阪急の三宮駅から北野坂を上っていった右手にGALLERY北野坂があります。
4階建てのビルに3つの画廊をしつらえた、いわばアート・パレスの趣です。
主宰の女主人・潘(ばん)やすこさんというかたがずいぶん冒険的な人で、「1点で個展」という思い切った企画を続けて、今年の夏で1年余りが過ぎました。
画廊の1室に1作家の作品1点だけを1週間展示するという贅沢な個展です。
年末に、区切りの画集(記録集)が出されました。
シメテ47人の47作品は壮観です。
平面、立体、陶、織物、インスタレーションと、作品も多彩なら、むろん人物も多彩です。
画集の各ページには作品の記録写真と作家の記念写真が並んでいますが、自分の作品とのツーショットに、自信満々の人、はにかんでいる人、しゃっちょこばっている人、カッコつけてる人、放心の人…。
ギャラリー建築の設計者が安藤忠雄さんですから、空間そのものの意味を意識しないでおれないというのも、この「1点展」の特徴です。
じっさい、コンクリートの空間と絶妙のバランスをとっていると見える作品がある一方で、ちょっと空間に負けているかなあ、とそんな思いに誘われる作品もありますね。
しかしおしなべて面白いのは、本物の空間に作品が1点というシチュエーションが、なにか謎めいて見えることです。
存在の前にじかに立たされたような、微妙なめまいがあるのです。
ゾクッと訴えてくるものが例外なくあるのです。
さて、わがシュプリッターエコーの記者のひとりは、今年の2月にここで見た「和」のクリエーター・三木次代さんの着物の謎にとらわれて、その謎解きにほぼ1年を要したあげく、いままさに、ようやく評論の最後の数行を書いている次第です。
できあがれば、シュプリッターエコーのウェブ版のほうに発表される予定です。
「1点展」の研ぎ澄まされた雰囲気の一端が、あるいは伝わるかもしれません。
GALLERY北野坂は
http://www7.ocn.ne.jp/~kitano/
――追伸――
三木次代さんの着物作品についての論評をシュプリッターエコーのウェブ版に掲示しました。お立ち寄りください。(12月30日)
ウェブ版は
http://www16.ocn.ne.jp/~kobecat/