本日の高住神社の状況です。
◆曇り
◆4℃
チクスキ表紙を飾った高住神社のハート石。
だいぶ以前の記事でも触れたことがあるのですが、社寺建築や調度品の装飾として使われるハート型のことを猪目紋(いのめもん)」といい、魔除けの意味が込められた文様。
昔の人は魔除けの意匠として衣類や生活用具などに、×や△といった記号のようなかたちを魔除けとして用いていました。
バツ印で魔の侵入を防ぐ、井桁や籠目などスキマのない形状でつけ入る隙がないなど、意匠から想起される役割・効能で建造物を守るわけです。
高住神社をざっと見渡すだけでもこれだけの猪目紋がありました。
上で挙げたように、眼というのは魔除けとしてポピュラーなシンボルであり、世界各国で用いられるモチーフ。
下の御札のように具体的に描かれる眼だけでなく、木目とか籠目というように、ぽっかり空いた空間を「目」と呼ぶことから、猪目紋もやはり目なのです。
(2018/2/17の記事より https://blog.goo.ne.jp/takasumi-jinja/e/8e28b94cee3612b2a45e422b518be328)
どうして猪なのか、というと、干支の亥は五行で表すと「水」に相当し、社寺建築では火災を防ぐために水をモチーフとした意匠や水に関わる動物名をつけた装飾を施します。
懸魚(げぎょ)、蛙股(かえるまた)、虹梁(こうりょう・・・虹は架空の生き物)、象鼻(ぞうはな)等々。
どれも水棲生物や水辺の生き物の名前ですね。
以前、よその神社の装飾を見て回った際、鼻の長い生き物が水にたわむれている装飾があり、どうやらそれは獏(ばく)ということ。
野生のバクは避暑や肉食獣から身を守るために水の中で生活をするらしく、そんな様子から瑞獣であると同時に水の生き物の象徴になったのでしょう。
猪はぬた打ちといって、泥に身をまかせてダニを取り除いたりと、そんな姿が水との関係性を生んだのかも知れません。
猪目紋は単なる意匠だけではなく、火難除であり魔除けであり、そうした願いと意味が込められているのですね。