僕はコーヒーのド素人である。が、格安でコーヒーミル(手動豆挽き機)を手に入れたのをカワキリに、ドリッパーだの注ぎ口の細いヤカンだのを購入し、最近、三日に一ぺんぐらい豆から挽いてコーヒーをいれるようになった。
このコーヒーがマズい。
ヘタクソなのである。
豆は煎ったものを購入し、水もズボラをして浄水フィルターを通しただけの水道水だが、それでも何g豆を使うか、それをどのぐらい細く、あるいは荒く挽くか、蒸らしの時間は、お湯の注ぎ方は、等々、考えるべきことは思いのほか多い。
プロの解説によると、理想はコーヒー本来の甘みだけを抽出することなんだそうな。ところが僕のコーヒーは特殊製法で苦み成分ばかりを抽出しました、という感じで、しょうがないので大量のミルクと砂糖で割って飲む。
サイトなんかには、けっこう簡単においしくいれられるように書いてあるんだけど。
センスないのかな。
不器用だしな。
しかし先日、嬉しいことに、これまでになくおいしくいれることができた。確かに、湯を注いだときの豆のふくれ方がちがった。コーヒーの色もコーヒーっぽかった。豆はグァテマラ。なるほど、「強い酸味」ってのはこのことだね。「豊かな香り」、わかるよ、いいね、リッチな感じ。いけるんじゃない僕? コーヒー・マイスター。ふふん。
と、そんなある日のこと、実家に帰ると母が、コーヒーコーヒーとうわごとのように言っている息子のために、コーヒー特集の載った「奥さま手帳 10月号」(これは神戸新聞の購読者に配布される月刊の冊子である)を捨てずにとっておいてくれていて、もらった。
むさぼるように読む僕。特集には、兵庫県下の評判の高いコーヒー店も何軒か紹介されていた。
おいしいコーヒーをいれるためには、やはりおいしいコーヒーを飲まねば。
そう思い立ち、今日、「奥さま手帳」の中で一番大きく掲載されていたお店「グリーンズコーヒーロースター」に行った。ここのご店主は「'01・'04年に、サイフォン部門でバリスタ日本一を受賞」しているのだそう。バリスタって何かわからないけど、日本一なんだからすごいにちがいない。場所は元町の高架下商店街、「モトコー2番街」。ドアをくぐり2階の喫茶室に上がると、ウッディーで洒落た室内に座席の数はそれほど多くなく、広々とした感じ。おしゃれ空間に少々引け目を感じながら小汚いリュックをおろし、イスに腰かける。ウェイトレスのお姉さんが注文を取りにくる。
よし、ここはやはり「奥さま手帳」におすすめの品として紹介されていた「グリーンズブレンド」を。
あと、何か食べよ。安いのは、これか。ワッフルを1枚。
店内を見回すと、北側の壁に大きな窓。その向こうはテラスになっていて、今ごろの季節、そこでコーヒー飲むのも気持ちよさそうだなあ。
てなこと考えてるうちに、来ましたよ。グリーンズブレンド。白いカップに、けっこうたっぷり入ってますね。それじゃ、いただきます。
ズズ…。
あ、おいしい。すごく飲みやすい。コクコクいけるけど、薄いなんてことはぜんぜんなくて。はー、なんか透明な感じ。それに自分でいれたのより、しっかり熱い。熱いのがおいしい。やっぱカップをちゃんとあっためて、ドリップだったらお湯の温度とか抽出の時間とかいろいろ考えなくちゃいけないなー。
はい、ワッフルですね、どうもどうも。…えっ! いいんですか、これ250円ですよね、1枚っても思ってたより大きいし(マネケンのみたいの想像してた)、脇には生クリームとイチゴのスライス、ミントの葉っぱとベリーの実。この黄色いのはバターですよね、ほんでもってたっぷりのジェラートアイス! いいんですか、ほんとにいいんですか…(伝票チラッ)やっぱり250円! うっひょっひょっ、リッチですねー、いやー、リッチですねー。メープルシロップをかけていただくんですか、はい、おいしーです、おなかも心も幸せです。
よし、それじゃここで、もう一杯コーヒーを。
…対決だ。
ご店主、覚悟しな。オレのコーヒーと勝負だ。
お姉さん、グァテマラを!
