、国民を裏切る悪官僚のように言いふらされて、罪人扱いされてきました。
 けれど、どうやら検察のでっちあげだったけはいです。
 裁判が進むにつれて、様子が変わってきたのです。
 これも、カフカの悪夢、カフカの霧だったようなのです。

 相当いいかげんな自称・障害者団体の登場が事件の発端です。
 その団体を正しい団体のように見せるために、村木さんが部下に必要書類を作らせて、自分も判をついたというのが検察の言い分でした。
 そうして特別な利益を団体が受けられるようにしたのです。
 郵便料金の割引を利用できるようにしたのでした。
 しかも、民主党の国会議員が、団体に便宜をはかってやってほしい、と村木さんに働きかけて、村木さんがそれに従ったというのです。

 村木さんの逮捕のときには、新聞もすっかり検察の言い分に乗せられて、もう犯罪者扱いでした。
 新聞やテレビやラジオを通してしかニュースを得られないぼくたちも、どうしてもその空気に乗せられてしまいます。
 年金制度の無茶苦茶な運営や天下り官僚の横行など、役人たちのひどい実態が次々あきらかになっていた時でもあって、ぼくもてっきり村木さんのことを腐敗官僚のひとりと思い込んでしまいました(悪いことをしました)。

 けれど、裁判が進むにつれて、村木さんの「罪」を検察にしゃべっていた村木さんの部下たちが、実はあれはウソだったと白状して、どうも裏に検察のねつ造のあったことが濃厚になってきたのです。

 最終的に村木さんの潔白が決まれば、新聞もテレビもラジオも、そして国民も、検察のたくらみにみごとにあっけなく乗せられて、ウソに染まっていたということになります。

 権力を持つひとたちがその気になって力をふるえば、身におぼえのない人でも罪人にされ、国民もすっかりそれを信じてしまう。
 それも、こんなに簡単に、です。
 社会のブキミな裏の構造が垣間見えるようなケースです。

 間に立つ新聞記者がもっとしっかりしてくれるといいのですが、日本の新聞記者の力量ではそれは無理なことでしょう(テレビは、期待するのさえ馬鹿馬鹿しいくらいです)。

 カフカの闇は今も生きているのです。

楽しさが落ちたラジオ深夜便

2009-05-08 01:29:00 | 報道
 春になって、ラジオ番組にもいろいろと新しい企画が加わりましたけど、NHKの深夜便が面白くなくなりましたね。
 やたらとインタビューが多くなって。
 それも真夜中のニュースをはさんでダラダラと長時間。
 その道で成功を収めているひとたちが、なんか、こう、ごくふつうのことに勿体(もったい)をつけてしゃべるんです。

 眠れれば、それが最高に幸福なんだけど、それがなかなかできんもんですから、深夜便を聴かせてもらって、最高の次の幸福を味わわせていただいていたんですけど、そこへ、なんか消化不良を起こしそうね重い(ヘビイ!)企画が登場して。
 テメエ、眠ってなどいないで、これを聴け!
 聞かなきゃあ、善良なコクミンとはいえないぞ、って感じ。
 
 けれど、肩書きがあればつまらんことをしゃべっても値打ちがあってありがたいんだ、とそういうテツガクで作られている番組は、昼間にいろんな局ではんらんしてますしね。

 まあ、気にいらなけりゃ、聴かなきゃいいんで。
 FMのジェット・ストリームにまた戻ればいいだけのことで。
 そうカッカすることではないんですけど(ソウソウ、オサエテ、オサエテ、今夜も四時まで眠れなくなる!)。

 ジェット・ストリームもDJが替わって、ちょっと味が落ちましたが、それは、マア、許容範囲のことですし。

 それに、まあ、そういうヘビイな番組こそ公共放送の企画としてスバラシイ、とそのようにおっしゃるNHK党のかたもいらっしゃることでしょうし。

幼稚な女性アナ―給付金うれしい

2008-11-11 00:30:44 | 報道
 どこのテレビ局なのか、夜のニュース番組で、麻生内閣のバラマキ給付金を「もらえるのはうれしい」と女性アナウンサーが言ってましたね。
 うれしいけれど釈然(しゃくぜん)としない、といった文脈でしたが、それにしても「うれしい」というのはねえ。
 小学生が親からお年玉をもらうんじゃないんですから。

