木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

自分を歴史に無知だとは思っていないネット右翼

2023年05月20日 | Weblog

1960年代の映画。
ちょうど中学生から高校生になる年齢で、私はよく映画を見に行った。家にまだテレビはなく、若いスターの出るいわゆる青春映画は楽しみだった。
信毎に「語らいシネマ広場」というコーナーがあって、80代の人が1961年の『故郷は緑なりき』(東映)と言う映画について投稿していた。主演は若き日の佐久間良子、相手役は水木譲。高校生の雪子は通学列車で出会う海彦と互いにひかれあう。通学列車で知り合うというのが、私も高校時代汽車で通学していたので惹かれた。平凡な女学生の私にそんなロマンスはなかったが、このストーリーは後に舟木一夫と泉雅子で日活で『北国の街』というタイトルでリメイクされた。雪国の列車が舞台。現在の飯山線で撮影された。海彦の家は父が小千谷ちぢみの染職人。海彦は東京の大学進学をめざしていた。雪子もまた東京の大学進学の希望を持っていた。ところが雪子は心臓に病を抱えていた。限りある命だからこそ東京へ行って勉強したい。海彦の方は父が倒れ、海彦は大学進学をあきらめ、父の仕事を継ぐ決心をする。東京へ去っていく雪子、それを遠くから見送る海彦。列車が雪の中を遠ざかっていく。これは青春の別れであり、二人にとっては永遠の別れでもある。ただ和泉雅子は病身の女学生にはみえなかったけど。脚本はまだ無名の倉本聰。さすがにうまく作ってある。

『ネット右翼になった父』鈴木大介(講談社現代新書)。
最近右翼的言説をする人が増えている印象がある。私はこの本を読んでいないので批評することはできないが、近代の歴史を正しく知らない人たちがマスコミでもてはやされている人の言説をそのまま都合よく自分の考えということにしているように思える。鈴木氏のいう「多様性を重視する父だからこそ当時の左翼の排他的な正義感への嫌悪感が根底にあり続け、その心情が晩年のネット右翼的な言説への親しみにつながった」というのはそうなのか?と首をかしげざるを得ない。自分の父だから好意的に見る気持ちはわかるが、単なる歴史への無知がそうさせるのだと思う。そしてこの父は自分は「歴史に無知だとは思っていない」ところがやっかいである。自分の読みたいもの、見たいものを見た結果がネット右翼に行きついたのだと思う。

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