くつがへる檻に草伸ぶ大夏野 小田垣朱実
おそらくは実景だろう
富士の裾野を一年かけて一周したことがある
そのおりに目にしたジビエ料理の店の裏庭に
鹿の頭部が枝にいくつも立てかけられているのを見た
そうした罠の類の檻ではないか
そのひっくりかえった檻の中に草がうっそうと伸びている
おそらく作者はしばらく時間を止めたことだろう
(小林たけし)
【夏野】 なつの
◇「卯月野」(うづきの) ◇「五月野」(さつきの) ◇「青野」(あおの)
夏草の生い茂る野原。緑濃く、強い日差しを受けた草の茂みからは草いきれが立つ。「卯月野」は陰暦4月の新緑の頃の野、「五月野」は陰暦5月、梅雨の頃の野である。
例句 作者
ぞろぞろと僧の頭蓋(はち)ゆく青高野 星野明世
たてがみの濡れては乾く夏野かな 柿沼茂
たてよこに富士伸びてゐる夏野かな 桂信子
でんでらの夏野の草か爺やばば 若林つる子
ともがらと歩む夏野を幸とせむ 大西岩夫
ねころんだ夏野から知恵熱 吉浜青湖
やわらかにあたらしき罠夏野原 佃悦夫
わつと夏野がありて大仏殿ありぬ 針呆介
ぞろぞろと僧の頭蓋(はち)ゆく青高野 星野明世
たてがみの濡れては乾く夏野かな 柿沼茂
たてよこに富士伸びてゐる夏野かな 桂信子
でんでらの夏野の草か爺やばば 若林つる子
ともがらと歩む夏野を幸とせむ 大西岩夫
ねころんだ夏野から知恵熱 吉浜青湖
やわらかにあたらしき罠夏野原 佃悦夫
わつと夏野がありて大仏殿ありぬ 針呆介
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