店内に静かに流れるジャズが、いやが上にも勝負の緊張を高める。スターバックスとかのって、これに比べたらずいぶんボリュームが大きい。あんまり音楽が大きいとコーヒーの味もわかんなくなりそうだし、これぐらいがちょうどいいよ。
てなこと考えてるうちに、来ましたよ、グァテマラ。対決を前に、お盆を運ぶお姉さんの手も心なしかふるえて…なかったが、とにかく目の前にカタリと置かれて。それじゃ、いよいよ、いただきます。
ズズズ…。
おほほほほ。
いや、何ですか、僕がこないだいれたグァテマラ、あれがおいしかった?
おほほほほ。
オイ、先日の僕。
そう、オマエだよオマエ。
井の中のカワズってのは、オマエのことを言うんだよ! バリスタ・パーンチ! ぐはー。
…コーヒー本来の甘みってのがね、わかりましたよ。グァテマラの強い酸味、でもね、これに比べれば僕のグァテマラの酸味はエグいです。こちらのマスターのは、しつこいなんてことはまったくありません。一方で、深いコクがあります。でもすこしも苦く感じません。甘く香るんです。砂糖を入れちゃもったいないです。この香りの芳醇さ。はー。うっとりします。
こちらのコーヒー、一言で言えば、「上質」という感じ。二杯いただいて、カフェインという成分にも質のちがいがあるのかと考えさせられるほど、よそのコーヒーと比べてあとの感じがすっきり。百聞は一飲にしかず。機会があればぜひ。グリーンズブレンド400円、グァテマラ500円。安いよね。
レジを打ったのはご店主。グァテマラがほんとにおいしかったですと伝えると、あ、そうですか、また寄ってください、と。はい、また来ます。
だがしかし! 「奥さま手帳」の次のページ。阪急御影駅から南へすぐ、「御影ダンケ」。「バターブレンドコーヒー」ってどんなんだろうー。行かねばなるまい、行かねばなるまい。
自宅のコーヒーミル、「ミルミルさん」。
このコーヒーがマズい。
ヘタクソなのである。
豆は煎ったものを購入し、水もズボラをして浄水フィルターを通しただけの水道水だが、それでも何g豆を使うか、それをどのぐらい細く、あるいは荒く挽くか、蒸らしの時間は、お湯の注ぎ方は、等々、考えるべきことは思いのほか多い。
プロの解説によると、理想はコーヒー本来の甘みだけを抽出することなんだそうな。ところが僕のコーヒーは特殊製法で苦み成分ばかりを抽出しました、という感じで、しょうがないので大量のミルクと砂糖で割って飲む。
サイトなんかには、けっこう簡単においしくいれられるように書いてあるんだけど。
センスないのかな。
不器用だしな。
しかし先日、嬉しいことに、これまでになくおいしくいれることができた。確かに、湯を注いだときの豆のふくれ方がちがった。コーヒーの色もコーヒーっぽかった。豆はグァテマラ。なるほど、「強い酸味」ってのはこのことだね。「豊かな香り」、わかるよ、いいね、リッチな感じ。いけるんじゃない僕? コーヒー・マイスター。ふふん。
と、そんなある日のこと、実家に帰ると母が、コーヒーコーヒーとうわごとのように言っている息子のために、コーヒー特集の載った「奥さま手帳 10月号」(これは神戸新聞の購読者に配布される月刊の冊子である)を捨てずにとっておいてくれていて、もらった。
むさぼるように読む僕。特集には、兵庫県下の評判の高いコーヒー店も何軒か紹介されていた。
おいしいコーヒーをいれるためには、やはりおいしいコーヒーを飲まねば。
そう思い立ち、今日、「奥さま手帳」の中で一番大きく掲載されていたお店「グリーンズコーヒーロースター」に行った。ここのご店主は「'01・'04年に、サイフォン部門でバリスタ日本一を受賞」しているのだそう。バリスタって何かわからないけど、日本一なんだからすごいにちがいない。場所は元町の高架下商店街、「モトコー2番街」。ドアをくぐり2階の喫茶室に上がると、ウッディーで洒落た室内に座席の数はそれほど多くなく、広々とした感じ。おしゃれ空間に少々引け目を感じながら小汚いリュックをおろし、イスに腰かける。ウェイトレスのお姉さんが注文を取りにくる。
