「たしかにぃ~。好きになるってそういう事だよねぇ。」
大きく頷く平川綾乃であったが、恋に関しては、川島健吾の告白によって、そうじゃない恋もあるかもと考え始めていた。
同意を得た村主詩音は、嬉しそうに自分の膝を両手で叩きながら「でしょ。でしょ。」と、はしゃいだが、一目惚れがどういう感情なのか分からない君塚明日香は、クールに「しおんらしいね。」と感想を述べた。
「明日、クリスマスだけどどうする? 」
村主詩音は、話題を川の流れのように、次のフェーズへ移す。
地上に落ちた雨粒が跳ね返るように、すぐさま対応する二人。
平川綾乃は、今日の夕方、須藤圭介への告白が控えている。その返事によって明日の予定が決まると言っても過言ではない。しかし、曖昧な返事をすると、特に女子の場合は関係がこじれてしまう。それだけは避けなければと瞬時に判断し、
「実はね。圭介先輩に告白しようと思ってるんだ。だから、明日の予定はバツって事で。」
おどけながら、そう言うと、両手の人差し指をクロスさせた。
「えーっ ! 」
突然の告白に湧き上がる二人。何事かと周りが彼女たちを見る。それに気づいた三人は身を寄せ合い、小さな声で語りだした。
「がんばれー。応援するよぉ」
「ありがとう。頑張るよ。駄目だったらグチ聞いてね」
「わかってるって、その時は任せなよ」
「そういう明日香は? 」
「わたしは、陸上部の後輩が相談にのってほしいって頼まれたから、一肌脱いでやろうかと。」
「部活辞めてんのに? 」
「まぁね。部じゃ言えない事もあるだろうし、可愛い後輩のお願いなんだから断りにくいじゃん。そういう詩音はどうなの? 」
「みんな用事があるから、ぼっちじゃん」
「そう言うときこそ、学級委員長なんだから,率先して受験勉強するとか? 」
「それね。学級委員長なら、みんなの模範にならないと。頑張れ勉強。」
「やめてよぉ。マジで」
チャイムが鳴る。三人が顔を見合わせると、村主詩音が「じゃあ、また後で」と、言って会話をリセット。二人は頷く。
この統率力が学級委員長に選ばれる所以である。それまで騒いでいた三人は、みごとにスイッチを入れ替えそれぞれの席に散っていった。
彼女達は社会や自身と葛藤しながら懸命に生きている。それが、大変だったけど楽しかったなと思えるようになるのは、まだ随分と先の話である。
大きく頷く平川綾乃であったが、恋に関しては、川島健吾の告白によって、そうじゃない恋もあるかもと考え始めていた。
同意を得た村主詩音は、嬉しそうに自分の膝を両手で叩きながら「でしょ。でしょ。」と、はしゃいだが、一目惚れがどういう感情なのか分からない君塚明日香は、クールに「しおんらしいね。」と感想を述べた。
「明日、クリスマスだけどどうする? 」
村主詩音は、話題を川の流れのように、次のフェーズへ移す。
地上に落ちた雨粒が跳ね返るように、すぐさま対応する二人。
平川綾乃は、今日の夕方、須藤圭介への告白が控えている。その返事によって明日の予定が決まると言っても過言ではない。しかし、曖昧な返事をすると、特に女子の場合は関係がこじれてしまう。それだけは避けなければと瞬時に判断し、
「実はね。圭介先輩に告白しようと思ってるんだ。だから、明日の予定はバツって事で。」
おどけながら、そう言うと、両手の人差し指をクロスさせた。
「えーっ ! 」
突然の告白に湧き上がる二人。何事かと周りが彼女たちを見る。それに気づいた三人は身を寄せ合い、小さな声で語りだした。
「がんばれー。応援するよぉ」
「ありがとう。頑張るよ。駄目だったらグチ聞いてね」
「わかってるって、その時は任せなよ」
「そういう明日香は? 」
「わたしは、陸上部の後輩が相談にのってほしいって頼まれたから、一肌脱いでやろうかと。」
「部活辞めてんのに? 」
「まぁね。部じゃ言えない事もあるだろうし、可愛い後輩のお願いなんだから断りにくいじゃん。そういう詩音はどうなの? 」
「みんな用事があるから、ぼっちじゃん」
「そう言うときこそ、学級委員長なんだから,率先して受験勉強するとか? 」
「それね。学級委員長なら、みんなの模範にならないと。頑張れ勉強。」
「やめてよぉ。マジで」
チャイムが鳴る。三人が顔を見合わせると、村主詩音が「じゃあ、また後で」と、言って会話をリセット。二人は頷く。
この統率力が学級委員長に選ばれる所以である。それまで騒いでいた三人は、みごとにスイッチを入れ替えそれぞれの席に散っていった。
彼女達は社会や自身と葛藤しながら懸命に生きている。それが、大変だったけど楽しかったなと思えるようになるのは、まだ随分と先の話である。