どんどん降っている。
予報では昼頃から降ると言っていたのに、それを無視した雪どもは目に映らない程に細かい粒で、闇に紛れて忍ぶように舞っていた。
それが日の出と共にその正体を現わし、粒を大きくして最早「幻想的」と云う言葉さえ忘れたかのように全てのものを覆っていく。
「したくない派」は家にいなさいと捨て台詞を残すルンバに
(したくない派❔ したいけれど出来ない派だ)と本心を覗かせながら
「溶ける派」だと訂正する私。
「誰だって雪かきなんかしたくないんだよ」と云いながら出て行くルンバの後を追うように項垂れて私も続く。
雪は思っていた以上に軽い粉雪で、どんどん空き地に運び積み上げていく。
腰を入れてグイッと突き出しスノーダンプに雪を載せて傾斜がきつくなった雪山の上へと運ぶ。
30回、50回と往復すると勢いは急激に衰え呼吸も荒くなる。
若い頃はいくらでも頑張れたのに最早昔日の面影は無く、グイッとダンプを突っ込んだ所で「もう疲れた」と弱音。
それでも1時間は頑張りほとんど終わったので「ねぇ、これを抜いたところでオシマイにしても良い❔」とルンバの顔色を窺う。
「昔はもっと頑張ってくれたのに」と思うルンバも、肩で息をする私が可哀相になったのか仕方なさそうにOKのサイン。
私は最後の一突きをゆっくりと抜きルンバへ託してヨタヨタと玄関へ。
いやぁ・・・・・キツかった。
今は30分が限度だなぁ・・・・・
「溶ける派から もう出来ない派」に訂正しようかと思いながら玄関を開けた。
腰に湿布貼ろう、湿布を。