しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

ラ・ビッシュ・アンサンブル/2月26日(月)伊丹アイフォニックホール

2007-02-27 04:24:52 | 音楽
久しぶりに理屈抜きに楽しめた!!
そんな音楽会だった。
演奏者全てが室内楽が好き、音楽が好きといった
プロには珍しい?ピュアな気持ちが
とても伝わってくる近年稀な音楽会だった。

ラ・ビッシュ・アンサンブルは
京都市交響楽団(京響)と
大阪シンフォニカー交響楽団団員で
構成されたのオクテット(八重奏団)。
1stウ゛ァイオリン,2ndウ゛ァイオリン、ウ゛ィオラ、チェロ、
コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルンの編成。

今日の音楽会は『「対」の響奏』と題して、
ベートーウ゛ェンと同時代の作曲家・ウ゛ィットと
現代作曲家・ティシュハウザーの
八重奏曲(日本初演)の「対」、
アイネムの管楽器の三重奏と
コダーイの弦楽器の三重奏の「対」という趣向。
このコンセプトは平易だが
とても多様な室内楽の宇宙を楽しむことが出来た。

メンバーは比較的若い演奏家が中心だが、
この日の最も素晴らしい演奏家はファゴットの仙崎和男。
唯一のベテランで2006年3月まで
京響首席奏者を務めており、
現在も後進の指導に当たっている。
仙崎の素晴らしさの一点目は
ソロの時のエッジの効いた鋭敏な音色と
伴奏に回った時の周囲に溶け込む音色。
またそのソロの音色やフレージングが極めて多彩。
ウ゛ィットにもアイネムにも多数のソロがあったが
(特にアイネムの第二楽章の冒頭は無伴奏で1分近い)、
ベテランらしさと一流演奏家らしさの
両方が備わった存在感ある演奏だった。

他の演奏家もよい。
1stウ゛ァイオリンの田村安祐美
(大阪シンフォニカー交響楽団コンサートミストレス)は
全体をよく統率していたし、
他の演奏家も自発性と合致性を
合わせ持った演奏を展開していた。

皆オーケストラ所属のため、
なかなかこうした音楽会を続けるのは大変だろうが
更なる期待を寄せたい。

【曲目】
○フリードリッヒ・ヴィット
 七重奏曲ヘ長調
(※七重奏と書いてあるがこれはチェロとコントラバスが
同じ声部を担当するため。実際は8人で演奏される)
○ゴットフリート・フォン・アイネム
 ねずみとビーバーと熊のセレナーデ作品84
 (クラリネット・ファゴット・ホルン)
○ゾルターン・コダーイ
 2つのヴァイオリンとヴィオラの為のセレナーデ作品12
 (ヴァイオリン2台・ヴィオラ)
○フランツ・ティッシュハウザー
 八重奏曲(1953)〈日本初演〉

【メンバー】
ヴァイオリン:田村安祐美
ヴァイオリン:片山千津子
ヴィオラ:高村明代
チェロ:渡辺正和
コントラバス:神吉正
クラリネット:鈴木祐子
ファゴット:仙崎和男
ホルン:小椋順二



オーパス・ワン/大阪倶楽部(淀屋橋)

2007-02-24 01:45:05 | 音楽
武満徹の音楽を端的に評して
「タケミツ・トーン」という言葉が浸透しているが、
この音楽会では「ウ゛ィラ=ロボス・トーン」が
発光するように聴かれた。
ウ゛ァイオリン・大谷玲子、ウ゛ィオラ・安藤裕子、
チェロ・林裕からなるトリオ「オーパス・ワン」は
ウ゛ィラ=ロボス、ドホナーニ、シューベルトの
いずれも異なる色合いのプログラミング。

特にウ゛ィラ=ロボスとドホナーニが出色。
ウ゛ィラ=ロボス「弦楽三重奏曲」は不思議な楽曲。
1945年作だが目立つ特殊奏法も完全無調でもない。
しかし独特な和声進行、美しくも不可思議でもある旋律、
独創的なオーケストレーションと枚挙にいとまがない。
まず楽曲に引き込まれたと同時に
極私的だが「ファン」になってしまった。
オーパス・ワンもウ゛ィラ=ロボスが一番しっくりときた熱演。

