竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ひとり焚くさくら紅葉に文を焼べる  流伴

2017-10-15 | 
ひとり焚くさくら紅葉に文を焼べる



もう16年も前に4番目の孫が忌まれたときに
妻が飢えた桜の木
紅葉した葉が落ち始めた
1ヶ月ほど前に染め初めた時は天気も良く
まだまだ日盛りだったのだが

桜は紅葉するのも早く散るのも早い
季節を追っているようだ

家族そろっての庭での花見も昔もことになっている



原句
染め初むる宮の一樹のひとり分 2013 2013/11/15
ひっそりとした古宮の桜の古木
気付いたのは私だけのように染め初めていた
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街路樹の思い切りよく冬支度  流伴

2017-10-14 | 
街路樹の思い切りよく冬支度



10月も半ばを過ぎると
街路樹の剪定が毎年行われる
枝葉を思い切り落としてほとんど裸、丸太のようだ
来春になると眩しい新緑をみせてくれる

新しいいのちは古いものを断ち切ってこそなのだ


2012 2012/11/15 原句
冬に入る街路樹の影ただ細く
初学の作、みたまんまだったが嫌いではない
細い影にも先を信じる樹木の逞しさが感じられる
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猪の鼻は万能蚯蚓掘る 流伴

2017-10-13 | 
猪の鼻は万能蚯蚓掘る




富士山の裾野を歩いた経験がある
猪の泥浴の痕や蚯蚓を食べた痕跡なども初めてみた
食堂で猪の頭を杭に翳しているのには仰天だった
猪の鼻は万能だとつくずく感心したものだった


2012年原句
泥まみれなる猪の虫退治

富士山麓で猪の蚯蚓を食んだ穴をたくさん見た
虫退治ではなかった( ´艸`)
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大仏や胎のうちにも虎落笛 流伴

2017-10-12 | 
大仏や胎のうちにも虎落笛




鎌倉の大仏の体内には何度も入ったことがある
季節ごとにその趣は全く異なる
外の風の音が笛のように哀しく聞こえるのは
冬であることは言うまでもない

原句
大仏や冬陽射しこむ腹の中

冬日差しではただの描写だった


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男さか己が丈夫に紅葉酒 流伴

2017-10-11 | 
男さか己が丈夫に紅葉酒 流伴



全山の錦に染まる季節の到来
近県の山々を観楓する
古刹名刹のsる山も多い
頂上の境内までの道筋に
「男坂」「女坂」の分かれ道があることが多い
ためらわずに「男坂」を選んですすむのだがたちまち公開する
登りきったところで
持参のポlrットウィスキーをなめる
小さな達成感が全身にみなぎってくる


原句
石段を登れば古刹鳥渡る
なんとも素直な初学の作
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でんでんに向く墨の影破れ蓮  流伴

2017-10-10 | 
でんでんに向く墨の影破れ蓮 



蓮の花の一年の映りは千変万化の様相だ
その根までを人は見逃さない
眺めたり食したり
泥沼からのあの真っ白な花の不思議
彼て破れたその姿じゃ人の形にさへ見える

原句
てんでんの装い枯れし晩秋路
蓮の枯れた姿に個性があるように感じたのだった
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神の留守家人の知らぬ当たり籤

2017-10-09 | 
神の留守家人の知らぬ当たり籤



宝くじはまず買わないのだが
5年ほど前に気まぐれに刈ったことがある
無駄遣いの最たるものとの認識もあるので家人には言わないでいた
なんと少額とはいえ
一枚が当選した
家人には言うに言えない
何か買おうにも形あるものは買えない
一人では豪遊も楽しくなかろう

神の留守とは内緒ごとかも知れない

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小半日鉈研いでいる文化の日 流伴

2017-10-08 | 鬼城鑑賞
小半日鉈研いでいる文化の日



文明文化の進歩は人類に
大きな貢献をしてきたと思われるが
何時の頃からかその役割は人類の劣化を助長させたのではないか
人工知能の可能性よりも
研ぎたての鉈に信頼はゆるぎない

