独り酌む新酒に渋面抗えず

賑やかで雑然とした気取らない店で独りで呑むのが好きだった
おしゃれして身分を明かさず敷居の高い店でシャイにふるまうのが愉快だった
客の一人もいないような場末の居酒屋で一人も好きだった
知り合いのいないのは普段とは別の人間になれるような気がした
喧騒の中で自分だけの世界に没頭し
「俺は本当は・・・」などと言い訳していたような時代もあった
自宅で理由もない渋面をして一人酒
家人はこの時声をかけない
その酒が好みの新種だったりすれば
たちどころに渋面は消えてしまう

賑やかで雑然とした気取らない店で独りで呑むのが好きだった
おしゃれして身分を明かさず敷居の高い店でシャイにふるまうのが愉快だった
客の一人もいないような場末の居酒屋で一人も好きだった
知り合いのいないのは普段とは別の人間になれるような気がした
喧騒の中で自分だけの世界に没頭し
「俺は本当は・・・」などと言い訳していたような時代もあった
自宅で理由もない渋面をして一人酒
家人はこの時声をかけない
その酒が好みの新種だったりすれば
たちどころに渋面は消えてしまう