村木嵐著
「まいまいつぶろ」
口がまわらず、誰にも言葉が届かない。
歩いた後には尿をひきずった跡が残るため
まいまいつぶろと呼ばれ蔑まれた君主がいた。
常に側に控えるのは、ただ一人、
彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓・兵庫。
麻痺を抱え廃嫡を噂されていた若君は
いかにして将軍になったのか。
第九代将軍・徳川家重を落涙必至の傑作歴史小説。
NHKのドラマ「大奥」で、三浦透子さんが凄い演技でこの家重を表現していました
新聞の広告でもこの本がよく紹介されていました
図書館でやっと順番が回ってきました
まさに落涙必須でした
長福丸の発する言葉を誰もわからない
身体も思うように動かない彼は癇癪を起す
しかし、彼の前に言葉がわかる小兵が現れます
大岡忠助の親戚筋、兵庫
忠助は兵庫に
「そなたは決して、長福丸様の目と耳になってはならぬ」
つまり、自分の意見を言ってはいけないということ
最後までこの言葉に徹した兵庫
家重となった長福丸だが、出来のいい聡明な弟の方を世継ぎにという幕閣
しかし、彼は体に障害はあったが頭脳明晰
彼の才能に気づく老中もいた
吉宗も気づいていた
彼に嫁いできた比宮も、最初は尿失禁する家重に驚くが
その心根の優しさに気づき、子を宿す
最愛の比宮は男児を死産、そして亡くなってしまう
比宮は自分の侍女に、殿の子を産んでくれと遺言を残す
彼女は3年後男児を出産
その子が10代将軍、家治に
吉宗は、大御所となり、35歳になった家重がその後を継ぐ
家重と忠光(兵庫)との関係
忠光が江戸城を去るときの家重の別れの言葉には泣きます
家重と比宮との慈しみあう二人にも感動を呼びます
是非是非一読あれ
この村木嵐さん、実は司馬遼太郎さんの家事手伝いをした経歴の持ち主だそうです
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