竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

育たなくなれば大人ぞ春のくれ 池田澄子

2020-04-27 | 今日の季語


育たなくなれば大人ぞ春のくれ 池田澄子

なんとも大胆な断定だろう
我が子への述懐を言いえて見事である
取り合わせの季語「春のくれ」がまた微妙な母親の感情を思わせる
育たなくなったら
はもう十分に育て上げた母親の自信だろう
春の暮 例句は多いが
こうした取り合わせには初めて遭遇した

(小林たけし)


【春の暮】 はるのくれ
春の夕暮れ。古くは暮春という意味で使われたこともあり、曖昧である。春の夕より少し遅い感じ。

例句 作者

いづかたも水行く途中春の暮 永田耕衣
入あひの鐘もきこえず春の暮 芭蕉
春の暮家路に遠き人ばかり 蕪村
春のくれ夫なき家に帰りくる 桂 信子
遠きより山かげ消ゆる春の暮 相馬遷子
傾城のうすき眉毛や春の暮 松瀬青々
病巣に朗報はなし春の暮 中原道夫
春の暮白き障子を光とし 橋本多佳子
鈴に入る玉こそよけれ春のくれ 三橋敏雄
ふる雨のおのづから春夕かな 久保田万太郎
薄紙も炎となりぬ春の暮 桂信子
蜜なめて黒瞳かがやく春の暮 桂信子
街角をけものの曲る春の暮 津沢マサ子
見えぬところに水湧き出でて春の暮 桂信子
軽みをば軽く見誤る春の暮 加藤郁乎
途方もなきものへ手をふる春の暮 恩田侑布子


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