硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 77

2021-07-20 20:09:22 | 日記
「えええっ。この高校選んだ動機が私!? 決勝はびりだったじゃん!  」

彼女が入部してきたとき、すごく勉強の出来る子だから、インターナショナルスクールか、進学高へ行くはずなのに、なんで、公立の普通の高校で、しかも、弱小の陸上部にって思ったけど、私が決め手だっただなんて。

「あの準決勝の走りが私を動かしたんです。」

「そうだったの・・・・・・。」

「いっしょに練習してて、本当に楽しかったです。なのに、突然陸上やめちゃうんだもの。」

ソフィアの気持ちを聞いて、参ったなぁと思った。もし、彼女の気持ちに気づいてたら、少しぐらい居心地悪くても陸上続けられたかも・・・・・・。

「でも、いいんです。理由も知ってるし。」

「そっか。やっぱり知ってたんだ・・・。それなら、あんなつまらない男なんかほっといて、続けてれば良かったな。」

ソフィアは大きく頷きながら、「そうですよ。私、先輩と一緒にインターハイ走りたかったです。」と、言うと、長いまつ毛の奥にあるクリっとした大きな瞳は、真っ直ぐに私を見つめていた。

「私も、ソフィアと練習しているとき、凄く刺激があって楽しかったな・・・・・・。それなのに、ソフィアがめっちゃ応援してくれた、2年の地方予選は準決勝にも進めなくて・・・・・。柄にもなく落ちこんじゃって。先輩だったから信用しちゃって・・・。散々痛い目にあってたのに、流されちゃって。また同じ失敗をして・・・。最後のインターハイは絶対出てやるって気合い入れてたのに。こんなに良い後輩がいたのに・・・・・・。私って、ほんと、バカだわ。」

すると、ソフィアは、少し口調を強め、説教をするように私の弱い気持ちを否定した。