生活絵画で逮捕。特定秘密保護法→治安維持法の恐ろしさ
朝のワイドショーで、戦前、いわゆる「リアリズム絵画」を描いただけで、特高警察に逮捕され、連日取調べで刑事に恫喝され、火の気のない零下10度にもなる留置場に留め置かれた北海道在住の92歳の方の体験を取材していた。
生活絵画とは、日常生活や労働の場面を見つめ、描くという美術運動で、現実を観察すれば、おのずと世の中の矛盾を考えざるを得なくなり、やがてはそれは天皇を頂点とする軍国体制に疑問を持ち、反対する運動につながると考える「国家=治安警察」の先回りの取り締まりとも言うべきものである。
その方は当時師範学校の学生で、美術部に属して絵を描いていただけで、特定の運動に関わったりしていたわけでも何でもなかったので、なぜ自分がそんな目に遭うのかと悔しい思いをしたという。
今でもそうだが、警察の取調べを受けたというだけで、周囲は違法なことをしたのだろうという目で見る。
その後の人生が変わってしまうのだ。
とにかく奴隷のごとく国家の言うことを聞け、何も考えるな、知るなというのがこの「特定秘密保護法」の根本精神だ。
この秘密法成立をごり押しすることとセットになっているのが「反中国」の刷り込みだ。
NHKはその先頭になって、特に午後七時のニュースで、長々と時間を取る。
ウィグルやチベットなどの少数民族問題、都市と農村の格差、政府、特に地方の役人の腐敗など、中国に問題がないとは言わないが、それは中国人自身が一つ一つ解決していく問題であって、日本がまるで「鬼の首」を取ったかのように嬉々として報道するのは違うのではないかと感じる。
客観的な報道という以上の「刷り込み」を感じる。
これらの報道に連日接していれば「中国はどうしようもない国、中国との戦争やむなし」と考える日本国民は確実に増えていくのでは・・・。
しかし80年前、中国大陸に侵略して、かの国の人々に大変な苦しみを与えたのは他ならぬ大日本帝国とその臣民たちであった。
中国を非難してはばからない人達は「歴史に無知である」ことを自らあかしているようなものだ。恥ずべきことだ。
特定秘密保護法の危険性から目をそらすためではないかと勘ぐってしまう「徳洲会選挙違反事件」と「食品偽装問題」。
「徳洲会」の病院職員総動員の選挙運動などは、保守系の企業をバックにしている候補ならどこでもやっている。いや組合や団体をバックにした候補もそうだろう。
見返りとしての報酬があってこそ、職員も従う。
あまりに度が過ぎていたために特捜に狙い撃ちされたのか。
NHKクローズアップ現代の報道によれば、対立候補に圧倒的差を付けて当選し、相手の比例での復活当選を許さないことが目的だったという。
その背景には「徳洲会」と地元医師会との利害対立があるのだとか。
離島の貧しい子弟だった会の創設者徳田虎雄氏は「命は平等」を掲げ、病院開設を僻地や離島にも広げ、全国展開を図ってきた。その過程で病院進出によって、患者を取られる危機感を抱いた地元の開業医や病院の反発を招き、その経験の中で政治権力を持つ必要、それも圧倒的なを痛感したのだそうだが。
ゲストの医療経済専門家によると、徳洲会は経営がうまく、最近では地方の病院・医師不足からむしろ地元医師達と連携して地域医療をにない、貢献している例もあるのだそうで、どうしてそこまでの選挙運動をと、今どうして逮捕の疑問がある。
「食品偽装」といえば、老舗料亭「船場吉兆」の使いまわし・偽装騒動があって、その時にも伊勢名物「赤福」が実は冷凍物でした、などと発覚した事件があった。
報道によれば、今回のホテル・レストラン・デパートの偽装も、今始ったことではなく、その時期から騒動を横目に、「他もやっているなら自分のところも」と低いレベルに合わせて今日の事態になったようだ。
私が今回の事件で、一番歯がゆく感じるのは、安い物を高い値で売って、差額を稼ぐ「詐欺商法」だということをあまり断罪していない点だ。
芝海老がバナメイエビでもいいのだ。その値段で提供しろということ。
公正な商売というか、企業活動が隅に追いやられている。
「金融資本主義」という実体経済とはかけ離れた金が金を生むという毒が社会を蝕んでいる、そう感じる。