自分が知っている“精密機械”と呼ばれた投手が2人いる。阪神、東京(ロッテ)、大洋で歴代3位の320勝を挙げた小山正明と、先頃亡くなった広島の北別府学だ。
小山に関しては、残念ながら現役生活の晩年しか知らないが、北別府はまさに新人から引退までリアルタイムで見た投手だっただけに思い出深い(名字の珍しさもあって)。どちらも今でいうところの“脱力系”のゆったりとしたきれいな投球フォームから投げ下ろし、針の穴を通すとまでいわれた抜群のコントロールを身上とした。
今回のWBC日本対チェコ戦での、剛速球の佐々木朗希と軟投派のオンドジェイ・サトリアの投げ合いを見ながら、昔の江川卓(巨人)と北別府の投手戦を思い出した。タイプの違う一流投手同士の投げ合いを見るのもまた楽しいものだった。
重松清の小説『赤ヘル1975』は、75年の広島を舞台に、野球少年のヤスと転校生のマナブの交流をカープを媒介にして描いたものだったが、ラストは、ヤスが、カープの宮崎キャンプを訪れ、広島を去ったマナブへの思いを重ね合わせながら、同名の新人投手である北別府学に声を掛けるシーンで終わっていた。
「北別府さん、がんばってください! カープのエースになってつかあさい!」「キタベップ、マナブ、さーん! これからも気合入れて、負けんとがんばってつかあさい! キタベップ、マナブ、さーん! どがあなことがあっても、元気でおってつかあさい! マナブ、さーん! ほんで、また、いつでもええけえ、広島に帰ってきてつかあさい!」
恐らく重松は北別府のことを意識して登場人物の一人をマナブと名付けたのだろう。
『赤ヘル1975』(重松清)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a9d596e8420c3f00193a2d289c84b79c
「フォークボールの神様」といわれた杉下茂も亡くなった…。
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