街の人ひとりひとりがお金を出し合って芸術家の活動を助けていこうという夢のような市民基金が現実に神戸の街で働いています。
神戸文化支援基金(略称こぶし基金、公益財団)と呼ばれています。
2009年に始まって、ことし16年度の助成11件(総額200万円)も決まりました。
2月23日に神戸・北野坂のオフィスDOで選考委員会が開かれて、9人の委員が20件の応募をめぐって真剣に議論を交わしました。
「先験性・実験性」「計画性」「社会性」の3本の柱を軸に討議を重ね、最後に各委員が個別に採点をおこなうという方式がとられました。
その結果、合計点の上位10件および枠外から特別助成の1件が選ばれました。
あたらしく応募をめざしている人びとの参考のために、その11件の概要をまとめました(カッコ内は総合得点=45点満点=と助成額)。
▼画家・木下佳通代の作品保存プロジェクト(45点、12万円)
1994年に55歳で他界した画家・木下佳通代の作品のデータベースの作成など。木下さんは女性の作家としては珍しく「存在」の根源に迫ろうとした作家で、近年再評価の機運が高まってきています。
▼芸術家の共同体C.A.P.(芸術と計画会議)が取り組む「See Saw Seed」プロジェクト(43点、20万円)
ドバイ、トゥルク(フィンランド)、ハンブルグ(ドイツ)などでも神戸のC.A.Pと同じように芸術家たちの共同体が活動を続けています。それら3都市と神戸をつないで、芸術家たちの相互訪問および現地制作、市民との交流などを繰り広げようというものです(2016.5~2017.2)。
▼西宮船坂ビエンナーレ2016(43点、20万円)
西宮市郊外の船坂地区に作家や美術館の学芸員たちが長期滞在を続けながら、制作や展観、シンポジウムなどの芸術活動を行なおうというものであう。旧船坂小学校や古民家が活動の舞台になります(2016.6~11)。
▼藤田佳代舞踊研究所の舞台公演「創作実験劇場」(43点、20万円)
藤田佳代舞踊研究所は長年にわたって神戸のモダンダンスを切り開いてきたカンパニーです。この研究所のベテランから若手までのダンサーたちがそれぞれにオリジナルな新作を振り付けて舞台にかける試みです。「破る」というユニークなテーマで8作品が初演される予定です(2017.3.11 東灘区民センター)
▼神戸・長田の駒ケ林町で行われる下町芸術祭のプレイベント「下町アセンブリー」(43点、20万円)
古民家「角野邸」を中心に近くの空き家など5棟を活用して、芸術作品の制作、展示ならびに地域の人びとを巻き込んだワークショップやトークセッションなどを行います。はじめは街おこしに主眼を置いていた商店や工場の社長さんたちが今では立派な芸術愛好家に変身しているということです(2016.10.29~11.6)。
▼ドイツのブレーメンから現代美術家・アンニャ・フースバッハさんを神戸に招き、制作・展観・トーク・ワークショップを繰り広げる(43点、20万円)
フースバッハさんはミクストメディアによる立体造形はじめインスタレーション、写真、映像、版画、刺繍、パフォーマンスなど幅広い領域で活動する作家です。1カ月の滞在中に展覧会、トークショー、ワークショップなどを繰り広げます(2016.4.19~5.15 C.A.P.)
