ケンのブログ

日々の雑感や日記

劇画の世界

2021年11月24日 | 日記
ふとしたきっかけで江夏豊さんと田淵幸一さんが対談した動画を見た。

江夏豊さんは昭和43年にシーズン353奪三振の日本タイ記録を王貞治さんから三振を奪って達成する。

新記録と勘違いした江夏さんはやったと思ってベンチに帰りまだタイ記録だと知る。

それで、それならば新記録も王さんからと思って打者一巡、手頃の球を投げていわばわざと三振を取らないで王さんまでもう一度打順を回す。そして見事、王さんから新記録の354三振も奪ってしまう。

その時のことを振り返って江夏さんは言う。

「あれはもう劇画の世界だね」と。

“”あれはもう劇画の世界“”

いやあ、劇画の世界を演出する人は語るセリフも劇画的でかっこいいなと思ってしまった。

考えてみればオールスターゲームでのべ9人に投げて9人全員三振。

日本シリーズではノーアウト満塁の絶対絶命のピンチをしのいで優勝。
しかもこのときは、相手バッターのスクイズを投球モーションに入ってから一瞬で見破って球をはずすという離れ業のおまけつき。

延長11回ノーヒットノーランのときには、味方の阪神も一点も入ってなかったので自分でホームランを打って勝利を決めてしまう。

どれをとってもまさに劇画の世界だなと思う。

通算勝利数とかそういう記録では江夏さんの上を行く人はいるけれど、通算劇画数 という記録がもしあったら、断然江夏さんがトップになるかもしれない。

「あれは劇画の世界だね」というセリフも江夏さんそのもの。

衣笠祥雄さんがなくなったときも
「ぶきっちょだったけど、骨折しててもバット三回振って帰ってくる男だった」と衣笠さんのことをたたえていた。

このセリフもどこか劇画っぽいけれど、王さんの品行方正な言葉とはまた違う意味で心にグッと来るなと思う。

あまり、有名ではないシーンでの江夏さんの言葉で僕の印象に残っているものがある。

昭和56年、巨人対日本ハムの日本シリーズ。

なぜか僕、その第一戦をテレビで見ていた。

江夏さん、その年に引退を表明していた松原選手にホームランを打たれてマウンドをおりた。

打たれた感想を聞かれた江夏さんが質問したアナウンサーに一言

「(このホームランで)松原さんも(引退の)いい思い出になったんじゃないですか?」と。

僕、そのセリフをテレビの実況で聞いていて、いやあ、江夏さんは打たれてもしびれること言うなと思って感心してしまった。

松原さんもそれを聞いて「しゃらくせえ」と言ったと報じられたけれど、まあ、セリフでは完全に江夏さんの勝ちと思った。

僕が見た動画の中で田淵幸一さんは江夏さんに「おまえは心臓が弱いんだから打ってアウトになりそうな時はわざわざ一塁まで走るな。(ピッチングのために体力温存しとけ)」とアドバイスしていたという。

そんなこと、今の時代にやったら、袋叩きにあってしまうのではないかと思う。

たしかにあの時代はピッチャーはもう全然やる気無しで打席に立っていることもおおかったけれど、、、。

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劇画と聞いて思い出したことがある。

いつかNHKの相撲放送で過去の名勝負ということで北の富士さんと若浪という力士の一番をビデオで流した。

若浪という力士は小兵だけれど吊り(つり)の強い力士だった。

その相撲、北の富士さんが若浪を土俵際までより立てる。

若浪は体が伸び切ってしまって、つま先立ちで残している。

あそこまで、相手の体が伸び切ってつま先立ちになれば、北の富士さんがちょっと腰を落として押せば、もう勝負がついてしまうように見える。

ところが、北の富士さん、なぜか腰を落とさずに、そのまま北の富士、若浪両者とも土俵の真ん中まで戻ってきてしまう。

若浪という力士は俵でつま先立ちになってからも驚異的に相手をひきつけて足腰のバネで相手をうっちやる技もあったので北の富士さん怖くてもうひと押しできなかったかも知れない。

そして今度は若浪が小さい体で北の富士さんを高々と吊り(つり)上げて土俵の外に運んでしまう。

若浪、大逆転で北の富士をつり出しで破る。

もう館内は割れんばかりの大喝采。

あの相撲も今の時代から見ればひとつの劇画だなと思う。

「今の相撲はどうでしたか」とテレビのアナウンサーに感想を聞かれた北の富士さんは一言

「ええ?この相撲の解説をオレにしろって言うの?NHKも人が悪い」と。

北の富士さんも劇画の時代のものの言い方を知っている人だなと思う。

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今場所、ほとんど相撲見てないけれどたまたま、見た中で面白かったセリフをひとつ。

正代が後ろに下がってかろうじてかかとが残って取り直しになった相撲がある。

取り直しと決まった瞬間に北の富士さんがひとこと。

「本場所だから取り直しでいいいけれど、稽古場であんなに後ろに下がって取り直しなんて言ってたら、まわりからバカヤローって言われちゃうよ」と。

まあね、稽古では後ろに下がるのではなく前に出るのが相撲の基本だから、、、。

それはともかく いちにち いちにち 無事にすごせますように それを第一に願っていきたい。