本日の高住神社の状況です。
◆晴れ
◆-2℃
◆積雪量…15cm~
2/4にあげた記事(http://blog.goo.ne.jp/takasumi-jinja/e/2bb9a4d24718af2612532d930b5b4e3e)に登場する謎の御札ついて、添田町役場まちづくり課にメールで問い合わせたところ、ありがたいことに回答をいただきました。
①これは山伏のものなのか、どういった意味の呪い札か
②絵の意味
③文字の内容
といった質問に対しての回答です。
>さて、お問い合わせの件です。
>山伏文化財室の入口自動ドアに貼っているお札ですが、
>英彦山の山伏が配布していた泥棒除けの護符です。
>弓矢や6つの眼玉の絵柄は泥棒が入ってくることを追い払う
>意味があると思われます。
>また、「鬼呑所」とは鬼が泥棒を呑み込んでしまうことを
>意味していると思われます。
>以上、簡単ですが、分かる範囲で回答とさせていただきます。
なるほど、“泥棒除け”の護符だったのですね。
弓矢と6つの眼玉には、睨みを効かせ追い払う意味が込められ、下部にある鬼呑所は鬼が泥棒を呑みこむと、威嚇と警告を記した呪物のようです。
鬼の頭に角=「´」がないのは、仏法に帰依した鬼や人助けをする鬼を表しており、悪の存在としての鬼でなくなった故にツノが取れたということ。
本来、鬼には亡者・亡霊といった霊魂を意味する字義であり、手厚い供養を受け弔われた霊、善神としての鬼を表現するために「ツノのない鬼」が作られたようですが、役行者が前鬼後鬼を従えているように、修験道における鬼の存在は決して悪ではないようです。
英彦山般若窟(玉屋神社)に鬼神が祀られていることからも、護法善神としての鬼に盗賊を追い払ってもらおうという意味なのでしょう。
一般的に“お札”というと寺社で頒布している神名や諸尊名を記した札を含めるので、回答メールにもあるようにこの紙札は「護符」と呼んだほうが妥当と思われます。
『護符・守りの札』(発行:九重町教育委員会)によれば、山伏が檀家を廻るときに祈祷札や護符といったものを授けており、護符(霊符・呪符とも)とは奈良時代頃に伝わった道教の霊符を、陰陽師や僧、山岳修験者など宗教者・呪術師が取り入れ、加持祈祷の証として広めたのが発端とのこと。
この護符には漢字とも似て非なる文字が中央に連ね、呪術的な要素が濃く現れています。同書に似た護符があるもののやはり解読には至っていない様子(下写真)
発行社寺不明の護符(『護符・守りの札』より)
弓と矢は武具であると同時に僻邪の効果を併せ持つ祓具でもあり、また無数の目も魔物が苦手とするとされ、絵解き般若心経のように字の読めない庶民でも解読できるようにという意味もあったのでしょうか。
泥棒の立場で考えると、怪しげな飛び道具と監視のマークが貼られていたら侵入に躊躇するでしょうね。
山伏文化財資料室の自動ドアに貼ってあったのは、護符の効能にかこつけた粋な趣向なのでしょう。
答えが出ると納得の内容でした。
一段落したとはいえ、前記事で気になっていた万葉仮名の解読などすべて判明したわけではありません。
新たな手がかりが見つかり次第、引き続き報告してゆきたいと思います。
添田町役場まちづくり課の方、ご協力ありがとうございました。