 わかりきったことですが、なにも麻生さんのポケットマネーじゃないんですよ。
 ぼくらの税金の中からそのごく一部を還付(かんぷ)しようってだけの話ですからねえ。

 どこのテレビ局のアナウンサーかは、まあ、わかってますけど、ちゃんと確認するのを怠りましたから、あいまいなままにしておきます。
 女性アナウンサーをジャーナリストとは言えないにしても、ニュース番組に登場するかぎりは、せめて小学生以上の見識は示していただかないとねえ。

 政治にとっていちばん重要なことは、税金の再分配に納得のいく秩序をつくることです。
 全国民が国民らしい生活を送れるように、税金を適正に再配分することです。
 麻生さんにはそれをする展望も決断力も実行力もないのです。
 それで、もっとも原始的なバラマキに出たのです。
 これなら大衆にもウケて、総選挙の票になる、という読みです。
 
 政治なんて名にあたいしない実に下品な方法です、
 衆愚政治(しゅうぐせいじ)のナレの果てです。
 自民党の政治家は人間としての誇りさえ捨てようとしています。
 日本人をモノモライ集団におとしめても平気です。
 古代ローマの末期にも似たような愚民政策で国が衰えていきました。

ホントのこと言って? 懲戒処分―NHK

2008-10-10 10:08:02 | 報道
 NHKが相談窓口「視聴者コールセンター」の担当職員を懲戒処分にしたそうです。
 9月10日の自民党総裁選のニュースを7時の報道ワクを広げて放送したところ、視聴者からどうしてわざわざ時間幅をとっのか、と問い合わせがあって、その問いに対してその職員氏は「自民党をPRするためです」と答えたというのです。
 どうやら、思わず正直に口をすべらせてしまったらしいんですね。
 それがNHKの上層部の怒りを買って、懲戒処分にされたわけです。

 でも、ホントのことをもらして叱(しか)られたとすれば、ちょっと気の毒じゃありません?

道化を演じる新聞――ガソリン税

2008-04-07 22:47:10 | 報道
 ガソリン税を廃止すると、国中が混乱におちいってしまう。
 自民党政府はなりふりかまわずそう言い立てて、福田首相なんて、あなた、まだなにも起こっていないしだれも謝ってくれなんて求めてないのに、「混乱をとめられなくて、首相として国民に謝罪します」とまで言ったんですよ。
 リア王の道化ならソクザにこう言ったでしょうね。
 「オッサン、あんた、道化よりも道化だね」

 でも、まあ、福田さんが道化を演じるのは、福田さんらしいミエミエのことだからまだ罪が浅いとして、自分も道化を演じながらいぜんとして王様のような顔でおさまってるのがいますねえ。
 このヤカラはいつもオレほどエラいものはないとガンコに夢想を続けている。
 日本の新聞ですよ。
 自民党政府のシリ馬に乗って、混乱する、混乱する、と大合唱をしておいて。
 オレたちこそシンジツを見抜いている、って顔でねえ。

 どこで混乱が起こりました?
 そりゃあ、ガソリンスタンドは大変だったでしょうよ。
 しかしあれを混乱というためには、国民のせめて半分がガソリンスタンドの従業員か従業員の家族でなきゃあ、説得力がないでしょう。
 従事者が5000万人もいたら、すなおに大パニックだと認めますよ。
 でも、ガソリンスタンドでも先の見える経営者は3月中の在庫をおさえて、これをチャンスに大もうけをしたというじゃないですか。

 混乱どころか国民は大喜びをしているのが実態でしょう。
 首相は謝りっぱなし(笑)、新聞は言いっぱなし(怒)。
 両方とも賢いガソリンスタンドに比べたら、足元にもおよびませんね。

 が、それはともかく、国民ひとりひとりが自分の意見をちゃんと持たなあかん時代になりましたなあ。
 新聞もこんなにいいカゲンなんですから。 

あいまいな政治、あいまいな言論――チベット問題

2008-04-03 22:44:51 | 報道
 チベットの人々が中国の政府に反抗して、暴動を起こしています。
 それに対して日本の政治家のほとんどは、あいまいな態度しか示していません。
 福田首相もこんなふうな発言です。
 「双方が受け入れられる形で関係者の対話が行われることを歓迎する」


