しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

伊藤みえこ展――心の象形文字

2008-05-31 15:49:23 | 美術
 伊藤みえこさんが神戸・栄町通3の栄町ビルディングに新しく生まれたGALLERY MARUNIで6月1日まで個展を開いています。
 黒とグレーを基調に西宮市で制作を続けている抽象の作家です。

 一面の黒い画面、あるいは一面のグレーの画面に、アルファベットのX(エクス)の形をしたものやら、卵みたいな丸い形をしたものやら、ひっかいたような線の束やら、そういった小さなモチーフが散りばめられているのです。
 おもしろいのは、それらの記号のひとつひとつがなにかを語りかけてくるような、そういう身構えをしていることです。

 記号が何を語っているのか、もちろんいちいちの中身は、聞き取りようがありません。
 けれど子どもたちが、小さい手でかわいい握りこぶしをきゅっとつくって、「この中になにがある? あてられる?」と突き出してくるような、そんな楽しさがあるのです。

 こぶしの中には、お菓子があったり、木の実があったり、美しい小石があったり、ときには何もなかったりするものです。
 そして何もないとしか見えないのに、実はそこに子どもの夢が屈(かが)んでいたりするものです。
 きらっと光っていたりするのです。

 心の象形文字とでも言えるでしょうか。

 GALLERY MARUIは080.3803.3006

美しかった西武戦

2008-05-26 00:30:34 | 阪神タイガース
 今夜の西武とのゲーム(甲子園球場)はすばらしい内容でしたね。
 勝ったから言うのではありません。
 1対1のまま7回くらいに入ったときに、このゲームは勝っても負けても、中身の濃いゲームだったと、ここに書くことに決めていました。
 攻守ともにゆずらない熱戦で、さすがにセパ両リーグの1位どうしの戦いだと、強く心を打たれました。

 終盤に入ってからはリリーフ投手で勝るタイガースが押し気味に試合を運びましたが、ライオンズも懸命にもちこたえ、敵ながらあっぱれの展開でした。
 男たちの張りつめた顔も美しいものでした。
 たがいに王者の風格を発揮しました。

 そして最後(延長十一回)は絵に描いたように金本選手がライト前へサヨナラ打。
 タイガースファンには夢のような結末でしたが、ヒーローインタビューに立った金本選手も「西武は守っていて迫力を感じた」と相手にエールを送っていました。

 こんなゲームに遭遇すると、プロ野球ファンであってよかったなあ、と思います。

ボッカチョ

2008-05-25 02:32:14 | 引用
 愛せよ、さればきみは愛されるであろう。
      (デカメロン、河島英昭訳)

 *そんなこと言われてもねえ、やっぱりまず向こうから愛されたいよねえ、と例のオンモトさんは述べていますが。

75歳を超えたら、お死になさい――ウバ捨て制度

2008-05-23 22:53:53 | 社会
 後期高齢者医療制度というのを自民党の政府がスタートさせました。
 角ばった名前がついていますが、要するに、75歳になったら、その年から健康保険のお金を取ろうという制度です。
 ささやかな年金から天引きしようというのです。
 つまり、あなたはもう75年も生きていらっしゃった、もう十分でしょう、この先は社会のお荷物ですからご自分で保険料を払いなさい、という制度です。
 早くいえば、もう死になさいという法律です。
 「ウバ捨て制度」というわけです。

 これに対して民主党や共産党や社会民主党などの野党が、この制度の廃止に向かって法案を出すことを決めました。
 当然のことだと思います。

 こんな時勢にもかかわらず、自民党の政府は軍事費(防衛費)はどんどん増やして、その一方、市民が生きるうえに必要な医療費などをぎゅうぎゅう減らそうとしているのです。
 軍艦や戦闘機にはアメリカの言いなりに何憶というお金を使って、市民の生活は押さえつけているわけです。
 そこに前の防衛次官のように、甘い汁を吸う連中も出てきます。