ドホナーニはバルトーク・コダーイと同時期の作曲家。
ピアニスト、指揮者としても活躍したという。
現代指揮者界の巨匠・
クリストフ・フォン・ドホナーニは孫になる。
バルトークらと時代を共にしたが
その作風はロマン主義風でブラームスなども思わせる。
しかし時代錯誤な訳ではなく綿密な書法、
そして意図して使っている訳ではないだろうが
やはりハンガリーの薫りなのだ。

ハンガリーのプスタ(草原)の風にのった草の匂い、
小麦畑を抜けるように走る騎馬たちの疾風が
肌を撫でる感触。
会場が草原になった瞬間がそこには確かにあった。
オーパス・ワンの演奏もロマン主義風とハンガリー風を
バランスよくかもしだしていた。

大谷の力のこもったソロ、
安藤のウ゛ィラ=ロボスでの印象的なソロもよかったが、
その根底にある林の支え役的でもあり、
繊細なソリスティックな演奏は特筆に値する。







クラウス・ペーター・フロール指揮/大阪フィル第405回定期

2007-02-23 00:26:29 | 音楽
クラウス・ペーター・フロールのチャイコフスキーは
やはりロシアオケのそれとは明らかに色合いが異なった。
パワフルかつ優雅というよりも
地鳴りを起こそうとする荘厳さと
決して均整を崩さない旋律。

グローバルなこの時世、
マエストロがドイツ人だからという
因果論を語るのは時代錯誤かも知れない。

しかしやはり「血」はあるのだろうか?
やはりマエストロのドイツ人の「血」が
このような演奏を産むのだろうか?

私はそもそも「正統ドイツ派」だの
「フランス人のエスプリ」だの言った
うたい文句は好きではない。
民族より個人の音楽性こそが
音楽性において重要だと考えるからだ。
でないと日本人は永遠に西洋音楽なんてできやしない。
でもやはりマエストロのドイツ人としての
「血」として以外この演奏は解釈出来ない。
大フィルも精一杯応えていたが
地鳴りまでは行かず、強震程度か。
モーツァルトは昨年特に40番は散々聴いたが近年で一番。
マエストロの解釈は短調ほか調性を強く意識した解釈で
堅固な音響のもとの調性の変化がよく伝わった。

(曲目)
モーツァルト:交響曲第40番
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
※音楽監督大植英次が怪我で降板のための代演。
 プログラムもマーラー「交響曲第9番」から変更





貞松・浜田バレエ団「白鳥の湖」2/12明石市立市民会館

2007-02-23 00:17:31 | 舞踊
「バレエ・ブラン(白の場面)」が
こんなに煌々しく清々しく劇場を突出して
まるで明石の街全体にまで拡がっている
かのような舞台を初めて観た。
第二幕と第四幕である。

幻想的という形容は外れではないが
もっと深遠で背筋を凍らすかのごとくあるシーンだ。
スモークと照明がまず絶妙である。

更に圧巻はその中にたたずむ白鳥たちである。
全てが「白」なのにその上を漂漠する白鳥たち。
特に第二幕のコール・ド・バレエは称讚。
決して機械的に一糸乱れぬ踊りなだけではない。
一定のアンサンブルを保ちつつ
個々の白鳥それぞれに性格があるかのよ
うな踊り。生き生きとした息吹が聞こえるようである。
しかし白鳥たちはどこか切ない。
サン=サーンスの「瀕死の白鳥」を
想起するのは私だけだろうか?

主演のオデット・正木志保と貞松正一郎は堅実な踊り。
脇役で特筆すべきは
第三幕のパ・ド・カトルにおける上村未香。
コケティッシュで派手ではないが
躍動感のある踊りには感銘を受けた。




ねこ新聞

2007-02-17 23:22:13 | 猫の町
 「ねこ新聞」という月刊の新聞があるのをご存じですか。
 決して、ねこだまし、ではないんですよ。
 編集長は神戸生まれの原口緑郎さんで、もちろんねこ大好きニンゲン。
 今年の1月号ですでに通巻83号にもなるんです。