掲句はあながちパロディではない

原句
文化の日剪定鋏新調す
句意は掲句と同様だが
剪定鋏よりも鉈のほうが句材に近い
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鶏頭花にぎった拳おさまらず 流伴

2017-10-07 | 
鶏頭花にぎった拳おさまらず



鶏頭の花が握り拳にみえる
秋も深まってくると爽やかな風は北風になる
鶏頭花は寒風に拳を握って耐えているようだ

よるべない身にはただ我慢するより術はない


原句
鶏頭花あげた拳のおきどころ
拳のおきどころ 
で切ってあとは読者に委ねたのだが
無理が直ぐ他かも知れない
おさまらず で簡明になった
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海北風の引っ張る蛸の悲鳴かな  流伴

2017-10-06 | 
海北風の引っ張る蛸の悲鳴かな




明石の蛸の干物は美味で珍味でもある
海の北風にさらされてその身を広げられて干物になる
文字通りのひっぱりたこだ
北風にピュウーポユーと悲鳴のようだ

海北風は(うみきた)

原句
海北風ひっぱり蛸の使い切る
句意が曖昧だったように思われる
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満月や臥所の友と般若湯 流伴

2017-10-05 | 
満月や臥所の友と般若湯



昨夜の満月は見事だった
8時ごろにベランダから眺めて充分に楽しんだが
真夜中にあまりにも外が明るいので覗いてみた

10年ほど前だが
癌治療中の友を満月の時に見舞ったことがある
完治しないことを察知していた友だった
良いわけはないのだろうが
酒好きの彼と大吟醸の小瓶をベッドわきで
あまり語らずに酌んだことが偲ばれる
彼はその半年後に亡くなった


原句
難病をかたりし友に温め酒
語る友が哀しすぎる
温め酒も節操のなさが目立ちすぎる
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いっぽんのの木道一色の枯野 流伴

2017-10-04 | 
いっぽんのの木道一色の枯野



奥日光の湯滝からのハイキングコース
男体山を仰ぎながら戦場ヶ原を抜ける
紅葉の終わった枯野も木道を進む
ほとんど人に会う事もない
罵らぬ花えおみて名の知らぬ鳥の声を聞いて
ひといろの世界をすすむ


原句
枯野には色鉛筆の二三本
想ったことをただ表現しただけの初学のもの
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留守居役家ぢゆうの古酒始末せり 流伴

2017-10-03 | 
留守居役家ぢゆうの古酒始末せり





ワイフが中学校のクラス会に出席で
実家に泊りがけで出かけた
とっておきの古酒をゆっくりと味わったがもの足りない
結局、家じゅうの酒が空になった

原句
古酒始末中途半端や留守居番

物足りないことの訴えが中途半端だ
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善き顔の列ぶおでんの屋台かな 流伴

2017-10-02 | 
善き顔の列ぶおでんの屋台かな




最近は屋台の姿を街角でみることが少なくなった
博多や横浜の川べりでは
わざわざ訪ねる観光地名所のようになっている

おでんの湯気にかすむお客の顔も店主の顔も善人の顔だ
昭和の日本人はみんなこんな過去をしていた

原句
襟たてて屋台の原発論議かな

3年前のものだが感じさせるものも
訴えたいものも空回りしている
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綿虫にステージ四を言づける

2017-10-01 | 
綿虫にステージ四を言づける



妻の弟が舌癌で亡くなった
入院の報を聞いてから1年足らずの速さだった
舌癌は食事もできず、言葉も話せずという苦しい闘病だった

医師の伝達は小児の使用する手習い用のボードだった
大事なこと、本当の事は伝えられなかったのだと思えてならない

原句
綿虫の見えぬ世界に人ばかり
綿虫への言伝には言葉はいらないだろう
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