本日の高住神社の状況です。
◆晴れ
◆2℃
年の瀬が近づき、暮れのご挨拶に来られる方が増えてきました。
今年も一年無事に過ごせたので、豊前坊様に御礼を言いにきましたと。
ちょうどお歳暮が飛び交うシーズンですが、感謝の意をあらわされて嬉しいのは人も神様も一緒。
物はなくとも「今年もありがとうございました」の一言で神様は喜んでくださっていることでしょう。
目に見えないお方ですから、同じように目に見えない気持ちのほうが届きやすいんじゃないかな、なんて思うときもあります。
さて、今年最後の峰入りに山伏さんたちが登って来られました。
参拝者も足を止めて、山伏の読経に手をあわせて拝まれています。
こうした山伏との巡り会いも修験の山ならでは。
先達さんに恒例の山伏道具のご紹介を…というより早く、「今日は草鞋にしましょう」と先手を打って言われてしまいました。読まれていたか。
ということで、今回は履物。
わらじ、ですが、ただのわらじではありません。
八目草鞋(やつめわらじ)といいます。
修験十二道具に四つ足したものを十六道具といい、これはその十六道具のひとつ。
普通の草鞋と違うのは、草鞋の周囲に8つの乳(結び目)があるという点。
八という数字は八葉蓮華をあらわし、それに足を乗せて修行に赴くというのは、仏になることを意味しているそうです。
たしかに横に3つずつ、そして前後に2つと、計8つの乳がありますね。
結び方が特殊なのも意味があるのでしょうか。
実は普通の草鞋と思って、先達さんに意味を聞くのを飛ばしてしまいました。
調べたら深い意味があったのですね。失礼しました(汗
今では足袋が主流になってきているようですが、昔の山伏達はこの草鞋で草生し岩根切り立つ山中を何日間も駆けていたと思うと、その健脚さ、頑強さに改めて驚かされますね。
調べてみると、草鞋は渡渉するときに濡れるのを気にせず渡れるうえ、またスリップ止め効果もあって岩場歩きにも向いているとか。
ただし草鞋は植物性のため、ちょっとしたことで容易に損じてしまうデメリットもあります。八つ目なのは緒が切れるのを少しでも防ぐために結び目を増やしたという実用的な意味もあるのではないでしょうか。
壊れやすいという点を補って余りあるのは、綯い方さえ分かればすぐに作れるという利点。竹の皮、棕櫚、菅、麻、木の蔓や樹皮といった材料でも作れるというのですから、もしかしたら昔の山伏は、藁にかぎらず山中の様々な植物を利用してそのつど履き換えていたのかも知れません。
まさにサバイバー。
今年の峰入りは今日が最後ということで、本年の山伏道具紹介はここまで。
年が明けてから次の道具を紹介したいと思います。
取材協力してくださった皆様、ありがとうございました。
また来年も宜しくお願い致します。