よし、ここはやはり「奥さま手帳」におすすめの品として紹介されていた「グリーンズブレンド」を。
あと、何か食べよ。安いのは、これか。ワッフルを1枚。
店内を見回すと、北側の壁に大きな窓。その向こうはテラスになっていて、今ごろの季節、そこでコーヒー飲むのも気持ちよさそうだなあ。
てなこと考えてるうちに、来ましたよ。グリーンズブレンド。白いカップに、けっこうたっぷり入ってますね。それじゃ、いただきます。
ズズ…。
あ、おいしい。すごく飲みやすい。コクコクいけるけど、薄いなんてことはぜんぜんなくて。はー、なんか透明な感じ。それに自分でいれたのより、しっかり熱い。熱いのがおいしい。やっぱカップをちゃんとあっためて、ドリップだったらお湯の温度とか抽出の時間とかいろいろ考えなくちゃいけないなー。
はい、ワッフルですね、どうもどうも。…えっ! いいんですか、これ250円ですよね、1枚っても思ってたより大きいし(マネケンのみたいの想像してた)、脇には生クリームとイチゴのスライス、ミントの葉っぱとベリーの実。この黄色いのはバターですよね、ほんでもってたっぷりのジェラートアイス! いいんですか、ほんとにいいんですか…(伝票チラッ)やっぱり250円! うっひょっひょっ、リッチですねー、いやー、リッチですねー。メープルシロップをかけていただくんですか、はい、おいしーです、おなかも心も幸せです。
よし、それじゃここで、もう一杯コーヒーを。
…対決だ。
ご店主、覚悟しな。オレのコーヒーと勝負だ。
お姉さん、グァテマラを!
店内に静かに流れるジャズが、いやが上にも勝負の緊張を高める。スターバックスとかのって、これに比べたらずいぶんボリュームが大きい。あんまり音楽が大きいとコーヒーの味もわかんなくなりそうだし、これぐらいがちょうどいいよ。
てなこと考えてるうちに、来ましたよ、グァテマラ。対決を前に、お盆を運ぶお姉さんの手も心なしかふるえて…なかったが、とにかく目の前にカタリと置かれて。それじゃ、いよいよ、いただきます。
ズズズ…。
おほほほほ。
いや、何ですか、僕がこないだいれたグァテマラ、あれがおいしかった?
おほほほほ。
オイ、先日の僕。
そう、オマエだよオマエ。
井の中のカワズってのは、オマエのことを言うんだよ! バリスタ・パーンチ! ぐはー。
…コーヒー本来の甘みってのがね、わかりましたよ。グァテマラの強い酸味、でもね、これに比べれば僕のグァテマラの酸味はエグいです。こちらのマスターのは、しつこいなんてことはまったくありません。一方で、深いコクがあります。でもすこしも苦く感じません。甘く香るんです。砂糖を入れちゃもったいないです。この香りの芳醇さ。はー。うっとりします。
こちらのコーヒー、一言で言えば、「上質」という感じ。二杯いただいて、カフェインという成分にも質のちがいがあるのかと考えさせられるほど、よそのコーヒーと比べてあとの感じがすっきり。百聞は一飲にしかず。機会があればぜひ。グリーンズブレンド400円、グァテマラ500円。安いよね。
レジを打ったのはご店主。グァテマラがほんとにおいしかったですと伝えると、あ、そうですか、また寄ってください、と。はい、また来ます。
だがしかし! 「奥さま手帳」の次のページ。阪急御影駅から南へすぐ、「御影ダンケ」。「バターブレンドコーヒー」ってどんなんだろうー。行かねばなるまい、行かねばなるまい。
自宅のコーヒーミル、「ミルミルさん」。