菊池寛著
「恩讐の彼方に」
主人公、市九郎は、主人の愛人と不適切な関係になったのでございます。
俗に言う「不義密通」。
主人の知るところとなり、バッサリ。
やられるはずが、やってしまいました。
その主人の愛人と、出奔。
でも、この女性との生活は最低。
食べていくために、人切り強盗。
「こんな生活をしてたら、だめじゃ~ん」
と、美濃の浄願寺に駆け込み、僧になり、
その名も、「了海」。
減罪のために全国行脚の旅に出たのでございます。
じゃんじゃじゃ~ん。
了海が通りかかったのは、ここ山国川沿いにある、耶馬渓。
本文より
川の左に聳える荒削りされたような山が、山国川に臨むところで、十丈に近い絶壁に切り立たれて、そこに灰白色のぎざぎざした襞の多い肌を露出しているのであった。
鎖渡しという難所を渡っていた馬子が、馬があばれて500メートルもあるところから真っ逆さまに・・・。
了海さん、これを見て、
「これは、どけんかせんと!!」
1年に10人救えば、10年に100人。
百人、千人・・・千万人の命も救える。
うん、わたしが、どけんかするぞ~!!
「みんな~この絶壁をくりぬこうよ~」
と、誘うが
「ばっかじゃない~」
と誰も手伝ってくれないのでございます。
しゃあ~ない、ひとりでやろ~!!
「ひとりでできた!!」
と言いたいところですが、
18年たったころ、彼の頑張りに感動した人たちが手伝ってくれるようになったのでございます。
そこへ、親の仇と名乗る実之助君、登場。
「もうすぐここが開通するから、待って!!」
と、周りの人が彼を説得。
それならばと、実之助君も、お手伝い。
了海さんがほりはじめてから、21年目。
実之助君が来て、1年半。
ついに青の洞門、開通です。
二人はすべてを忘れ、手をとりあって、涙にむせんだのだのでございます。
めでたし、めだたし。
このお話、実在の僧(禅海)を、菊池寛が小説にしたんですね。
でも、仇打ちのお話は、フィクションです。
短編ですので、一度読んでみてはいかがでしょう。
今日の私の小さな幸せ
久しぶりにカレーにしました。