春は出会いの季節でもあるが別れの季節でもある。
3月31日(土)、9月から半年間続いたNHK朝の連続ドラマ小説『芋たこなんきん』の最終回を、私は東京のビジネスホテルで見送った。
もはや定時になってもこのドラマが始まらないのかと思うと寂しくてならない。
今回の朝の連続ドラマ小説(以降「朝ドラ」と略)は久しぶりに見応えのある内容だった。
原作は大阪生まれの小説家・田辺聖子のエッセイであり、ドラマは彼女の自伝的なストーリーとなっている。
物語は売れっ子の女流小説家・花岡町子(35歳)が4人の子供と両親を抱える町医者・徳永健次郎(41歳)と結婚(健次郎にとっては再婚)することから本格的に動き始めるのだが、町子は結婚してからも家事の間を縫ってますます精力的に文筆活動に打ち込む。
この花岡町子を演じるヒロインに抜擢されたのが藤山直美。
これまで朝ドラのヒロインと言えば20代のまだ若い女優であったのに、失礼ながら突然の年齢の高いベテランがヒロインとなったことに最初は戸惑いを覚えずにはいられなかった。
そんな彼女と徳永健次郎に扮する國村隼というベテランどうしの息の合った演技は見ていて気持ちが良い。
何よりも会話のテンポがいかにも大阪人らしい早さで、受け応えもリズミカル。
さらに投入されたキャストとして、今までの朝ドラで主役を演じた経験のある女優が4人も出演しているなど、ドラマを制作したNHK大阪放送局の力の入れようが見てとれた。
これまで朝ドラのヒロインはオーディションで決められるものであったが、正視できないほど演技が下手であったり、台詞の読み方ひとつ取っても聞くに堪えないことが多かった。
どれだけヒロインが可愛くても、愛嬌だけで許される範囲を超えていた。
また、ここ最近の朝ドラはインスタントにメッセージを伝えようと急ぐあまり、やたら説教くさくなる傾向があった。
しかしこの『芋たこなんきん』は原作がエッセイであるがゆえに面白おかしいエピソードが満載され、とにかく視聴者に笑いを誘うことも目的としていた。
笑いと言っても吉本新喜劇のような泥臭いものではなく、さすが田辺聖子と言うところか、機知に富んだ上質な笑いに満ちていた。
朝早い放送時間だけれども、1日の始まりに笑うことでパワーを受け取ってほしい、とプロデューサーは語る。
このドラマで町子と健次郎はとにかくしゃべる、しゃべる。
対話することを怖れず、また億劫がらない。
これは視聴者に向けた一つのメッセージであったと受け取れる。
最近コミュニケーション能力の低い児童が多い。
「キレる」という発作的衝動は、内面の不満やストレスを言葉にしてアウトプット出来ないがために起こり、思わず他人あるいは自分自身を殺傷してしまう。
この「キレる」子供を作り出してしまう大きな要因として、夫婦間・親子間のコミュニケーション不足が考えられる。
不安に満ちる今の社会だけれども、子供たちが最初に出会う社会は家族。
家族の核となるのは夫婦。
すなわち、良い社会を作るためにはまず良い夫婦関係から、といったところだろうか。
分かってるはずなのに意外な盲点かもしれない。
健次郎が死んだ最終回の舞台は2007年。
ますます活躍する花岡町子と秘書の矢木沢純子がパーティーに出掛けようと家を出たところ、二人の老女と出会い、あいさつする。
今まで一度も登場しながったキャストだけに不審に思えたのだが、彼女らこそホンモノの田辺聖子とその秘書・安宅みどりだった。
最後の最後でビッグなゲストでサプライズ。
NHK大阪制作の次回の朝ドラが今から楽しみでならない。
3月31日(土)、9月から半年間続いたNHK朝の連続ドラマ小説『芋たこなんきん』の最終回を、私は東京のビジネスホテルで見送った。
もはや定時になってもこのドラマが始まらないのかと思うと寂しくてならない。
今回の朝の連続ドラマ小説(以降「朝ドラ」と略)は久しぶりに見応えのある内容だった。
原作は大阪生まれの小説家・田辺聖子のエッセイであり、ドラマは彼女の自伝的なストーリーとなっている。
物語は売れっ子の女流小説家・花岡町子(35歳)が4人の子供と両親を抱える町医者・徳永健次郎(41歳)と結婚(健次郎にとっては再婚)することから本格的に動き始めるのだが、町子は結婚してからも家事の間を縫ってますます精力的に文筆活動に打ち込む。
この花岡町子を演じるヒロインに抜擢されたのが藤山直美。
これまで朝ドラのヒロインと言えば20代のまだ若い女優であったのに、失礼ながら突然の年齢の高いベテランがヒロインとなったことに最初は戸惑いを覚えずにはいられなかった。
そんな彼女と徳永健次郎に扮する國村隼というベテランどうしの息の合った演技は見ていて気持ちが良い。
何よりも会話のテンポがいかにも大阪人らしい早さで、受け応えもリズミカル。
さらに投入されたキャストとして、今までの朝ドラで主役を演じた経験のある女優が4人も出演しているなど、ドラマを制作したNHK大阪放送局の力の入れようが見てとれた。
これまで朝ドラのヒロインはオーディションで決められるものであったが、正視できないほど演技が下手であったり、台詞の読み方ひとつ取っても聞くに堪えないことが多かった。
どれだけヒロインが可愛くても、愛嬌だけで許される範囲を超えていた。
また、ここ最近の朝ドラはインスタントにメッセージを伝えようと急ぐあまり、やたら説教くさくなる傾向があった。
しかしこの『芋たこなんきん』は原作がエッセイであるがゆえに面白おかしいエピソードが満載され、とにかく視聴者に笑いを誘うことも目的としていた。
笑いと言っても吉本新喜劇のような泥臭いものではなく、さすが田辺聖子と言うところか、機知に富んだ上質な笑いに満ちていた。
朝早い放送時間だけれども、1日の始まりに笑うことでパワーを受け取ってほしい、とプロデューサーは語る。
このドラマで町子と健次郎はとにかくしゃべる、しゃべる。
対話することを怖れず、また億劫がらない。
これは視聴者に向けた一つのメッセージであったと受け取れる。
最近コミュニケーション能力の低い児童が多い。
「キレる」という発作的衝動は、内面の不満やストレスを言葉にしてアウトプット出来ないがために起こり、思わず他人あるいは自分自身を殺傷してしまう。
この「キレる」子供を作り出してしまう大きな要因として、夫婦間・親子間のコミュニケーション不足が考えられる。
不安に満ちる今の社会だけれども、子供たちが最初に出会う社会は家族。
家族の核となるのは夫婦。
すなわち、良い社会を作るためにはまず良い夫婦関係から、といったところだろうか。
分かってるはずなのに意外な盲点かもしれない。
健次郎が死んだ最終回の舞台は2007年。
ますます活躍する花岡町子と秘書の矢木沢純子がパーティーに出掛けようと家を出たところ、二人の老女と出会い、あいさつする。
今まで一度も登場しながったキャストだけに不審に思えたのだが、彼女らこそホンモノの田辺聖子とその秘書・安宅みどりだった。
最後の最後でビッグなゲストでサプライズ。
NHK大阪制作の次回の朝ドラが今から楽しみでならない。