文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

あまりぞっとしない話だが、実はこの米国人の「決め言葉」と同じものを支那の南京でも聞かされた。

2022年05月23日 00時52分07秒 | 全般
以下は2016年1月6日に発信した章である。
検索妨害と言う犯罪行為に遭っていた。
再発信する。
以下は、前章に書いた、「歪曲報道」高山正之、新潮文庫520円、の「まえがき」である。
日本国民全員のみならず世界中の人たち全ての必読の書である。つまり、これこそが真実そのものであり、戦後の世界で唯一の本物のジャーナリストであり学者であり作家である人間の珠玉の言葉、世界を正し、救う書物である。
ロサンゼルスに特派員として赴任して間もない頃、ちょっとしたホームパーティに誘われた。 
日米のジャーナリスト、それにハリウッドのお膝元という場所柄もあって映画の制作関係者、写真家や弁護士など結構な顔ぶれが並んでいた。 
こちらが新顔と見て、主宰者側の米国人スタッフが話しかけてきた。
ユダヤ系で大学を二つ出て今はシナリオ選定の仕事をしているという話だった。 
海外駐在はここが初めてか。 
いや、中東に少々。
最近までミャンマーにいてアウン・サン・スー・チーに会っていた。
彼女を食い物にしている英国人の亭主がたまたまやってきて話も聞いた。
帰りにバンコクに寄ったらクーデター騒動に巻き込まれた、軍隊も出て市民が数十人、殺されたというような話をした。 
例のスチンダ将軍のクーデターで、首相の座に就いた彼に市民が珍しく大規模な民主化デモを展開して抵抗し、スチンダを退陣に追い込んだ事件だ。
すると彼、「アジアか」と深刻そうな顔つきをして「日本は昔、アジアの国々でたいそう悪いことをしたな」といい出した。 
いや別に、と否定すると、彼はかなりびっくりする。
鳩が豆鉄砲を食らったようなという衣情でこっちを見据えて「いや日本はひどいことをした。日本は朝鮮を植民地にしたではないか」という。
違うね、ともう一度否定する。
朝鮮についていえば植民地(colonize)じゃない。
あれは併合 (annex) だった。
米国がテキサスを手に入れるときの併合と同じだ。
それに日本の統治はうまくいった。
少なくともフィリピンを植民地支配した米国に何かいわれるほど非道なことはしていない。 
彼は真っ赤になって言い返す。
「米国はフィリピンを開化(civilize)させた。いいことをした。しかし日本は朝鮮で残酷なことしかしなかったではないか」 
お言葉ですが、と言い返す。
米国はフィリピン人に独立させてやるからと騙して宗主国のスペインと戦わせた。
スペインが降伏すると米国は約束を反故にしてフィリピンを米国の植民地にした。
怒ったフィリピン人が抵抗すると軍隊を出して彼らの虐殺を始めた。
彼らの家族も捕まえて家に火をつけ拷問して殺した
米国スペイン戦争は1898年4月に始まり8月にはスペインが降伏しているが、戦争はなぜかその後4年も続き、1902年に終わっている。 
何をもって終わったかというとフィリピン人の抵抗が鎮圧された、もう米国の植民地支配を認めますといったときまで続いた。
しかもその4年問で米軍はレイテ、サマールの二つの島の島民を皆殺しにするなど「20万人のフィリピン人を殺した」と上院の公聴会の記録に残っている。 
朝鮮は違った。
セオドア・ルーズベルトが朝鮮はもはや国家の体をなしていないとはっきり発言して米公館を閉じ、日本に任せている。
日本は学校をつくり、電気を引き、工業を興して真の意味のcivilization、つまりあなたのいう開化を行った。 
そう説明すると、彼は「日本は朝鮮を植民地にしてひどいことをしたのは事実だ」と吼えて、「もうこの話はやめだ」という。
日本をしたり顔でくさして、旗色が悪くなると、怒り喚く、こちらも少々むかついたので、「百歩譲って日本が朝鮮をフィリピン並みの植民地にしたとして、それでも日本が悪いというのは、もしかしてあなたは日本が植民地を持つことを許せないと思ったのか。植民地を持つのは白人出家の特権と思っているのか」と畳みかけた。 
彼は顔を真っ赤にして四文字の言葉を投げかけて、どこかに行ってしまった。
この男とはのちに再会する機会があった。
彼はあのあと、フィリピンと朝鮮の歴史を調べてこちらの言い分が正しいのを知ったと、あっさり非を認めてきた。 
そしてこう付け足した。
「初対面の日本人に朝鮮の植民地の話をすると、みんな申し訳ないという。そういう形で付き合いの主導権を取ってきた。反発されたのは今度が初めてだった」と。
日本人には有効な「決め言葉だったのに」と笑っていた。 
ここで注釈をつけると、彼のいう「日本人」は新聞記者であり、総領事館のスタッフ、つまり各省庁からの役人であり、一流企業の駐在員など世論にコミットする世界の人々だ。 
そんな彼らは朝鮮併合の中身も近代史も何も知らない。
特派員に至っては、そういうあやふやな知識しかないのに微妙な国際問題をさもまともそうに記事にしている。

