鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな (小林一茶)
南瓜(かぼちゃ) (秋の季語:植物)
カボチャ なんきん 唐茄子(とうなす)
ぼうぶら ぼうぶり 栗南瓜
季語の意味・季語の解説
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東南アジアのカンボジアは、ポルトガル語で「カンボジャ」と呼ばれる。
日本における「かぼちゃ」の呼び名は、この「カンボジャ」に由来すると言われる。
かぼちゃは漢字で「南瓜」と表記するが、南方のカンボジア方面から持ち込まれた瓜なので、「カンボジャ→かぼちゃ」と名付けられたようだ。
ただし、かぼちゃの本来の原産地はアメリカ大陸で、大航海時代以降に世界に広まった。
日本に伝わったのも16~17世紀(戦国時代から江戸時代前期)ごろと最近であるが、江戸時代のうちに庶民生活に浸透し、俳句にも多く詠まれた。
鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな (小林一茶)
鶺鴒=せきれい。
かぼちゃにはぼうぶら・ぼうぶりの別名もあるが、これもポルトガル語に由来し、瓜を示す「アボボラ」が訛ったとされる。
ぼうぶりの這うてくぼむや藁の軒 (亀計)
藁=わら。
かつて日本で栽培されるかぼちゃの主流は、菊座、黒皮、ちりめんなどの名のつく「日本かぼちゃ」であったが、近年は「西洋かぼちゃ」が主流になった。
「西洋かぼちゃ」はほくほくとして美味いため、栗南瓜とも呼ばれる。
なお、ハロウィンに用いられるオレンジ色のかぼちゃはヘポカボチャと呼ばれる種で、ズッキーニと同じ種類である。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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どっしりとした南瓜(かぼちゃ)は、野菜の中で最も存在感・安定感のある形をしていると言えます。
ゆえに、その存在感・安定感をうまく誇張した俳句が多いようです。
まずは、南瓜の形に「をかし」を見出した俳句を見てみましょう。
ころげじと裾広がりに南瓜かな (溝口素丸)
絵手紙とおんなじ南瓜届きけり (凡茶)
次は、南瓜の存在感・安定感をうまく引き出しつつ、物言わぬ南瓜に「あはれ」を感じた俳句を見てみましょう。
ずつしりと南瓜落ちて暮淋し (山口素堂)
南瓜=ここでは「とうなす」と読みます。
ぼうぶらや斯も荒にし志賀の里 (勝見二柳)
斯も=かくも。 志賀=琵琶湖南西の地方名。かつて皇居が置かれた古都。
最後に、南瓜の存在感・安定感に、少し怖さのようなものを感じて詠んだ私の俳句を紹介します。
夜の爪飛んで南瓜に弾かるる (凡茶)
参照 http://haiku-kigo.com/article/230737903.html
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