文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

特派員に至っては、そういうあやふやな知識しかないのに微妙な国際問題をさもまともそうに記事にしている

2022年05月23日 00時37分10秒 | 全般
以下は2016年1月6日に発信した章である。
検索妨害と言う犯罪行為に遭っていた。
再発信する。
以下は、前章に書いた、「歪曲報道」高山正之、新潮文庫520円、の「まえがき」である。
日本国民全員のみならず世界中の人たち全ての必読の書である。つまり、これこそが真実そのものであり、戦後の世界で唯一の本物のジャーナリストであり学者であり作家である人間の珠玉の言葉、世界を正し、救う書物である。
ロサンゼルスに特派員として赴任して間もない頃、ちょっとしたホームパーティに誘われた。 
日米のジャーナリスト、それにハリウッドのお膝元という場所柄もあって映画の制作関係者、写真家や弁護士など結構な顔ぶれが並んでいた。 
こちらが新顔と見て、主宰者側の米国人スタッフが話しかけてきた。
ユダヤ系で大学を二つ出て今はシナリオ選定の仕事をしているという話だった。 
海外駐在はここが初めてか。 
いや、中東に少々。
最近までミャンマーにいてアウン・サン・スー・チーに会っていた。
彼女を食い物にしている英国人の亭主がたまたまやってきて話も聞いた。
帰りにバンコクに寄ったらクーデター騒動に巻き込まれた、軍隊も出て市民が数十人、殺されたというような話をした。 
例のスチンダ将軍のクーデターで、首相の座に就いた彼に市民が珍しく大規模な民主化デモを展開して抵抗し、スチンダを退陣に追い込んだ事件だ。
すると彼、「アジアか」と深刻そうな顔つきをして「日本は昔、アジアの国々でたいそう悪いことをしたな」といい出した。 
いや別に、と否定すると、彼はかなりびっくりする。
鳩が豆鉄砲を食らったようなという衣情でこっちを見据えて「いや日本はひどいことをした。日本は朝鮮を植民地にしたではないか」という。
違うね、ともう一度否定する。
朝鮮についていえば植民地(colonize)じゃない。
あれは併合 (annex) だった。
米国がテキサスを手に入れるときの併合と同じだ。
それに日本の統治はうまくいった。
少なくともフィリピンを植民地支配した米国に何かいわれるほど非道なことはしていない。 
彼は真っ赤になって言い返す。
「米国はフィリピンを開化(civilize)させた。いいことをした。しかし日本は朝鮮で残酷なことしかしなかったではないか」 
お言葉ですが、と言い返す。
米国はフィリピン人に独立させてやるからと騙して宗主国のスペインと戦わせた。
スペインが降伏すると米国は約束を反故にしてフィリピンを米国の植民地にした。
怒ったフィリピン人が抵抗すると軍隊を出して彼らの虐殺を始めた。
彼らの家族も捕まえて家に火をつけ拷問して殺した
米国スペイン戦争は1898年4月に始まり8月にはスペインが降伏しているが、戦争はなぜかその後4年も続き、1902年に終わっている。 
何をもって終わったかというとフィリピン人の抵抗が鎮圧された、もう米国の植民地支配を認めますといったときまで続いた。
しかもその4年問で米軍はレイテ、サマールの二つの島の島民を皆殺しにするなど「20万人のフィリピン人を殺した」と上院の公聴会の記録に残っている。 
朝鮮は違った。
セオドア・ルーズベルトが朝鮮はもはや国家の体をなしていないとはっきり発言して米公館を閉じ、日本に任せている。
日本は学校をつくり、電気を引き、工業を興して真の意味のcivilization、つまりあなたのいう開化を行った。 
そう説明すると、彼は「日本は朝鮮を植民地にしてひどいことをしたのは事実だ」と吼えて、「もうこの話はやめだ」という。
日本をしたり顔でくさして、旗色が悪くなると、怒り喚く、こちらも少々むかついたので、「百歩譲って日本が朝鮮をフィリピン並みの植民地にしたとして、それでも日本が悪いというのは、もしかしてあなたは日本が植民地を持つことを許せないと思ったのか。植民地を持つのは白人出家の特権と思っているのか」と畳みかけた。 
彼は顔を真っ赤にして四文字の言葉を投げかけて、どこかに行ってしまった。
以下は前章の続きである。
文中強調と*~*は私。
この男とはのちに再会する機会があった。
彼はあのあと、フィリピンと朝鮮の歴史を調べてこちらの言い分が正しいのを知ったと、あっさり非を認めてきた。 
そしてこう付け足した。
「初対面の日本人に朝鮮の植民地の話をすると、みんな申し訳ないという。そういう形で付き合いの主導権を取ってきた。反発されたのは今度が初めてだった」と。
日本人には有効な「決め言葉だったのに」と笑っていた。 
ここで注釈をつけると、彼のいう「日本人」は新聞記者であり、総領事館のスタッフ、つまり各省庁からの役人であり、一流企業の駐在員など世論にコミットする世界の人々だ。 
そんな彼らは朝鮮併合の中身も近代史も何も知らない。
特派員に至っては、そういうあやふやな知識しかないのに微妙な国際問題をさもまともそうに記事にしている。

*日経新聞の女性記者に対する私の厳しい批判が全くそのとおりであることを高山は証明していた* 
この稿続く。




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