 政府は保険制度が大変だあ、年金制度が大変だあ、と大声で叫んでいますが、軍事費のことは決して口に出しません。
 そこを削って、それを生活に回せばいいのに、そこは黙っているんです。
 今はまだ世界全体が平均的に幼稚ですから、すぐ完全な非武装国になるというのはムリでしょうが、日本のような国にここまで大きな軍事力が要るわけがありません。
 軽武装で十分です。

 市民から徴収した税金をどこにどのようにいかに賢明に配分するか、それこそが政治のカナメです。

 アメリカの言いなりになって国の骨格を決めるような隷属的(れいぞくてき)な政治はやめて、これが民族にとって重要だと思う制度を民族自身でつくる、そういう主体的で賢明な国に持っていかないと、ぼくたちの生活も心もつぶされていくばかりです。 

高架下で現代美術展――神戸で地力.Ⅱ

2008-05-22 22:29:59 | 美術
 JRは神戸の街を長い高架線で横切っていきますが、その高架鉄道の下を刳(く)り抜くようにして、ウナギの寝床みたいな商店街がうねうねと続いています。
 戦後の闇市時代に猛烈なにぎわいを見せた特異な商店街で、もうそんな時代ではありませんが、それでも神話時代の痕跡をまだ端ばしに残しているような空気があって、これが魅力でもあるのです。
 その高架下の一角で現代美術の展覧会が5月25日(日)まで開かれています。
 「地力.Ⅱ―ARTイマジネーションin KOBE モトコー2008」です。

 神戸で制作を続けている美術家の宮崎みよしさんが企画して、たくさんの作家が参加しています。
 一昨年は都心の倉庫を利用して第一回展をしましたが、その場所(土地)が隠し持っている潜在的な力を美術のワザで呼び覚まそうという試みといっていいでしょう。

 いつもどデかい作品でみなを驚かす國府理さんは、飛行機のプロペラや車のボディや鉄材を組み合わせたインスタレーション「ROBO Whale」(ロボット・クジラ)を出しています。
 ソン・ジュンナンさんは、女の顔を花にした草花(造花)を、まるで苗代で育てるイネのように、二階の暗がりにぎっしりと植えました。
 高浦邦彦さんは「ちくわ製造中」と題して、発光する樹脂のちくわを林立させ、それらがユラユラとうごめくさまは、イソギンチャクの触手のように美しく、かつ不気味です。

 高架下という独特の環境が、作家たちの想像力をどんなに強く揺すったか、それがよくわかる展観です。
 神話時代の商店街のエネルギーが底に生きているのでしょう。

 会場はJR元町駅または阪神元町駅下車。西口を出て、元町高架通商店街(通称モトコー)に入って、西へ徒歩5分。山側。電話078.366.0536(リ・フォープ)

 (注)関連記事をSplitterechoのWeb版にも掲示しました。お立ち寄りください。=5月24日

バラの神秘 5

2008-05-21 22:08:13 | 引用
 薔薇は、古代から壁画や絵画に描かれ、数々の文学作品に登場している。詩聖ホメロス(紀元前800年ころ)は「イーリアス」や「オデュッセイア」で薔薇の美しさをたたえ、若い人の美しさを“薔薇の頬”と表現した。女流詩人サッフォー(紀元前600年ころ)は薔薇を“花の女王”と歌っている。
    (蓬田勝之著「薔薇のパルファム」)

ボッカチョ

2008-05-20 21:42:20 | 引用
 くやしいったらない。いったい、よその女にうつつを抜かすほど、自分の家でするべきことがないとでも、思っているのかい? たいした伊達男だこと!
   (「デカメロン」 河島英昭訳)

祈りの心がない祭り――神戸まつり

2008-05-19 22:50:25 | 都市
 神戸で最も大きなお祭りが五月に催されます。
 神戸まつりといいます。
 今年は昨日の日曜日(18日)に開かれました。
 フラワーロードというメーンストリートで半日いっぱいパレードが行われます。

