町田そのこ著
わたしの知る花
宮城高子さんの装画も素敵です
1月に読んだ岩井圭也さんの
「夜更けより静かな場所」
が良かった良かったと騒ぎましたけど
この本も負けず劣らず素敵な本でした
最初、女子高生が出てきて、あ、これ選択間違ったかな、若者が読む本か~
と思ったら、さにあらず
大人のラブストーリーでした
いや~ラブストーリー何て言う単語
少し気恥ずかしいのですが、まさにそれ!
出版社内容情報から
「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」
虫も殺せぬ優男、結婚詐欺師・・・・?
77歳で孤独死した老人の、誰も知らない波乱に満ちた意外な人生とは?
「52ヘルツのクジラたち」町田そのこの新作は、一人の男と美しい花を巡る物語
内容説明から
犯罪者だと町で噂されていた老人が、孤独死した。
部屋に残っていたのは、彼が手ずから咲かせた綺麗な花。
生前知り合っていた女子高生・安珠は、彼のことを調べるうちに、意外な過去を知ることになる。
淡く、薄く、醜くも、尊い。
様々な花から蘇る記憶。
これは、謎めいた老人が描く、愛おしい人生の物語。
この安珠はなぜか、公園で絵を描いているこのうらぶれた老人が気になります
その老人のことを知っていた祖母
ここで読者は、きっと祖母と訳ありな人だったんだろうと想像がつきます
その二人の関係は最終章の
「ひまわりを、君に」
で明かされます
最後に近くなった時、涙がつう~と流れました
彼の名前は葛城平さん
若い時の彼は、もうそりゃあ、女性がほっとかないイケメンでそして優しい
火野正平さんばり
別れた女性でも彼を悪く言う女性はいない
しかし、心が薄いガラスのよう
安珠が平さんを最初見た感想
しゃがみこんでいたおじいさんがあたしを見上げてくる。
口の周りに、そり残しの髭がちらほらあるのが見えた。
白髪交じりの短い髭は、冬の庭みたいだった。
いまは七月の半ばで、すでに夏本番って感じなのに、セミは大合唱してんのに、
からだに冬を持ってる感じがした。
ああ、このひとは冬のひとなんだなーって思った。
肉のあんまりついてない頬とか、
かさついてる血の気のない唇とか、生命力を弱火で維持してる感じ。
出力弱めにしないと、いろいろを保てないっていうか。
町田さんの独特の表現方法
いいですね~
引き込まれます
想像力をかきたてられました
又こんなセリフを町田さんは言わせています
安珠のボーイフレンドが自分を見失っていました
その彼にアドバイスを送る平さんの同級生の男性
お前はそのままでいいんじゃない、か
いいに決まってる・・・・
じゃなくて、いいも悪いも、誰かが決める事じゃないんだ。
仮に、いいと言わない奴らがいたとしても、気にしなくていい。
そもそも他人が誰かの生き方を否定する方がおかしんだ。
否定した奴らは否定するだけで、お前の人生を保証してくれるわけじゃない。
お前が、お前に素直に生きることだけが、正解だよ
そう、そう、「否定して逃げ」ですもんね
このおじいさん、平さんとは真逆のタイプ
平さんと付き合っていた女性をお金で自分の奥さんにしたって
ずっとそのことで悩んでいたんです
結構この人、面白い人だった
長くなってしまいましたけど、とてもいい本でした
お勧めです
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