神戸・六甲道のギャラリー花六甲で能勢伸子さんの個展を見た(2013年7月30日~8月4日)。
青の世界だ。
流動する青がある。
噴き上がる青がある。
雪崩れ落ちる青がある。
はげしく渦巻く青がある。
風だ、この青の動乱は。
天空を渡る風。
大気圏を揺する風。
大地を踏みつけて走る風。
だが驚くべきことは、ここには地底を突き進む風さえもあることだ。
水底で渦巻く風さえあることだ。
ヴァルトブルク城の歌う騎士を大地の底深くへ誘ったヴェヌス(※)。
あのヴェヌスの洞窟にも青い風が吹いていた。
青い風が洞窟いっぱいに歌っていた。
妖艶な神秘の歌を。
永遠の生と永遠の至福を約束する神秘の歌。
そして同時に死に満ちた神秘の歌。
この青は深い両義の青である。
すべての絵を両義の風が吹きぬける。
さまざまな試みを重ねてきた作家である。
大きなインスタレーションでギャラリーを埋め尽くしたこともある。
いま、小さなタブローの世界へ戻ってきた。
むしろ、小さなタブローの世界へ踏み出した。
むしろ、限定された青の世界へ踏み出した。
そこは、深い。
これまでになく、深い。
作家の底の洞窟が開かれた。
宇宙へぬける洞窟だ。
(※)ワーグナー「タンホイザー」
青の世界だ。
流動する青がある。
噴き上がる青がある。
雪崩れ落ちる青がある。
はげしく渦巻く青がある。
風だ、この青の動乱は。
天空を渡る風。
大気圏を揺する風。
大地を踏みつけて走る風。
だが驚くべきことは、ここには地底を突き進む風さえもあることだ。
水底で渦巻く風さえあることだ。
ヴァルトブルク城の歌う騎士を大地の底深くへ誘ったヴェヌス(※)。
あのヴェヌスの洞窟にも青い風が吹いていた。
青い風が洞窟いっぱいに歌っていた。
妖艶な神秘の歌を。
永遠の生と永遠の至福を約束する神秘の歌。
そして同時に死に満ちた神秘の歌。
この青は深い両義の青である。
すべての絵を両義の風が吹きぬける。
さまざまな試みを重ねてきた作家である。
大きなインスタレーションでギャラリーを埋め尽くしたこともある。
いま、小さなタブローの世界へ戻ってきた。
むしろ、小さなタブローの世界へ踏み出した。
むしろ、限定された青の世界へ踏み出した。
そこは、深い。
これまでになく、深い。
作家の底の洞窟が開かれた。
宇宙へぬける洞窟だ。
(※)ワーグナー「タンホイザー」