 ぼくもしばらく街角に立って見ていました。
 音楽の演奏とかダンスとかマスゲームとか、いろいろと工夫を凝らした隊列が続々と登場します。
 パレードとして見た場合は、そこそこのものだろうと思います。
 ただ、これが神戸を代表する「お祭り」なのか、という視点から見直すと、ちょっと首をかしげます。
 正直に言わせてもらえば、「お祭り」としては、おもしろくありません。

 ダンス教室とかバトントワラーズの教室とか、そういうおけいこの教室のこどもたちが延々と続きます。
 つまり、街じゅうの教室の発表会のようなのです。
 「お祭り」というよりは「大発表会」なのですね。
 子供たちにはいい思い出になるでしょうから、決してそれで悪いというわけではないのですが、残念ながら「お祭り」にとっていちばん大切な精神性というものがないのです。

 大阪の天神祭には天神さんを恐れ敬うことで人びとの平安を祈るという心があります。
 京都の祇園祭には怨霊を慰めることで都市の平安を祈るという心があります。
 でも神戸のこの祭りには、祈りの心というものがありません。
 どうしてもカラ騒ぎにしか見えません。

 20年ばかり前に神戸まつりを調査したある人類学者は、新しい都市型の祭りとして、やがてしっとりとした精神性が生まれるだろうと、楽観的な予言をしていました。
 けれどこの学者さんの予言は外れたようです。

 神戸まつりにはいつまでたっても、なにかがそこで成熟しているという感じがありません。
 心のない祭りなんて、どだい成立しないのではないでしょうか。

その顔が気に食わん、退場だ

2008-05-18 19:52:22 | ノンジャンル
 ロッテ対オリックス戦(5月17日、千葉)の9回表に、オリックスのローズ選手が球審の秋村さんから退場処分を受けました。
 空振りの三振をしたさいに英語でなにごとかを怒鳴って、それが審判侮辱になったというのです。

 で、英語でどんな侮辱的なことを言ったのかというと、そこがどうもあいまいなままなのです。
 秋村さんはこういうふうに言いました。
 「ローズ選手が私に向かって何か叫んだ。何を叫んだか、英語だったから、私にはわからない。けれどそのときの顔が侮辱行為だと感じた」
 要するに、選手の顔が審判の気に食わなかったというわけです。

 まあ、ローズさんは、そんなに美男子とは言えないかもしれませんけど…。

 しかし巨人のラミレス選手なんか、試合に集中しているときの目つきが悪いですからねえ。
 パ・リーグだと、あの目で審判をにらんだら即退場ですね。
 ひょっとしたらバッターボックスに立っただけで「あなたは目つきがワルい。よって、タイジョウしてください」

 火曜日からセパの交流戦が始まります。
 パ・リーグの審判が球審をつとめるときは、ハンサムでない選手さん、ご注意。

人間に明日はない?――大規模化する災害

2008-05-18 01:02:11 | 地球
 アメリカ南部で続発している強力なハリケーン、ミャンマーをはじめ南アジア各地で顕著になっている狂暴なサイクロン、また日本でも年々苛烈になっているタイフーン(台風)、そして中国や日本の大地震、それら地球のいたるところで頻発(ひんぱつ)している最近の大災害は重要な二つのことを強力に示唆(しさ)しているように思えます。

 一つは、地球の温暖化や地殻運動の活発化、そして人口の増加などによって、被害の規模がますます巨大化しているということです。
 どれだけ想像力をたくましくして、どれだけ大きな予防策を講じても、それを超える災害が起こるでしょう。
 もともと災害というのは、それまでの推計や予測を超えるから災害になるわけで、結局は地球の崩壊に至るまでひたすらに拡大していくという宿命にあるのです。

 そしてもう一つは、それら大災害はもはや一国や一民族の対応では間に合わないということです。
 国々の連携と相互協力が不可欠です。
 国々が対立を続けている場合ではありません。
 国と国との切断軸を、人類と地球との切断軸に急いで転換しなければなりません。

 人間の視点で見て地球があきらかに崩壊に向かっているときに、なお国と国、民族と民族が対立を続けている状況は、ただただ人類の滅びを加速しているに過ぎません。

 人間が賢明にならなければ、人類の明日はないのです。