 これでは「なにも言ってないことに等しい」とけさの朝日新聞が社説で批判しました。
 その通りだと思います。
 おそらく言っている首相ご本人でさえ、こんな発言が何か世界に影響を与えるなどとは思ってもいないでしょう。
 ですが、それを批判した朝日新聞も、じゃあ首相にどのような発言を期待するのか、となると、その点があいまいです。
 あいまいなことをあいまいに批判しているという印象はいなめません。

 しかし日本の新聞の論調にはしょっちゅうこういうあいまいさが出てきます。
 最後のところはだれも責任を取らなくていいような形で、つまり中心部は空白にしたままで、周辺部で争う格好をするだけです。

 いい市民であること、それはすばらしい民族の一員であるとともに、すばらしい世界民の一員でもあることではないでしょうか。
 21世紀の理想はそういう民族となりそういう世界民となることではないでしょうか。
 それは民族の主体性を尊重し、同時に世界民としての自覚を深めることでしょう。

 だとすれば、チベット人の主体性を抑圧する中国政府のやり方は時代に逆行するものです。
 日本の政府も日本の新聞もそういう普遍的な考えを世界に明快に示してこそ、そういうことをひとつひとつ地道に重ねていってこそ、世界の尊敬も得られるのではないでしょうか。
 政治と言論にはなによりもまず人間の尊厳に基礎を置いた明快な論理が必要です。
 チベット問題は日本の政治や言論の資質が問われる試金石だともいえるでしょう。

なんでも秘密の自衛隊――中国潜水艦火災

2008-03-27 20:38:13 | 報道
 中国海軍の潜水艦が南シナ海の海中で火災を起こして、航行できなくなったことがありました。
 2005年の5月のことです。
 それをぼくらは読売新聞の報道で知りました。
 読売新聞の特ダネでした。
 自衛隊の一等空佐が読売の記者に情報を流したのですが、むろん新聞記者はふだんからいろんなところに情報網を広げておいて、このように特ダネを得るのです。
 これは記者の手柄ですし、同時に、一等空佐の勇気と協力があってのことです。

 ところが自衛隊の警務隊は、これが防衛秘密をもらした罪にあたるとして、一等空佐を検察庁に突き出した(書類送検)のです。
 防衛秘密漏えい罪を破ったことになるというのですが、これは2001年に新設された新しい法規で、それが適用されるのは今回が初めてです。

 しかし、それにしても、中国の潜水艦の事故がなんで日本の自衛隊の防衛秘密になるんでしょうね。
 しかもそれが懲罰を伴うほどの重大な秘密事項だというのです。
 
 ここには、自衛隊のことはなにも国民に知らせるな、という独善的な秘密主義があるように見えません?
 自衛隊の組織にとって、国民はなんでもゴチャゴチャじゃまをする、うるさい存在だ、という見方です。

 自衛隊はなによりも自分たちの組織を守ることが重要で、組織を守るためなら国民の知る権利など無視してしまえ、とそんなゴーマンな態度がすけ見えてきますねえ。
 漁民2人を殺してしまったイージス艦の衝突事件でもそうでしたけど。
 

 

カネで荒廃が進まないか―朝日新聞のスクープから

2008-01-26 19:18:36 | 報道
 このまえは、関西電力のムセッソウな原発PR広告を朝日新聞(関西地域)がドッカーンと全面掲載したことについて書きましたが、今日は、まあ、そんな広告局のバク走に対する、編集局のイジとでもいったらいいでしょうか、記者ダマシイを感じさせるすばらしいスクープについて書きましょう。
 
 今日の朝刊1面のカタ(準トップ)の記事です。
 敦賀市(福井県)の市役所が、敦賀と敦賀の近辺で発電所を運転している4つの電力事業者(会社)から120億円もの寄付を受けていたことがわかったというのです。
 1969年から2006年までの寄付金の流れを書きしるした市の文書を朝日新聞が手に入れて、とくに電力事業者から出された寄付金を集計してみたところ、こんなとほうもない金額になったということです。

 リストにあげられた電力事業者は次の四つです。
 1、日本原子力発電
 2、北陸電力
 3、動力炉・核燃料開発事業団
 4、関西電力(ただし関電は敦賀市の隣の美浜町で原発を運転)