 1月号にも名だたるホモ・ニャピエンスたちが身の回りのニャンちゃんたちの動静を伝えていますが、ちょっと悲しい報告が重なりました。
 古川薫さん(作家)のお宅の一員だった美猫のミシェルは、いつもどこかの美女に抱かれた名残に香水の香りをまとって帰宅におよんでいましたが、とつぜん近所の公園で犬に噛まれて死んだそうです。
 中村好一さん(公務員?)が赴任先で同居するようになった黒毛の「彼女」も、ある年の年明けとともに帰ってこなくなったそうです。どうも近くの国道で交通事故に遭ってしまったようなのです。
 ねこっていつも、不意に、そっといなくなりますね。

 面白かったのは出久根達郎さん(作家)の、ある町に「ねこうどん」屋があったというお話。オチを読めば、ナーンダ、ということになるのですが、心をそそられたかたはどうぞ「ねこ新聞」をお読みください。
 
 猫新聞社は〒143-0025東京都大田区南馬込1-4-10 電話03-5742-2828
 http://www.nekoshinbun.com/ 

NHKのど自慢体験記

2007-02-14 23:26:15 | 音楽
地元で国民的番組「NHKのどのど自慢」があった。
私の父がウン十年これを見ていて大ファン。
早速観覧希望のハガキを送った。

次に出演だが、始めうちの家族は全員出るというので
私がわざわざ人数分往復ハガキを買ってきた。
のに、ふたを開けたら私しか申し込んでなかった。
だまされたのかもしれない…
なので、今度はシュプリッターエコーメンバーで
出場しませんか(笑)
3月に三田市であるそうです。

幸いにもハガキは通過して予選会に出られることとなった。
知人から聞いたのだがハガキの時点で
競争率10倍らしい。
その意味ではラッキー。

日曜昼の放送の前日に予選会が開かれる。
本番と同じ会場だ。
最近は深夜に予選会も放送するらしく
カメラはもとより司会の宮本さんもいたし、
予選会番組用の収録もあった。

予選会参加は250組!
その中から日曜の本選に出場出来るのは20組!
超激戦だ。
私の番号は「58番」。
これは歌う曲の五十音順で決められる。

12:45分予選会開始。
始めにディレクター氏からの注意事項を聞く。
そして拍手の練習、これが長い…

私は250番の中の58番なので
比較的早く順番が回ってきた。
待機しているとステージに見た顔が?
知人の写真屋のにいちゃんだった。
「奇跡の地球」歌ってた。

さあ、私の歌った歌ですが、
私の十八番の一つ、
上田正樹の「悲しい色やね」。
幸い他に同じ歌の人はいなかった。

不思議と緊張はしなかった。
むしろ2000席のホールで
絶唱出来て気持ちよかったくらい。
バックも本番と同じバンドさん。
ほんの30秒ほどだったけど
これはいい経験だった。

自分の番が終わったが結果発表は6時過ぎ。
ホールの中をうろついてた。
いやー、いろんな人がいますな。
袴でばっちり演歌歌手になった人、
トイレでひたすら練習している人、
踊りの練習してる人達、
老人介護施設からの参加と思われるが
ヘルパーさんの意思とは無縁に
車椅子のお年寄りが歌わなくて
いつの間にかヘルパーさんの歌になってる人。

予選全部を見た訳ではないので断言できないが
一番沢山歌われていたのは「三日月」(これでいい?)。
絢香とかいう若者の歌らしい。
5人くらい歌っていた。

6時過ぎ結果発表。
何と選ばれた20組のうち2組が会場にいなかった!!
1組は過去にあったが2組は前代未聞とか。
で、繰り上げ当選が。ラッキーですね。

選ばれた人を見ると、必ずしも上手い人ばかりではない。
いやもっと上手い人がいたが落ちていた。
またパフォーマンスが派手だから受かるものでもない。
凄いパフォーマンスの人がいたが落ちてた。
当然私は落ちました。

ここで私なりに「のど自慢必勝法」を。
1.1人より複数の方が選ばれやすい(TV映えするから?)
2.家族とか親子とか職場の同僚とかだとなおいい。
3.その時のゲストの歌を歌う、
  これはみんな同じこと考えて歌うが
  「ゲスト歌枠」ゆうのは確実に存在するから
  全体の競争率からすれば倍率は低い。

それでもなかなか本選は遠いですね。

まあ、いい経験が出来た。
今度は何の曲で出ようかな(マジ??)


