竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

立春の大口あけし旅鞄 後藤信雄

2019-02-05 | 今日の季語


立春の大口あけし旅鞄 後藤信雄

立春と旅のつながりはむしろ類型的。この類型感を「詩」に押し戻すのは「大口あけし」だろう。鞄というものの手触りが伝わりユーモアも感じられる。また、意外に意識されないのが一句の文字数。この句は十文字である。文字数が多いと散文的な、冗漫な印象につながり、少ないと句が凝固して締まった印象になる。十文字は後者。『冬木町』(2010)所収。(今井 聖)


立春】 りっしゅん
◇「春立つ」 ◇「春来る」 ◇「立春大吉」(りっしゅんだいきち)

二十四節気の一。陰暦1月の節で陽暦の2月4日頃。その前日が節分。暦の上ではこの日より春となる。

例句 作者
雨の中に立春大吉の光りあり 高浜虚子
春立つ日鯨見に行く話かな 鈴木智子
立春の雲置く山や父癒えよ 鈴木五鈴
見慣れつつ今日立春の川の幅 鵜沢よしえ
立春のこんにゃくいつか煮えて 桂 信子
立春をきのふに夜の雨降れり 児玉喜代
立春の米こぼれをり葛西橋 石田波郷
立春やポンプ井戸より水飛び 大野朱香
立春や月の兎は耳立てゝ 星野 椿
むらぎもの心に遠く春立ち 大野林火