ズン・・・・・腹に響く重い音。
庇からはみ出ていた雪の凍り付いた塊がついに滑り落ちたのだ。
やっと落ちたと小躍りするルンバ。
ここ数日、いつ落ちるかと気になっていたのだ。
砕けた氷の塊を空き地に捨ててくると云うルンバを必死にとめるのだが、
「溶ける派」ではない彼女は放っておけない様子。
新聞には90歳のお婆ちゃんが屋根の雪を落としていて落下し亡くなったと云う記事が出ていた。
「90歳が屋根の上に出るなんて自殺行為だ」と云っていたばかりなのに、自分は落ちた氷の塊を除けたくて仕方が無いのだ。
まだ次の塊が落ちてくるかも知れないのに。
だから「氷が落ちてきて下敷きになっていたら、助ける前に乳揉むぞ」と云った途端、揉まれたくないルンバの足がピタッと停まった。