硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 69

2021-07-12 22:03:24 | 日記
自分の生活圏内で作り上げた17歳の世界に拘ってしまうと、きっと私は、つまらない大人になってしまう。それは分かってるんだけど、諦めかけている自分もいる。でも、それでいいわけがない。高校最後の一年の大半は、そんな不安定な気持のままで過ごしてしまってた。

午後三時。待ち合わせ場所は、駅を出た所にある変な形のブロンズのモニュメントの下。
相変わらずの曇り空。天気予報は今夜も雪が降るっていってたっけ。
ジャケットのポケットからスマホを取り出して時間を見ると、2時55分。

「ヤバっ。」

階段の右端を一気に駆け下り、改札を抜ける。モニュメントの下には4人位いる。
その中の一人に、グレーのニット帽を深くかぶり、黒いトラックスーツに赤いルコックのダウンジャケットを羽織り、少しくたびれたナイキのランニングシューズを履く、身長の女子がいる。どこを見るでもなく、イヤホンで音楽を聴いている。
飾り気はないけど、この間観たスパイアクション映画のヒロインみたいに、綺麗で危険という雰囲気が出てて、ちょっとかっこいい。

「ソフィア! 」

彼女は、お父さんがフランス人、お母さんが日本人のミックスだ。顔立ちはフランス人なのに目の色と髪の毛は黒く、ずっと、ベリーショートの髪形。手足も長いし顔も小さいから、歩く姿や立ち姿を見てると、ヴォーグに出てるモデルさんみたいだ。
その事を、一度だけ言ったことがあったけど、ソフィアは肩をすくめ「ショービジネスに興味はないの」と、きっぱり否定した。女子の中には彼女のルックスに嫉妬してる子もいるけど、そんなの神様の悪戯なんだから、しょうがないじゃんって思う。