木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

堀江鍬次郎展

2010年05月19日 | 江戸の写真
昨日、仕事が終わってからダッシュで津市へ走った。

目的は津市センターパレスというところで「堀江鍬次郎展」が行われていたからである。
ミニギャラリーということなので期待せずに行ったのだが、展示量も少なく、内容に新発見はなかった。

津市は太平洋戦争の戦災により町のほとんどが焼けてしまったせいもあるのだろうが、歴史に対する市民の関心が薄く、郷土の偉人も忘れられがちである。
堀江鍬次郎も、そうした忘れられた一人である。

津は写真が盛んな土地であり、今回の展示も写真界からのアプローチから成されたのかも知れないが、いずれにせよ、先人にスポットライトが当たるのはうれしいことである。

堀江鍬次郎については、ご存じない方が多いと思うし、色々間違いも多いので、少しだけ書いておきたい。
鍬次郎は、津の藩校である有造館の教師となるが、その前に長崎の海軍伝習所に派遣された。
この時、上野彦馬と知り合う。写真についても共同で研究を進め、ダルメイヤというイギリス製のカメラを150両もの大金で購入する。
その後、彦馬は名声を馳せ、鍬次郎は早世したこともあり、歴史に埋もれてしまった。
鍬次郎は、写真の黎明期に生き、上野彦馬にも多大な影響を与えた人物であるが、あくまでも有造館の教師であり、写真家ではない。

鍬次郎については色々と謎も多い。
長くなるので、ここでは書かないが、幕末において、写真というのは軍事的な意味合いがあった、ことだけは書いておきたい。
以前、韓国では橋の写真を撮影することが禁じられていた。軍事的な理由からであるという。
各藩が写真についても研究を進めたのも、相手の城や有する兵器などを撮影することが、諜報活動に繋がったのである。
趣味の部分があったことを否定はしないが、藤堂家もまったくの道楽で150両も払ったわけではない。

津での展示で新発見はなかったと書いたが、6月19日に講演会があることを知ったのは、嬉しかった。
ぜひ、拝聴しに行きたいと思っている。

「堀江鍬次郎と上野彦馬」 講演会

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