 しかも驚かされるのは、敦賀市長の河瀬一冶さんの、なんともユルいコメントです。
 こんなふうにお話になったと書かれています。
 「原子力政策に協力している自治体として、寄付はごく自然。福祉が充実し、市民に還元されている。今後も電力事業者にお願いしたいと思っている。安全に対しては厳しくチェックしている」と。

 市がモウカルんだからいいじゃないか、という論法ですが、なにか大事なものが欠けているような気がしません?
 地球環境や生命や精神に対する政治家の基本的な倫理性。そういうものはもう不問のままでいいんでしょうか。この危機の時代に。
 それに、こんな多額の金をもらっていて、安全対策に厳しいことが言えるでしょうか。

 市役所の中心部ですでに精神的な炉心溶融が起こっているんじゃありません?

ぼくらは脳ナシか…朝日新聞の関電広告

2008-01-19 20:18:25 | 報道
 けさの朝日新聞、見ました?
 大阪本社の発行エリア(関西地域)ですけどね。
 16面に全面広告があって、星野仙一さんのあのさわやかな顔が、きわだって大きく載ってたでしょう。
 ぼくは星野さんこそ今の日本で一番いい男だと思ってますからね、そりゃあ、クギづけになりましたよ。

 でも率直に言わせてもらうと、ああいう広告に星野さんは出てもらいたくないですね。
 スポンサーは関西電力で、まあ、響きのいい言葉を並べてはいるんですが、要するに、原子力発電のPRなんですね。
 原発は二酸化炭素(CO2)を出さない、だから地球温暖化の防止に役立ち、関電は環境問題にも貢献している、というんです。

 おかしな論法だと思いません?
 二酸化炭素を抑えたところで、原発事故の不安が減るわけではないですし、怖い廃棄物が消えるわけでもないでしょう。
 地球環境にダメッジを与えるという点では、二酸化炭素も、原発から漏れる放射能も、たまるばかりの廃棄物も、共通の危険要因なわけですね。

 あれかこれか、の問題じゃないですよ。
 いぜんとして、しつこく、あれもこれも、なんですね。

 温暖化を強調して、そのウラに原発の事故の不安も廃棄物の恐怖もマルゴト隠してしまおう、っていうこのようなやりかたは、読者をよほどの馬鹿と見ていなきゃアなかなかできないことでしょう。
 ぼくらを脳ミソのない何かだと思っている。
 でなきゃあ、こんな全ページ広告でここまでイバれるわけがない。
 
 このデカい広告料も、なにがしかはぼくらの払う電気料金から出ているのか、とそう思うと、なんだか、自分たちの金で、自分たちのマヌケな芝居を制作して、それをまたマヌケな顔で見ているようなアンバイで…。

 でも、それで星野さんが嫌いになるわけでもないですがね。
 星野さんがどこに出ようが、突き詰めればそれは星野さんの自由ですし、広告にどんなコピーを載せようが、残念ながらそれはスポンサーの自由ですし。
 ぼくがここでこのようにホザくのが、これまた自由であるのと同じように。

 星野さんにはオリンピックで優勝してもらって、やがてまたタイガースを現場で指揮してもらえないか、と見果てぬ夢を夢見ています。
 岡田監督で優勝するのが無理なことは、もうわかりきったことですし。

サンケイスポーツに敬意

2007-05-08 18:31:14 | 報道
 きのうはサンケイスポーツのタイガース報道にちょっと疑問を書きましたが、きょうはエールを送りますよ。
 けさのトップ記事は見事でした。
 スクープといってもいい。
 岡田監督の休養(事実上の解任)はあるかと、宮崎オーナーに直撃インタビューをしているんです。
 この微妙な時期にこういう記事は、書くのにもとても勇気が要りますし、紙面で大きく扱うのにも決断が必要です。
 宮崎オーナーは当然、そんなことはない、と答えていますが、このさいオーナーのそんな言い方はわかりきったことで、どうだっていいんです。
 すばらしいのは、岡田休養というタブーに一つのスポーツ紙がこの時期に率先して挑んだことです。
 率直に言って多くのファンが岡田監督では今年のタイガースはだめだろうともうそう思い始めてますからね。
 ファンの心を汲んでよく書いてくれました。
 記者もデスクも編集局長も立派です。