スリスリが「明日からだよ」と云うのは季節列車「SL冬の湿原号」の今季運行が始まると言いたいのだ。
でもねぇ、SLは飽きたし丹頂も飽きた。
ヌードを撮らせてくれる人がいるのなら、持っているカメラを全部バッグに入れてスッと腰を上げるのだけれど・・・・・もう面倒臭い。
今朝、一度はソファーに寝て惰眠を貪ろうかと思ったのだけれどそれよりはカメラを持って歩いた方が少しは健康に良いかと思い直し、ムクッと起き上がった。
急にエンジンがかかったグータラ亭主に驚くルンバに「SL」と云い残して車へ。
何処で撮ろうか迷ったけれど、今季最初の御出座なのだから機関区から出てくる様子が見える北中学近くの跨線橋に向かった。
まだ30分前だと云うのに跨線橋の上には沢山のカメラマン。
私も路駐して、遠く網走から撮りに来たと云う若者と跨線橋の上へ。
モクモクと煙を出す日本製紙を背景にできるのは今年で最後だ。
どの線路を走るのか、何時に機関区から出てくるのか、色々な情報が飛び交う。
実はSLを撮るのは少し難しい。
真っ黒のSLと真っ白の雪。正反対の強いコントラストを潰さないようにと条件設定をしなければならないのだ。
建物や雪を試し撮りし輝度調整を繰り返して準備完了。
そして汽笛一声、黒煙を吹き上げながら一年ぶりに登場した漆黒の雄姿にカメラの砲列が向けられる。
カシャ、カシャ、カシャと周りから響き渡るシャッターの音が、鼓動とリンクした。
跨線橋の下を通り過ぎたと同時に三脚を畳むのももどかしく槍のように抱え上げ一斉に跨線橋から駆け下りるのは、SLを追い越して次の撮影ポイントへ向かうため。
階段の下には何とミニパトが一台。路駐を取り締まる為だろう。
しかし、こちらは殺気立っている三脚の槍を構えた老い先短いジジイの突撃軍隊だ。中には女性もいるけれど、怖いモノなんか無い。
何か言いたそうな警官の横を一丸となってすり抜け、突撃部隊は次の戦場へ向かうため、アッと云う間に姿を消した。