▼世界の4都市を結んで「時差」をテーマにした作品の制作と展示を行なう(41点、20万円)
地球上の場所の違いで生まれる「時差」。そこで経験する感覚の微妙なずれ、ひずみを汲み取り、芸術作品に結晶させようという試みです。美術集団アートビースティーズ(ART BEASTIES)のメンバー11人がシアトル、ニューヨーク、東京、神戸の4都市をつないでコラボレーションを行ないます(2016.5.30~6.5 兵庫県立美術館ギャラリー棟)。
▼狂言師・善竹忠亮さんによる「三番三」の無料公演(31点、20万円)
京阪神3都のなかで神戸の能・狂言活動は、豊かな人材をもちながら往時のような熱気を失ってきているようです。善竹忠亮さんのこのプログラムは新年を寿ぐ名舞台を神戸の市民的な行事に定着できないか、熱い願いを込めての企画です(2017.1.28 湊川神社の神能殿)。
▼j.a.mダンスシアターの新作公演「アイムファイン、アンドユー?」(29点、20万円)
j.a.mは近畿大学の芸術学科で舞踊を教えている相原マユコさんと森井淳さんが中心になって活動を繰り広げているコンテンポラリーダンスのグループです。関西の舞踊文化の発展へ意欲的な新作が期待されます(2017.2.25~26 神戸・新長田のアートシアターdB)。
▼目黒大路さんの舞踏作品「Fragments」(仮題)の上演(27点、20万円)
敗戦(1945年)から今日までの日本の移り変わりを、特に女性の存在を通して振り返ろうというものです。戦後に生まれた女性たちの人生、思想、そして身体を舞踏によって視覚化し、そこから現代を考えます(2016.11.26~27 アートシアターdB)
▼アール・ブリュットに焦点を当てた展覧会とミニコンサート(選外、8万円)
美術教育のシステムにとらわれない知的障害者たちの闊達な作品が、多くの人びとの心をも自由へと解き放っています。これらアール・ブリュット(生の芸術作品)を集めて展覧会とライブ「壁がなければ」をおこないます。「拠り所のないものの居場所を作る」ことを目標に、将来は小さな農園を併設した美術館を作りたいと願っています。最初の選考では枠外になりましたが、その後の再討議でさらなる展開へ期待を込めて助成することになりました(2016.6.3~12 神戸・アートスペースかおる)。
なお神戸文化支援基金は、行政や企業の支援とはまったく別に、市民ひとりひとりの個人的な寄付によって運営されています。
芸術への愛だけで成り立っている、現代にはまれといっていい純粋な基金です。
詳しいことを知りたいかたはホームページがありますので、検索してください。
問い合わせの電話またはファックスは078.262.8058(ギャラリー島田内の基金事務局)
神戸文化支援基金(略称こぶし基金、公益財団)と呼ばれています。
2009年に始まって、ことし16年度の助成11件(総額200万円)も決まりました。
2月23日に神戸・北野坂のオフィスDOで選考委員会が開かれて、9人の委員が20件の応募をめぐって真剣に議論を交わしました。
「先験性・実験性」「計画性」「社会性」の3本の柱を軸に討議を重ね、最後に各委員が個別に採点をおこなうという方式がとられました。
その結果、合計点の上位10件および枠外から特別助成の1件が選ばれました。
あたらしく応募をめざしている人びとの参考のために、その11件の概要をまとめました(カッコ内は総合得点=45点満点=と助成額)。
▼画家・木下佳通代の作品保存プロジェクト(45点、12万円)
1994年に55歳で他界した画家・木下佳通代の作品のデータベースの作成など。木下さんは女性の作家としては珍しく「存在」の根源に迫ろうとした作家で、近年再評価の機運が高まってきています。
▼芸術家の共同体C.A.P.(芸術と計画会議)が取り組む「See Saw Seed」プロジェクト(43点、20万円)
ドバイ、トゥルク(フィンランド)、ハンブルグ(ドイツ)などでも神戸のC.A.Pと同じように芸術家たちの共同体が活動を続けています。それら3都市と神戸をつないで、芸術家たちの相互訪問および現地制作、市民との交流などを繰り広げようというものです(2016.5~2017.2)。
▼西宮船坂ビエンナーレ2016(43点、20万円)