批評と劇場運営2

2007-02-13 06:07:38 | 引用
パブリックシアターにおいて内容の正当性を開示するには専門家の知見と芸術的批評による。舞台芸術創造の選定は芸術監督やプロデューサーなどの専門家の役割であり、そしてそれを評価する批評の場の形成がなによりも大切になるのである。専門家の目を通して事業の枠組みを決定し、批評というフィルターを通してその作業を評価するのである。これが現在の公立文化施設にはほとんどない。(抄出)

批評と劇場運営

2007-02-13 02:44:11 | 引用
「創造成果にはっきり優劣があり、その優劣は抽選のような偶然ではなく、『批評』によって価値が認識される芸術行為は現状の常識としての公の施設には決してなじまないのである。」(清水裕之『21世紀の地域劇場』、1999年、鹿島出版会)
批評が劇場など施設運営にもっとインパクトを与えるように表現者側も施設側もならなければ。そのためにも批評には意味があると思う。

特別な日

2007-02-12 02:57:10 | ノンジャンル
今から40年ほど前なら家庭で洋食を作るのもちょっとした贅沢だったのではないだろうか。現在ならインスタント食品や冷凍食品で手軽に食べることの出来るシチューやマカロニグラタンでさえも珍しいものだったに違いない。当時、普段家庭では作れないと思われていた本格的な洋食(西洋料理)を有名ホテルの料理長が手解きしてくれていた料理番組があった。NHK『きょうの料理』である。もちろん番組は今も健在であるが、視聴者がよせる信頼の度合いは今と昔とでは雲泥の差である。もしも家庭で本格的な「ハンバーグステーキ」を手軽に食べたいとお思いなら一度このソースをお試しいただきたい。

材料・・・
ケチャップ、コンソメスープ(湯にコンソメスープの素を溶かしたものでも可)、ブランデー(又は白ワイン)、粗びき黒胡椒、小麦粉(焼く前のハンバーグに予め軽くまぶしておくと後でソースのトロミになる)

作り方・・・
1.ほどよく焼いたハンバーグを一旦フライパンから取りだし、そこにコンソメスープ、ケチャップ、ブランデーを入れ分量が半分になるまで強火で煮詰める。
2.煮詰まったら再びハンバーグをフライパンに戻し入れソース全体にトロミがつくまで弱火で更に煮詰めていく(途中、ソースをハンバーグに絡めるようにして煮詰めていく)。
3.仕上げに粗びき黒胡椒で味を調えたら出来上がり。

所要時間は10分足らず。大して手間を掛けなくてもこのソースを絡めればいつものハンバーグもご馳走になるのである。贅沢とは僅かな手間を惜しまないことだと舌で感じことが出来る。特別な日にいかがだろうか。

はるかな神戸港

2007-02-03 22:04:39 | 美術
 神戸・王子公園の原田の森ギャラリーで開かれているこうべ芸文美術展に行ってきました。
 神戸で活躍する作家たちがこぞって出品している展覧会ですが、なかでも東浦好洋さんの「遠い日〈二つの視角〉」は昔の港の風景を写実的に描いた油絵で、この街に住む者にはとても懐かしい作品でした。

 白いデッキを真ん中にはさんで前後の甲板にマストが配されている大型の貨物船(あるいは貨客船?)は、大きな高い煙突から推してもどうも戦前のつくりですが、今のコンテナ船に比べてやっぱり風情があるんですね。

 図体が大きくて足も速い現在のコンテナ船は確かに海運の効率を飛躍的に高めましたが、船型からいえば巨大な鉄の板にエンジンをつけただけの構造で、だからイカダに退行してしまっているわけですよ。詩情というものがないんです。

 じっさい、美学がありました、昔の船には。
 船乗りたちも、いかにもオレは海の男だ、ってカッコつけてね。
 街を歩いてても特別な風が吹いていた。
 いまはもう船員も普通のサラリーマンとぜんぜん区別がつきませんが。

 でも、想像どおりあの絵の貨物船が戦前の船なら、たぶん戦争で沈んでしまっているでしょうね。
 神戸港をにぎわしていた商船も戦争が始まると兵員や武器の輸送に徴用されて、バシー海峡あたりでみんな爆沈されたんです。