*日経新聞の女性記者に対する私の厳しい批判が全くそのとおりであることを高山は証明していた* 
あまりぞっとしない話だが、実はこの米国人の「決め言葉」と同じものを支那の南京でも聞かされた。 
日本軍が南京を落とした後、6週間にわたって市民30万人を殺した、つまり毎日7000人ずつ42日間、殺し続けたその証拠を留めるという「侵華日軍南京大虐殺遭難同胞記念館」を見に行ったときのことだ。 
展示場はいかにもおどろおどろしくつくられているが、もともと虚構の事件だから物証などあるはずもない。
だから展示品は「日本軍の虐殺の証拠写真」とかだが、すでに東中野修道・亜細亜大学教授が解き明かしているように、どれもこれも検証してみれば同じ人物や同じ場所で演出されたいんちき写真ばかり。 
まともな実写は『アサヒグラフ』に載った日本軍兵士らの写真で、もともとのキャプション「農家から鶏を買った笑顔の兵」というのが「農家を略奪し農民を皆殺しにして家禽を略奪した日軍兵土」と変えてある。
そう変えさせたのは江沢民だ。 
当時の南京には市民は20万人もいなかった。
日本軍が入城後は平静に戻り、道端で支那人の床屋に髭をあたってもらっている日本軍兵士の写真などが当時の『朝日新聞』にも載っている。 
中国が主張する毎日7000人ずつ「6週間休みなく殺し続けた虐殺」のそのさなかに報道班員としてやってきた作家の石川達三はもちろん、そんな虐殺を見てもいない。 
その後に執筆した『武漢作戦』では、そのときの南京の風景をペースにしたこんな下りもある。 
野口伍長が一等兵に声をかける。「ちんばをひいとるな。全快したのか」
「もう二、三日すれば全快します」
「今までどこの病院にいたのだ」
「南京にいました」
「南京は賑やかになっとるか」
「はあ、もうカフェでも何でもあります。ネオンサインがついております」 
その南京でガイドについたのが中国共産党の下部機関、南京大虐殺研究会のメンバー・戴国偉で、彼はその目で見てきたように日本軍の「虐殺の模様」を日本語で語り続けた。 
話している彼もその荒唐無稽さに気づいているようで、その辺を指摘すると、彼は唖然とした顔つきでこちらを見た。
それはあの米国人の表情と同じだった。 
戴某は開き直る。
「私はここを訪れた日本の立派なジャーナリストのガイドも務めました。みんな納得しています。疑う声はないのです」                         
どんな連中かと聞くと、「朝日新聞の本多勝一」に「筑紫哲也」に「久米宏」……。 
「日本人の観光客にも話します。話をすると日本人はみな申し訳ないといいます、泣いて謝る人もいます」 
米国人の言葉に見せる日本人の反応とこれもそっくりだ。 
ただ問題は立派かどうかはともかく本多にしろ、筑紫や久米にしろ、少なくともジャーナリストの端くれにある者が中国人の言い分を検証もしない、調査もしないで、あたかも真実のようにそんな墟をメディアに流してきたことだ。
彼らだけではない。 
東京裁判でウェブというオーストラリア人裁判長が「日本は侵略国家だ」といった。
それを受けて『朝日新聞』や『読売新聞』は確かめもしないで、日本を侵略国家ということにしてしまった。
「朝日新聞」などは戦後60年以上過ぎた今でも、ウェブの言葉について一切の検証なしに日本は侵略国家だったとして社説を書き続けている。
人々はそうとも知らずに新聞を読み、テレビを見て、そうか日本は侵略国家だったのか、南京ではそんなひどいことをしたのかと思い込んでしまう。 
その逆に中国がカンボジアに地雷をまき、今また石油資源のためにスーダンに虐殺を輸出していることは伝えてはくれない。
韓国が竹島を不法占拠して、だから国際調停機関にも持ち込めないで、ただ日本がくれてやるというのを待っていることも教えてくれない。
暫く身を置いた学者世界には「メディア・リテラシー」という言葉がある。
リテラシーとは識字能力を意味する。
新聞やテレビが流す報道。
それが信ずるに値するものかどうかを見抜く力とでも訳すか。 
本書は日頃の新聞やテレビの報道のどこに落とし穴があるか、どの部分が未検証なのかを探った『Voice』に連載の「メディア閻魔帳」をベースに、日本のジャーナリズムの先天的欠陥について書いた何本かの評論も付け加えた。 
ニュース報道に偽物が混ざっていることを知り、その意図を理解する一助になれば幸甚に尽きる。 
                                
高山正之






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