西宮市郊外の船坂地区に作家や美術館の学芸員たちが長期滞在を続けながら、制作や展観、シンポジウムなどの芸術活動を行なおうというものであう。旧船坂小学校や古民家が活動の舞台になります(2016.6~11)。
▼藤田佳代舞踊研究所の舞台公演「創作実験劇場」(43点、20万円)
藤田佳代舞踊研究所は長年にわたって神戸のモダンダンスを切り開いてきたカンパニーです。この研究所のベテランから若手までのダンサーたちがそれぞれにオリジナルな新作を振り付けて舞台にかける試みです。「破る」というユニークなテーマで8作品が初演される予定です(2017.3.11 東灘区民センター)
▼神戸・長田の駒ケ林町で行われる下町芸術祭のプレイベント「下町アセンブリー」(43点、20万円)
古民家「角野邸」を中心に近くの空き家など5棟を活用して、芸術作品の制作、展示ならびに地域の人びとを巻き込んだワークショップやトークセッションなどを行います。はじめは街おこしに主眼を置いていた商店や工場の社長さんたちが今では立派な芸術愛好家に変身しているということです(2016.10.29~11.6)。
▼ドイツのブレーメンから現代美術家・アンニャ・フースバッハさんを神戸に招き、制作・展観・トーク・ワークショップを繰り広げる(43点、20万円)
フースバッハさんはミクストメディアによる立体造形はじめインスタレーション、写真、映像、版画、刺繍、パフォーマンスなど幅広い領域で活動する作家です。1カ月の滞在中に展覧会、トークショー、ワークショップなどを繰り広げます(2016.4.19~5.15 C.A.P.)
▼世界の4都市を結んで「時差」をテーマにした作品の制作と展示を行なう(41点、20万円)
地球上の場所の違いで生まれる「時差」。そこで経験する感覚の微妙なずれ、ひずみを汲み取り、芸術作品に結晶させようという試みです。美術集団アートビースティーズ(ART BEASTIES)のメンバー11人がシアトル、ニューヨーク、東京、神戸の4都市をつないでコラボレーションを行ないます(2016.5.30~6.5 兵庫県立美術館ギャラリー棟)。
▼狂言師・善竹忠亮さんによる「三番三」の無料公演(31点、20万円)
京阪神3都のなかで神戸の能・狂言活動は、豊かな人材をもちながら往時のような熱気を失ってきているようです。善竹忠亮さんのこのプログラムは新年を寿ぐ名舞台を神戸の市民的な行事に定着できないか、熱い願いを込めての企画です(2017.1.28 湊川神社の神能殿)。
▼j.a.mダンスシアターの新作公演「アイムファイン、アンドユー?」(29点、20万円)
j.a.mは近畿大学の芸術学科で舞踊を教えている相原マユコさんと森井淳さんが中心になって活動を繰り広げているコンテンポラリーダンスのグループです。関西の舞踊文化の発展へ意欲的な新作が期待されます(2017.2.25~26 神戸・新長田のアートシアターdB)。
▼目黒大路さんの舞踏作品「Fragments」(仮題)の上演(27点、20万円)
敗戦(1945年)から今日までの日本の移り変わりを、特に女性の存在を通して振り返ろうというものです。戦後に生まれた女性たちの人生、思想、そして身体を舞踏によって視覚化し、そこから現代を考えます(2016.11.26~27 アートシアターdB)
▼アール・ブリュットに焦点を当てた展覧会とミニコンサート(選外、8万円)
美術教育のシステムにとらわれない知的障害者たちの闊達な作品が、多くの人びとの心をも自由へと解き放っています。これらアール・ブリュット(生の芸術作品)を集めて展覧会とライブ「壁がなければ」をおこないます。「拠り所のないものの居場所を作る」ことを目標に、将来は小さな農園を併設した美術館を作りたいと願っています。最初の選考では枠外になりましたが、その後の再討議でさらなる展開へ期待を込めて助成することになりました(2016.6.3~12 神戸・アートスペースかおる)。
なお神戸文化支援基金は、行政や企業の支援とはまったく別に、市民ひとりひとりの個人的な寄付によって運営されています。
芸術への愛だけで成り立っている、現代にはまれといっていい純粋な基金です。
詳しいことを知りたいかたはホームページがありますので、検索してください。
問い合わせの電話またはファックスは078.262.8058(ギャラリー島田内の基金事務局)